運が良かった
以前、アプフェルの父上の雷撃を見て色々と考えた。
僕のゴーレムが数発の攻撃しか耐えられなかったヒグマのマリグネ、ズィーベンを一瞬で屠った「アメジスト・ライトニング」。
僕は雷撃の魔法は使えないけれど、どうにかしてあの雷撃に耐えられるゴーレムが作れないか。
魔法を使うマリグネもいるというし、雷撃に耐えられるゴーレムが必要になる時が来るかもしれない。
ずっと考えた。寝る時も食べる時も、授業の時も、ロルフたちにからかわれて嫌な思いをする時もクラスメイトに嫉妬する時も、ケルナ―・ブロートでプレッツエルを食べながら遠目にキルシェの胸が揺れるのが見えてドキドキする時も。
僕の魔法は土に干渉する。
普段は土をそのままゴーレムにしたり、土の中の石を使ってゴーレムを創るけれど、以前アメジスト・ライトニングが放たれた現場で、土中でほとんど雷撃の影響を受けていない鉱物があることに気がついた。その鉱物の名前と特徴について錬金術師に聞いてみたが、通常の石や土よりもはるかに溶けにくく、炉に入れれば鉄でさえ溶けるような高温でさえ固体の状態を保てるらしいし雷にも強い性質があるとのこと。
これなら雷撃に耐えられるゴーレムの材料になるんじゃないか?
そう思い、その鉱物にゴーレムを創るのと同じ要領で魔力を通してみたが、出来上がったのはゴーレムとも呼べない不格好な塊でしかなかった。
その塊に働きかけてゴーレムを創ろうとしたけれど、魔力の注入と操作がストーン・ゴーレム以上に困難を極めた。
なにしろその鉱物は水晶や石英と言われる宝石の一種で、純度の低いものならば山脈から発見されることも多いけれど材質が通常の石とは違いすぎて、魔力を通すのに困難を極めた。
ゼクスとの戦いまで一度も成功しなかった。今回成功したのは、本当に運が良かった。




