第54話・手数料が高い高い
ミウの迎えがあるため、ちょっと早めにダンジョンから出る。
ああ、太陽の光がまぶしい。
今日も無事に生きて帰ってこれたけど、これが続くとなるとちょっとまずいかもしれない。
そのまま学校にある探索者協会に向かう。
すれ違う人から視線を感じるというか露骨に避けられるけど、何か問題があっただろうか。
あ、鎧と服か。
ボロボロで薄汚れているけどいいや。
あとで着替えよう。
「あのー。大丈夫ですか? これ、鎧が完全に駄目になってますけど……」
学校から借りた装備品も返却するが受付の人が顔が引きつっていた。
ダンジョンデビューの時は先生がダンジョンの前まで持ってきてくれたのだが、それは最初だけ。
基本的に【初期装備】の貸し借りは、校内にある探索者協会でやるそうだ。
「狼男の爪で軽く引っかかれて、ゴブリンファイターの石ナイフで軽く突かれただけなので問題ないです」
「いや、でも……」
激闘の末に鎧がオシャカになってしまったのだ。
狼男の爪の痕とは別に、左脇腹に石ナイフで突かれて開いた穴があるが、本当にあと数センチずれてつなぎ目の部分だったら怪しかった。
下手したら石ナイフが鎧を貫通して脇腹に突き刺さっていたかもしれない。
危なかった。
本当に危なかった。
「これで問題ないですか?」
服をめくってお腹を受付の人に見せてみるも、何かに突かれたような青紫色のあざが1つあった。
ダンジョンの中で確認したときは何ともなかったのに。
うん、これはちょっと駄目な奴だね。
ミウとお風呂に入る時も誤魔化さないといけない。
今は痛み止めが効いているのでそこまで痛くは感じないけど。
ちょっと視線を感じたのですぐに服を元に戻す。
「あ、あまり無茶なことはしない方がいいですよ?」
「知っています。ですが生活費を払うためにもお金が必要なのです」
生活に困窮していますと言わんばかりに、受付のお姉さんに言っておく。
探索者高校は政府が設置した公立の学校であることから学費はかかっていない。
しかしながら、生活費というのは必要である。
まあ、そこまで困ってはいないんだけどね。
お金を恵んでくれてもいいのよ、お姉さん?
「そ、そうですか……」
「それよりも買い取りの価格の方は……」
「少々お待ちください」
リュックの容量の都合で魔石が中心であるが、フロアボスのゴブリンファイターに関しては鎧と兜、石ナイフも持ち込んだ。
ちなみに、コボルドがいた階層には、ジャイアントスパイダーやジャイアントバットなどの魔物もいた。
でも、昆虫のクモや動物のコウモリを1メートルぐらいの大きさにしたような感じだったし、敵意のようなものも感じられなかった。
だから放置して進んだ。
魔物ではあるが、戦う必要がないものなら戦いは避けるべきだろう。
それよりも魔物同士で争っててびっくりしたというか。
クモの巣に引っかかったジャイアントバットをジャイアントスパイダーが食べてたり、数匹のコボルドが自分たちで仕留めたと思われるジャイアントスパイダーを食べていたところにも遭遇したし。
まあ、途中で見つかってしまい、コボルドとは戦うことになったんだけど。
同じ魔物でも、敵意を向けてくるのとそれを向けてこないのがいるというのがわかっただけでも収穫だったと思う。
「……手数料などを差し引いた金額で2万5000円となります。10万円以下ですので現金にもできますが、振り込みにしますか?」
「いえ。現金でください」
探索者協会に手数料として約4割も持って行かれてしまう。
正直に言って高いと思うが、探索者は個人事業主にもかかわらず通常の会社員と同じような扱いを受けられるのだ。
それでも死亡保険とかは探索者協会が提携している保険会社との契約が必要になるけど。
追加手数料さえ払えば、面倒な確定申告から役所での各種手続きの代行に、個人的な相談にも乗ってくれる。
このほかにも、宿泊施設や飲食店などで割引を受けられたり、魔法道具店や武器屋で使える割引券をもらえることもあるし。
だから、みんな「高い高い」と言いながらも、真面目に支払っているのだ。
還付金が出るときもあるし、ドロップアイテムなどの買取価格に納得できなければオークションを使うという手もある。
「お待たせしました」
トレーの上に置かれた2万5000円を受け取って財布に入れる。
さてと、あとはシャワーを浴びて洗濯してからミウの迎えに行かないと。
【クリーン】という清掃ができる魔法が使えれば、シャワーなどを浴びる必要がないらしいので早く覚えたいものだ。
もちろん、【避妊魔法】も忘れてない。
避妊魔法さえ覚えてしまえば、避妊薬でミウの体に負担をかけるなんてことは避けられるのだ。
そんな都合の良い魔法があるなら、それを覚えるしかないだろう。
本音を言えば、生でしたいというだけだけどね。




