1
またまた見切り発車君の私発車!
「いやー、やっぱいいな!この漫画!」
俺が現在読んでいたのは『最強剣士が幼馴染と敵対したら』という作品だ。まぁタイトル通り主人公が幼馴染のヒロインと敵対するファンタジー系の作品なのだがなかなかに設定が凝られており人を引き付けるような作品だ。これを作った人は称賛にあたいする。
「む、これ第九巻が抜けてるじゃないか」
これは全巻一気に友神に借りたのだがどうやら一巻だけ抜け落ちていたらしい。まぁあいつ自身もお気に入りとか言ってたし仕方ないか……だが気になるのは事実、今から借りに行くか。
「転移」
その場に直立して一言いうと目の前の光景が一瞬で切り替わり、一軒の家の前に着いた。
「おじゃましまーす、おらっ」
バキャッ!
鍵が閉まっていたドアを開けて家の中に入る。ここじゃ物取りなんていないだろうにあいつは相変わらず用心深いな。
「おーい、いないのかレイズ」
部屋を一通り見てみるも全くいる気がしない気配も一切ないしな。
「うーん……仕方がない、今日の所は帰るか」
見える範囲にある本棚をあらかた漁って見たが丸々一か所受けている場所以外は特におかしなところもなく、それも俺が借りた本があった位置だろうし、あいつ本人に聞くまではわからないか。
ん?なんだ?なんか足元に急に魔法陣が出てきたんだが、これは……召喚魔法か?用は無いフンッ!
足を踏み抜くとパリンッとガラスが割れるような音とともに下の魔法陣が消え去った。
今のはなんだったんだろうか?
ちなみに召喚魔法とはその名の通りどこかの術者がその魔法を使用し、どこかから対象を呼び出すという魔法だ。召喚される方に足元には召喚魔法陣が現れるがそれを壊すことによって召喚を拒否することもできるというものだ。
「あれ?ドア壊れてるじゃんまたアーレス?」
「その通りだぞレイズ」
丁度帰ろうとした所で入口の方から声がして向かったら予想通りこの家の神であるレイズがタイミングよく帰ってきたところだった。
ちなみにレイズは明るい金髪に金瞳で髪はさらさらとしたショートが特徴のショタだ。暗めの黒目黒髪でわりと長身の俺と隣にいると真逆の印象を受けるだろう。
「どうしたのさアーレス。あっもしかして昨日貸したマンガ読み終わって返しに来たの?」
「いや、実はかなり面白くて読みふけっていたんだが九巻が抜けていてな、続きが気になったからお前なら何か知ってないかとな」
「えー、抜けてたぁ?うーん」
レイズはその場で両手を組み唸って考えるしぐさをする。
「あぁ思い出した!」
「おお」
少し待つとどうやらきちんと思い出したようだ。これで続きが読める!
「確か九巻はアティスに貸したままだったんだよ」
「はぁ!?あいつに貸しててんのかよ……」
俺とあいつは一応幼馴染なのだが俺はどうにもあいつが苦手だ。もっと言ったら怖い、正直に言えば顔をあわせたくない奴だ。
「お前が借りてきてくれよ~」
「いやだよ、僕だってこれから友達と遊びに行くし、創造神のクリェトにドアの修理も頼まないとだし。少なくとも今月中は無理だね、どうしても自分で読みたいならちゃんとアーレスが受け取りに行ってね」
マジかよ、茫然としていると本当にすぐに用があったのかいくつか荷物を取ると俺がいるにもかかわらずどこかへ向かってしまった。まぁ俺とあいつは昔からこんな関係だったからいいんだけどな。
とりあえず今日は面倒になったから帰って寝るか、九巻については明日考えればいい。がんばれ明日の俺。
「転移」
家に戻ると同時にベッドへ飛び込み、俺は意識を手放すのだった。
最初の数話は結構早めに投稿しますかね。(多分)
まぁ「行けたら行く」って言われた気分でいてくれ(笑)。




