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私の夫を殺してください  作者: 三愛 紫月


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過去に戻る?

「過去に戻る?そんなことが出来るなら、私はいじめられた日に戻ってやり直します」

「それは出来ない」

「どういうことですか?」

「過去と言っても戻れるのは、1年前にだけだ」

「1年前?それじゃあ、妹さんを助けに行けたんじゃないですか?」

「それは、もう行ったよ」

「えっ?」

「行ったんだよ、助けに。だけど、無理だった」

「助けられなかったってこと?」

「助けられなかったんじゃない。西山との出会いを止められなかったんだ」

「それって神倉先生のせいってことですよね」

「それを知ったのは、俺がこっちに戻ってきてからだった」



 月城さんは、過去に行ったけれど。

 どうやって西山と妹さんが出会ったかをなかなか突き止めることが出来なかったのだとか。

 突き止めることが出来て、もう1度戻ろうとしたけれど。

 それは出来なかったという。



「1年前の過去に戻れるけれど。戻れるのは、たった3回だって知らなかったんだ」

「3回だけですか!それで、どうやって西山を見つけて。神倉先生のことを調べるんですか」

「だから、1人じゃ無理だと思ったんだ」

「それで私に声をかけたんですか?」

「そうだ。過去にいる星村さんにも協力してもらいたいから。星村さんしか知らない話を教えて欲しい」

「ま、待ってください。過去の私は、向こうで存在しているんですか?」

「そうだ」

「えっ?中身だけ行くとか、魂がかわるとか」

「そんなんじゃない」



 月城さんの話によると。

 過去にはこのまま行くのだという。

 だから、向こうについたら私がもう1人いるのだとか。

 向こうの私に会うことは、未来を変えてしまうから絶対に会わないようにしなければならないらしい。

 私はてっきり魂が過去に戻るとかの話だと思っていた。




「俺が過去の君に接触してくる」

「待って、そんなの信用出来ない。私が過去の月城さんに会って話をする」

「駄目だ。過去の俺は、妹を亡くしてから疑心暗鬼になっているから。誰の話も聞かない」

「それなら、1度目は一緒に過去に行って。2度目からは、別々に行くっていうのはどうです?」

「そうだな。そうしよう」

「2度目に残る方は、こっちで出来ることをしましょう」

「わかった」

「それで、どれくらいいれるんですか?向こうには」

「3日だ」

「えっ、たった3日」

「たったというけれど、3日も星村さんがいなくなったら行方不明を出されるんだぞ。わかってるのか?」

「確かに、そうですね。ここにいる私はいないんですよね」

「そうだ」



 今、聞いた話を1度整理してみることにしよう。

 過去に戻れるのは、1年前までって決まっている。

 1年前の過去には、3回だけ戻ることが出来る。

 そして、1年前の過去に滞在出来る時間は3日間。

 ってことは、全部で9日は過去に戻れることになる。


 そのうち3日は月城さんと一緒に過去に戻るから。

 私が1人で過去に戻るのは6日だけになる。

 


「そうだ。1つ聞いとかないとな。星村さんは、旦那さんに何て言って家をあけるんだ?」

「そうですね。そこを考えていなかったです。何て言うべきでしょうか?」

「家族が体調悪いとか?」

「残念ながらいません」

「じゃあ、友達は?」

「そちらもいません」

「じゃあ、どうすんだよ」



 月城さんは頭を抱えている。

 3日間も黙っていなくなることは出来ないし。

 かといって、嘘もつけない。

 私だって、どうすればいいかわからない。

 過去に戻らなければ、未来を変えることはできない。

 そうは言っても。

 何て言って出掛ければいい。

 考えなきゃ。

 考えるしかない。

 

 そうじゃなきゃ。

 私は、また夫と。



「深夜1時に、またここで待ち合わせだ。もし、来なかったら。俺、一人で行く。わかったな?」

「わかりました」

「ある程度。情報を持っていく必要があるから。また、あとで」

「はい」



 何も言わない私に月城さんが呆れたのがわかる。

 連絡先は、交換しなかった。

 右手を上に上げて、月城さんは帰って行った。


 夫への言い訳を考えなければ、私は置いて行かれる。

 だけど、使えるものなど……。



ーーあっ。

 ひとつだけあった。

 両親はもういないし、友達もいない。

 だけど、従姉妹だけはまだ存在している。

 7つ下の従姉妹。



 メッセージアプリを起動させる。

 1年に1回。

 明けましておめでとうをいう関係だけの従姉妹。

 そんな従姉妹に連絡をとるなんて思わなかった。

 


【夫といろいろあって。何も聞かずに3日間泊まってることにしてくれない?】



 意味のわからないメッセージを送る。

 従姉妹からは、OKとスタンプが届いた。

 彼女は、こういう人。

 昔から、めんどうなことが嫌いだから。

 何も聞かないし。

 何も言わない。


 彼女は家族に対しても同じで。

 姉の病気がわかった時も同じだった。

 姉の最後の言葉は、「もっと本音で話したかった」だった。

 伯母さんがそれをずっとお葬式で話していたのを覚えている。



「冷たい子なのねーー」と姉の夫の親戚達に言われていた。

 それでも、彼女は気にする素振りを見せていなかった。

 私は、そんな彼女を気に入っている。

 

 

【ありがとう】とスタンプを送信した。

 これで、私も過去に戻れる。

 家に帰って準備をしなくちゃ。


 私は急いで家に帰る。

 心は、ウキウキしているから足取りが軽い。

 うまく行けば、夫と結婚することはない。

 だって……殺してもらうのだから。


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