因縁の相手……?
俺は高望みしすぎていた。この際可愛いメイドじゃなくていい、若い町娘でもいい!
・元服飾店店長 猫人族 エリー 40歳
・元受付事務 吉田 53歳
・元一流ホテルシェフ 安藤 35歳
・元魔王軍幹部 悪魔 アスタリオン 1089歳
……どうしてこうなった?
もうエリーや吉田さんといったおばさ……ンンッ、お姉様たちはいつも通りだとして、元魔王軍幹部はやばくないか?箱庭で戦争とか起きたら俺勝ち目ないよ?
「みなさまの状況に置かれましては私アリアナが説明致しますのでこちらへどうぞ」
悪魔を見ても淡々と自分の仕事をこなすアリアナ姐さんかっけぇっす……初めて若い人じゃなくてベテランで良かったと思ったよ。
それよりどうしようか……魔王とかおとぎ話の中でしか知らないけど人間と敵対関係とかだったりするのだろうか。
「やはり懐かしい気配がすると思えばアスタリオンではありませんか」
声が聞こえて振り返るとポンコツハイエルフがいた。
「エルディン。300年振りぐらいか?」
「アリアナさん、アスタリオンへの説明は私がしておきます。昔話もあるのでね」
え、俺は逃げてもいいだろうか?1000歳超えのハイエルフと悪魔の昔話とか怖くて聞きたくないんだが。
「はい、領主様も私の家に行きますよ。美味しいお茶をお出ししますからね」
「この方が領主なのか?まだまだ角も生えぬ雛ではないか」
俺は角など生えないし、赤子ではなく雛になったみたいだ……
逃げようとしたのだが普通に捕まってしまい、仕方なくラディには先に屋敷に行っててもらおう。
「はいこちらのお茶をどうぞ、お菓子はクッキーにしました」
エルの家に案内されたがここでクッキーを食べられるほど俺の神経は図太くない。
大賢者と元魔王軍幹部に挟まれて多分5年は寿命縮まってるね。
「その……エル。アスタリオン、さんとはお友達なのか?なんていうかその、人族対魔族の戦争とか勇者が魔王討伐とかそういう関係ではない?」
「確かに、我々の産まれる前は戦争がありましたがすでに停戦協定が結ばれていますし、お互いに貿易などもしていましたよ」
「うむ、我の名前も長くて呼びずらいだろう、アスでいいぞ。そして我が魔王軍幹部になった時、貿易でエルフの里との交渉を任されてその時出会ったのがハイエルフのこやつだったのだ」
「エルフの里では代々ハイエルフが長となり、その息子だった私が交渉役となったのです」
よ、よかった!平和的な知り合いで。これで実は昔バチバチに殺りあった仲で、この後決着をとかだったら俺泣いてた。
「最初は上手く交渉が上手くいかなくてな、3年程殺りあったのだがようやく納得の出来る交渉になった」
「ええ、あの時は大変でした」
えーっと殺りあってたみたいです。しかも規模が違った、1時間とかじゃなくて3年。3年殺りあうってどういうこと?この人たちにとって3年とは一瞬の喧嘩だとでも言うのだろうか、やっぱり俺泣きそう。
「でもアスタリオンが来てくれたのは幸いですね、あなたほど交渉に長けた人物はいませんから。さらにこの街が発展しそうです」
俺がちょっと泣きそうになっている間にこの箱庭についてエルがアスに説明してくれていた。ポンコツって思ってごめん、なんか今すごく頼りがいがある大賢者に見えるよ。
「では我はこのユグドラシルから現実世界に向けて売れる商品を他の住民たちと考えよう。それが出来たら春樹と現実世界に行って売るための交渉をしてもよし、他に販売ルートがあるならそちらでもよし。心配するな、我は闇属性が使えるからな隠蔽で人族にすることも可能だ」
「あっ、ああ……とても頼もしいよ…」
なぜか知らぬ間に決まっていたらしい。
本当に交渉だよな?脅しで契約を勝ち取るとかじゃないよな?
はあ、胃が痛くなってきた。
今頃可愛いメイドが出ていれば癒されてキャッキャウフフしている予定だったのに、俺の癒されハーレムスローライフはいつになったら叶うのだろうか。
とりあえずもういいや、クッキー食べよう。




