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第十九話 竜の肉

「それで、一体どうするんだい?」

店主がごくりとつばを飲み込むのが分かった。


「その前にもう一度お尋ねします。これらの料理を食べたのは初めてですか?」

「そりゃ、今初めて食べたよ。こんなに美味しい部位を今まで捨てていたかと思うと残念だ」


それを聞いて私は安心した。


「ならば、この肉を牛肉として売るのはやめましょう」

「えっ?」

「ここはちょっとした嘘をつくんです」


私は少し考え込むふりをする。


「そうですね、竜の肉とでもいいましょう。そうすればお客さんがたくさん来るはずです」

「竜の肉!?だめだ、そんな嘘すぐにばれる」

店主は慌てる。


「いいえ、ばれません。なぜならこの肉は初めての味だからです。これは先程店主さんにも確認しました」

「あぁ、そうだが・・・」


「さっきは牛肉と分かっていて食べました。でももし仮に何も知らない状態でこれを食べて私がこれは豚肉ですといったら、店主さんは豚肉と信じたのではありませんか?」


この話を聞いて店主はようやく私の言っていることがわかったようだった。


「確かに。何も知らないのであれば私は豚肉と信じただろう」

「それと同じことです。つまりは言ったもん勝ちなんです」

私は微笑みかける。


「では、お聞きします。どれくらいでこれらの部位を集められますか?」

「そう難しくはないだろう。なにせ普段は捨てられている部位だからな。五日、いや三日で集められるだろう」

「では三日後、またこの店で会いましょう」

「分かった」

店主は頷いた。


ここで私は一応念を押しておく。

「いいですか?内臓を集めるときに怪しまれてはいけません。店主さんが牛肉を集めまわっていることが知れれば、この計画は水の泡です」

「もちろん。すでに何個か言い訳が思いついている」

「それは良かったです」


私が去ろうとすると、店主が声をかけてきた。

「モモコちゃんはどうするんだい?」

「私は別の仕事がありますので」


そういって私たちは解散した。



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