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無駄な税金は無くした方が良い。

タイトルを戻すのを忘れていたので今、本来のタイトルに戻しますw

 新納(しんのう)に取り込まれたと思われた鬼哭(きこく)だったが、内部から強烈な怨念を放出して逆に新納を浸食した。


 新納は鬼哭に完全に浸食される前に再び姿を消した。邪魔者を追い出した鬼哭は得意になってキヒダに憑り付く。


 鬼哭を憑依させたキヒダが叫ぶ。


「この力があればワシは無敵じゃッ!!貴様らアマル共々殺してくれるわッ!!」


 その直後、ずっと隠れていたシーちゃんが実体化を解いて嬉々として叫ぶキヒダの足をガッと掴んだ。


「そーはいかんでしゅよっ!!」

「ぅっ、うわァッ!!…な、なんだちびのわっぱか!!驚かせおって!!このワシをどうにか出来るとでも思っておるのかッ!?」

≪そーじゃ!!キヒダよ!!まずはその生意気なちびを殺してやるのだッ!!≫


 キヒダの体内から叫ぶ鬼哭。キヒダは腰に下げていた刀を抜くと足元にいるシーちゃんに向けて刀を突き刺した。


 しかし無属性魔法『反発』で刀を弾き飛ばしたシーちゃんはヒキダの膝裏に蹴りを喰らわせる。


「…ぐわッ!!なっ、何するかわっぱッ!!」


 膝裏を蹴られて後ろにバランスを崩したキヒダの足を掴み直したシーちゃんが無属性魔法を使って片手でキヒダをジャイアントスイングでぶんぶん回す。


「うわわわッ!!ちょっ、こっ、コラッ!!やめんかッ、わっ、わっぱ!!」


 シーちゃんはキヒダの抗議をスルーして、そのまま後ろの壁に激突させた。


「…グハッ…こ、このっ…わ、わっぱ…が…」

 

 突然の展開に俺は呆気に取られていた。


「ワハハッ!!シーよ!!ナイスだッ!!もっと痛めつけてやれッ(笑)!!」


 俺の後ろでクレアが笑いながらシーちゃんを煽っている。続けてシーちゃんは壁に激突してグッタリしているキヒダの足を掴むと、無属性魔法で強制的に持ち上げて上から床に激しく叩き付けた。


「グハッ…わっ、わっぱめがァァッ…」


 しかしシーちゃんの攻撃はそこで終わりではなかった。そのままキヒダを宙に放り投げるとその背後にジャンプする。そしてシーちゃんが叫んだ。


「これは椿姫の分でしゅっ!!おぉぉっ!!おらおらでしゅっ!!おらおらおらおらおらぁーっ!!」


 シーちゃんがキヒダの背後から連続拳打の攻撃を浴びせ掛けた。背後からボコられたキヒダがこっちに吹っ飛んでくる。


「よしっ!!ナイスだシーちゃん!!後は俺が止めを刺…」


 叫ぶ俺の横を黒い怒気を放つクレアが一瞬にして通り過ぎた。そしてクレアは不敵な笑いを見せながら既に瀕死のキヒダの首を掴み上げた。


「…あっ、オイィィッ!!クレアッ!!最後のトドメは俺がッ…」


 止める間もなくクレアが声を上げた。


「わらわからも椿の無念の分を上乗せしてやろう!!行くぞッ!!オオォッ…!!」


 クレアはプラズマ闘気を両腕に纏わせると、拳打のラッシュ攻撃をキヒダと鬼哭に浴びせた。


「ウラウラウラウラァッ!!ウラウラウラウラウラウラウラウラウラァーッ!!あの世で土下座して謝罪するんだなッ!!」


 吹っ飛んだキヒダがギリギリ人間の原形を留めているのを見ると少しは加減しているようだが…。その後、キヒダの身体から飛び出した鬼哭を捕まるクレア。


「そう言えばお前が元凶だったな。二度と悪さ出来ぬようにわらわが取り込んでやろう!!」

≪…あぁぁ…バカな…古代より魂を集め続けた怨霊のわたしがこんな所で…≫


 クレアが『怨蝕』で瀕死の鬼哭を取り込んであっさり終わった…。


 しかし何で俺が最後の締めをやろうとするとコイツはいつも出てくるんだよっ!!ここは俺が締めるとこなんだよォォッ!!


 俺の心の叫びなどどこ吹く風でスッキリした顔のクレアとシーちゃんがケラケラ笑っていた…。


 …この二人は俺の立場ってもんを考えてくれないのかね…。アマル、エイムはそんな二人を見て苦笑いを見せていた。



 キヒダとの決着を付けた俺はようやく椿姫の依頼を果たせた事にほっとしていた。


「ホワイトさん、安心するのは早いですよ?まだ霊体の方が隠れています…」

「…そうだ、まだ新納がいたな。しかし、リーちゃんでも追跡出来ないのにどうやって探すんだ?」


 俺の問にエイムが笑いながら答えた。


「わたしの精密解析で既にどこにいるかは判明しています」


 そう言うと一瞬にしてクレアの背後に周るエイム。そしてクレアの背後に隠れていた新納の首を掴んだ。


「なんだとッ!?わらわの背後にいたのかッ!?」

「えぇ、この方は霊体がスキルその物なのです。そしてスキル素粒子を更に小さく分解しています。この特有の能力によってスキル素粒子での追跡を不能にし、気配すら跡形もなく消えた様に見えるのです」


 つまり自身の霊体がスキル素粒子を更に小さく分解する事で残留粒子を残す事なく姿を消して追跡を逃れていたって事だな。それで視えなかったのか…。


≪…ぐッ…放せッ!!キサマ、殺すぞッ…≫


 エイムに掴まれた新納は声を上げて暴れるがエイムが腕からプラズマを出していた為に逃れられなかった。


「では霊体の方、東鳳の今後の為にも消えて貰います。ではさようなら」

≪…クソッ、放せッ…!!≫


 しかし、エイムが高電圧プラズマスパークで新納を消し去ろうとした瞬間、突如として高圧エネルギーが天井を突き破って新納を掴んでいるエイムの左手に直撃した。


 俺は上を見上げる。高圧エネルギーは天井を突き破って下まで貫通している。なぜ突然、上空からエネルギーが落ちた?


「なんだッ!?いきなり何だ?…雷撃か!?」

「いえ、先程のエネルギーはレーザーですね」


 冷静に答えるエイムの左手は手首から先が飛んでいた。


「…エイム殿、左手が…」


 突然降って来た高圧エネルギーによって左手を飛ばされたエイムの心配をするアマル。しかしエイムはさして何もなかったかのように手を拾い上げる。


「大丈夫ですよ(笑)?わたしは自己修復機能を持っていますのでご心配なく…それより、霊体の方が完全にこの辺りから消えいます。しかしわたしの特殊装甲の隙間を極細レーザーで狙うとは…どちら様か知りませぬが中々の命中精度ですね(笑)」


 エイムは笑っていたが俺は新納が気になっていた。新納は消されたのか?だとしたら誰に…?俺が消えた新納の事を考えていると突然、王国のエージェントが現れた。


「エージェント9です。ホワイトさん、タイソの各領地から軍がこちらに迫っております!!」

「はっ!?どうしてタイソの地方軍が動いてる!?」


 一難去ってまた一難か…。


 知らせを受けた俺はすぐに天守の窓から西を見た。


 確かに土埃を上げて三方向からヨウカ、ユウシャク、カエイの軍が迫っていた。どうなってる?タイソの地方軍はリベルトから動かないように伝達が行ってるはずだ。


 キヒダと鬼哭は既に倒しているが今、介入されると三部族連合軍と激突してしまう。


「ホワイトさん、どうしますか?我々で止めましょうか?」


 エイムに言われて俺は頷く。


「もう戦争は終わったんだ。これ以上、血を流す必要はない」


 俺はすぐに指示を出す。エージェント9とシーちゃんにアマダの護衛を頼んだ後、タイソの三太守と面識のある俺達がタイソの地方軍を止める為に出向く事にした。


 クレアにはヨウカに、エイムにはカエイに会いに行って貰う。そしてユウシャクには俺が会いに行く事にした。


 そして俺達が行動に移ろうとした時、リベルトが現れた。


「…驚かせて大変申し訳ない。動かぬようにとお伝えしましたが新たに王位に就くアマル殿に挨拶をと言う事でこちらに向かっているようです」


 リベルトに詳しく聞くと、三太守はキヒダの援軍で軍を発したのではなと言う。新たに王の座に就くアマルへの挨拶のようだが…。


 しかし、そんなリベルトにクレアが突っ込んだ。


「挨拶だけでなぜヤツらは軍を引き連れている?お主、騙されて利用されているのではないか?」

「奥様のおっしゃることは最もですがこれから東鳳はアマル殿を中心に纏まらねばならぬのです。その為にはお互いの思惑が判明するまでは保身の為に軍を連れてくるのは当然の事です。


 リベルトの抗弁に唸るクレア。


「…解った。まずは俺達が会いに行く。アマルさんはその後、合流して下さい」


 しかしアマルは首を横に振った。


「今まで争っていたとはいえこれから東鳳の各地を収める者達にはわたし自身が会わねばならぬでしょう…」


 それを聞いた俺はすぐにヒスイ城内に残る者達の説得をエイムとクレア、シーちゃんに任せる。そして俺はリベルト、アマルと共にタイソの三太守を迎えるべく、城門の外にある三部族連合の本陣まで転移した。



 陣幕内でアマルを中心にヤナギ、ビショウ、ヨウカ、ユウシャク、カエイが簡素な作戦台の机を囲む。俺とリベルトは仲介人として各代表が集まっての話し合いを見届ける。


 今後の東鳳の領地問題はアマダ王当時まで遡り、戻す事とした。タイソ三太守に付いては今後も領地経営を任せる事で一致。ヤマタ、ビジュウに付いても同じとし、アマトには新たに太守を任命する事になった。


 税については二重課税、無用な税は廃止とした。長らく戦争が続いた為、当面の間は税率も大幅に下げる事で一致した。


 キヒダが施行した課税はタイソ三都市にも掛けられていたのでそれが解除される事で三太守もホッとしたようだ。


 続けて米の分配についてリベルトから説明をした。


 アマルと各領地の太守の話し合いは問題なく無事終わった。逆に言えば今までのキヒダの政治はそれ程に酷かったとも言える。


 そして後日、キヒダに代わり新たにアマルの王位就任を東鳳全土に向けて発表した。続く無用な税の廃止、税率の引き下げ、食料の再分配の声明に東鳳全土が沸いた。


 俺達はキヒダと鬼哭を倒し、何とか無事、東鳳正常化に成功した。



 俺達は館の地下にいた。キヒダを倒してアマルが王位に就いた事、東鳳の各部族と各地方の領主も新王アマルを中心として再び結束した事を報告した。


≪父の無念を晴らし、わたしの無理なお願いを聞いて下さり、ありがとうございました≫


 そう言って頭を下げる椿姫。


「いや、実はキヒダと鬼哭を倒したのはクレアとシーちゃんなんだ。シーちゃんが痛めつけてクレアがトドメ刺したんだよw」

≪えっ!?そうなんですか?≫

「だから言ったであろう?我らファミリーに任せればこの様な事、造作もない事なのだ(笑)!!」

「そーでしゅ。シー達にまかせればこんなモンでしゅ(笑)!!」


 そう言いながら大きな声でクレアとシーちゃんが笑う。椿姫はクレアとシーちゃんを見て改めて頭を下げてお礼を言っていた。


「元凶だった鬼哭はクレア姉さまが取り込んだからの。もう大丈夫じゃ」


 ティーちゃんの説明に頷く椿姫。


「しばらくしたら今回の戦で命を落とした者達の供養を東鳳でやるそうじゃ。椿姫も一緒に行くじゃろ?」

「はい。父上とタイエン様の成仏を願い、見届けます!!」


 その強い言葉に一同が頷く。そこへセーナさんが降りて来た。


「皆さん、夕食の準備が出来ましたよ?」


 セーナさんに呼ばれた俺達は上階に戻る。ウィルザーとブラントも来ていた。俺はウィルザーにアマルからの支援に対する礼を伝える。ついでにエージェント派遣についての礼もしておいた。


 俺、フラム、クレア、ティーちゃん、シーちゃん、リーちゃん、リベルト、エイム、セーナさんとレーナさん、フィーちゃん。リックと椿姫とアーキンド一家。


 そしてウィルザー、ブラント、融真、キャサリン、クライ、ジョニー、キース、レイザ、ルドルフ、アマナがビールの入ったグラスを掲げる。子供達はもちろんジュースですw


 皆を代表して俺が乾杯の音頭を取った。


「東鳳正常化の成功を祝って乾杯!!」

「今夜は宴会だからな!!遠慮なく呑めよ(笑)?」


 ウィルザーの言葉に皆が笑う。今回はシェフ、使用人、酒類も全て王宮から出してくれたそうだ。豪華に並ぶ肉料理に皆の目が輝く。特にクレアとフィーちゃんはテンション上がりまくっていたw


 ウィルザーが言うまでもなく夕食は宴会になったw


 さて、次は東鳳にある青龍の里に行かなければならない。俺とエイムは青龍の爺さんから来るように言われているからね。

 

 休息日として3日程休んだ後、俺達は再び東鳳に向かう事にした。

いつもアクセスありがとうございます。最後がバタバタと急展開になりましたが今回で『東鳳編』は終わりです。スミマセン、番外編を忘れてました。訂正します。次は二週ほど開けて8月22日金曜日から番外編を2話ほど挟んで『黒龍の里編』を始めます。


皆さん、これからもよろしくです~ヾ^∀^ノ


 

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