探索範囲
探索範囲がかぶらないようにするため、八つの班がそれぞれ八方向へ探索を開始する。
僕たちの班は北西に向かうことになった。
各班に周辺の地図が描かれた紙と、余裕を持って一日分の水と食料が入ったザックが渡される。四人分の水と食料なので、10キログラム近くになりかなり重たい。
ローデリヒが持とうと言う前に機先を制した。
「僕が持つよ。ローデリヒの魔法は荷物を持っていたんじゃ扱いにくいだろうし」
僕はそう断って、ザックを背中に担ぎ、肩にかける紐を調整して背中にぴったりとつくようにする。少し窮屈なくらいにしておくと、ゆとりがあるよりもずっと軽く感じるし背中が擦れない。
ローデリヒは何も持たず、僕だけが荷物を背負っているが、別にこれくらいは惨めにも感じない。僕のゴーレムなら荷物を多少持っていても操作に影響はないから、適材適所というだけだ。
僕はザックを背負う前と変わらない足取りで、歩き始めた。
「カペル君」
先行する僕にローデリヒが声をかける。彼はアプフェルと同じく、僕を家名で呼ぶことにしたようだ。
「君のゴーレムで偵察はできないか?」
ローデリヒのカービング・ソードでは索敵なんてまず無理だろう。
アプフェルのアイシクル・エングレイビングも、ツィトローネのファイア・イン・ウオラも索敵の魔法じゃない。こうやって頼られるのは嬉しいけど……
「ごめん、前にも言ったかもしれないけど僕のゴーレムは術者の僕が近くにいないと動かせないから。偵察とかは難しいかな。上に乗って、高いところから見渡すくらいはできるけど」
「言っていませんわよ?」
アプフェルが人差し指を顎に当てて頭上に疑問符を浮かべる。
でも話した覚えがあるんだけど、別の子に言ったのかな?
「あ、ごめん。話したのはキルシェだった」
アプフェルはキルシェの名を聞くと、柳眉を逆立てた。
「カペル男爵! なぜ平民娘に話したことを、わたくしには話しませんの!」
「キルシェ? あの赤毛のポニーテールの、おっぱい大きい、体育魔法祭でラッテ君と、一緒にお弁当食べてた子?」
「カペル君……」
アプフェルは怒りもあらわに、ツィトローネは目を輝かせて、ローデリヒは額に手を当てていた。
何かまずいことを言っただろうか?
「とにかく、そういうわけで僕たちの班は自分の足で探すしかない。早めに行かないと日が暮れちゃうかもしれないから、急ごう」
遠くへ進むたびに他の班の気配が遠ざかり、いつしか感じなくなっていくことでこの試験の意味合いを体感した。
「そういうことか」
これを見越して先生は班をバラバラの方向へ移動させたのか。索敵が上手い班の後ろについて行って、マリグネを狩ることができないように。




