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ALC0323⇔オリジナル錬金アイテムの威力を確かめました

 

 『呪いの街』への遠征の許可が伯爵家から下りるまでの10日間。

 私は店番をルーリーとジュリアに頼み、ひたすら街近辺のモンスターを倒しレベル上げに勤しんだ。

 レベル上げにはゼギルが同行してくれたので、彼が前衛、私が後方からの遠距離攻撃という形で次々とモンスターを蹴散らして行く。


 基本的に錬金術師の攻撃方法は、自身が錬金した『玉』と呼ばれる錬金アイテムを駆使し戦うスタイルにある。

 『玉』には大きくカテゴリーを分けると『攻撃玉』『防御玉』『回復玉』『その他』に分けられる。

 お店のオープン初日に売り切れた『ヒール玉』は『回復玉』のカテゴリーに含まれ、『閃光玉』や『逃亡玉』などは『その他』に分類される。


 そして『玉』という明記の無い錬金アイテムは基本的に誰でも使用可能であり、その種類もまた膨大に存在する。

 消費アイテムやアクセサリー、武器や防具や錬金獣まで、用途は幅広い。




「《俺の力は大地を揺るがし神をも怯ませる》《シールド・イクスプロウド》!!!」


 ゼギルが敵集団にお決まりの盾爆弾をぶち当てる。


「今だ! サナエ!」


「分っているわよ」


 気絶した敵集団に対し、私はアイテム欄から『亡霊騎士の怨念玉』を取り出し投げ付ける。


「あ、ゼギル。巻き添え食うから逃げた方が良いわよ」


「ああ?」


 敵集団の中心に投げられた『玉』がボンッと音を立て紫色の煙が立ち上る。

 そしてその『玉』から現れ出たのは首の無い鎧を着た騎士が10名程。


「ゆけ、亡霊騎士共よ。その血塗られた槍で敵を殲滅しなさい」


 私の掛け声と共に一斉に騎士達が上空へと飛び立つ。

 綺麗に円状に並び上がった10名の騎士は、その手に持った血塗られた槍を敵集団に向け照準を定め、赤黒く変色した槍は徐々に巨大化して行く。


「おいおいおいおい!!」


 ゼギルが顔を真っ青にしながら急いで敵集団から距離を取り、その両の手に持った大盾を構え防御の姿勢を取る。


「――|《血塗られた槍のブラッディ・レインスピア》」


 私がそう呟くと一斉に巨大化した槍を投下する亡霊騎士達。

 赤黒い10の光に包まれた大槍は敵集団に直撃したと同時に大爆発。

 役目を終えた亡霊騎士らは上空で一瞬の内に異界の扉からこの世を去る。


「・・・」


 『目が点』状態のゼギル。

 無理も無い。

 この『亡霊騎士の怨念玉』はALC300で作成出来る私オリジナルの錬金アイテムなのだ。

 アイディアは、まだ『今』は完成していない、ルーファスのオーダーメイドの剣である『血盟剣ブラッドグラム』と、《グランデイティス共和国》に出現するモンスターである【朽ちた兵士の怨念】だ。


 ルーファスから分けてもらった錬金素材の中にかのモンスターの素材がいくつか混ざっていたので、それらと他の素材を調合し、本来ならば『武器強化素材』である『大槍』の素材も混ぜ込み、【デザートスネーク】の血を10匹分配合させ『攻撃玉』としてオリジナル錬金をする。


 そして錬金中のイメージはあの『血盟剣』にし、ようやく『亡霊騎士の怨念玉』が完成したと言う訳だ。



「まあまあの威力かしらね」


 しかし『玉』を投げた後に、上空から大槍が投下されるまでのチャージ時間が長いのが難点ではある。

 さっきみたいにゼギルが敵集団に突っ込み『気絶』状態にでもしてもらえなければ、容易く避けられてしまう大技。

 使い所が難しいが、戦況を見極めるのも後方で全体を見ながら行動する『錬金術師』の役割でもあるのだ。

 これぐらい出来なければ『旅の話術士』を倒す事なんか夢のまた夢だろう。



「……サナエ」


「ん? なあに? ゼギル」


 俯いたままゼギルが私の名を呼ぶ。


「今度やったらぜってーぶっ殺す!! 先に言えよ! あんな大技使うんならよ! 危うく俺まで巻き込まれる所だったじゃねえかよ!」


「あら、言ったじゃない。『逃げた方が良いわよ』って」


「遅いだろ! お前『玉』を投げてから言っただろ! うわ、マジムカつくこの女……!!」


「唾を飛ばさないで。脳筋が感染うつるわ」


感染うつるかっ!!」


 『脳筋』の部分は否定しないのか、と一瞬思ったが、話が拗れそうなので止めておく。


「ほら、いい歳した男がギャーギャー喚いてないで。次が来たわよ」


 遠くからまた別のモンスターの集団がこちらに近付いて来るのが見える。


「お前があんな大技を使うから寄って来たんだろうがっ!!」


 ゼギルが戦闘態勢に入る。

 私は彼の背中に『ヒール玉』をぶち当てる。


「いてっ!」


 途端に淡い緑色の光に包まれるゼギル。

 彼のHPは瞬く間に全快する。


「回復玉。貴方、結構ダメージを受けていたでしょう?」


「だからって背後から何にも言わずに投げつけるなよ! しかも結構な速度で!」


「細かいことをごちゃごちゃと五月蝿いわね。取り外すわよ」


「意味わかんねえよ! 何をどうやったら取り外せんだよ! て言うか何をだよっ!!」


 いつも通りの押し問答。

 どうも彼に対しては毒を吐いてしまう癖が治らない。

 そして間髪入れずに突っ込みを入れてくるゼギルに対し、また毒を吐く。

 2周目の『今回』では、まだ出会って一月も経ってはいないと言うのに。

 何なんだろう、このテンポの良さは。


「……んだよ。何笑ってんだよ……。調子狂うな、おめぇとはよ……」


 そう言い再度敵集団に振り向き戦闘態勢に入るゼギル。

 私はつい、彼の大きな背中に見惚れてしまう。


「(いつも、ありがとうね、ゼギル……)」


 私は彼に聞こえない様にそう呟く。


 一度も、だ。

 

 ここに無理矢理ゼギルを連れて来て、私のレベル上げに付き合わせて。

 かれこれ5時間は戦いっぱなしのこの状況で。

 たったの一度も・・・・・・・、私はダメージを受けてはいない。


 レベルの低いうちの『錬金術師』は下手をすれば一撃でモンスターにやられてしまう可能性がある。

 当然そんな事にならない様に、VIT強化薬やHP上昇薬を使用し、更には『身代わり髑髏』もアクセサリーとして装備している。


 『身代わり髑髏』はお店でも回転率の高い錬金アイテムの1つだ。

 装備者が『瀕死状態』になるのを一度だけ防いでくれる、云わば『保険』の様な錬金アイテム。

 私はそれを『アクセサリー②』と『アクセサリー③』にそれぞれ装備している。


 これは『錬金術師』やその他の後方支援型の職業には必須のアイテムとも言える。

 予想外の攻撃に対して特に効果を発揮するのがこの『身代わり髑髏』なのだ。


(……しかし、多分これも『旅の話術士』の『コード』は潜り抜けてくる筈……)


 一応『奴』との戦闘でも装備して挑むつもりではあるが、奴ならばいとも簡単に無効化してしまうのだろう。

 通常の攻撃方法では駄目だ。

 そして私はたった一つだけ、奴の『コード』を潜り抜けられる可能性のある攻撃法を知っている。

 既にいくつか構想は練ってある。

 後は、その『武器』が作り出せる『時期』を待つだけだ。



「来るぜ」


 ゼギルの一言で思考を中断する私。

 

 私が死ねば、きっと彼もまた悲しむだろう。

 あの泣く子も黙る屈強な盾護士ディフィンダーであるゼギルの情けない顔が思い浮かぶ。

 

 私は彼の事をどう思っているのだろう。

 

 『旅の話術士』を撃破したら私は――。



 


 モンスターの集団を眼前に控え、今考えた『未来』を振り払い――。



 ――私はまたウインドウを開き、錬金アイテムの選択に移行する。



















『錬金リスト 《オリジナル錬金》 【亡霊騎士の怨念玉】 ALC300 


 【錬金素材】

 ぼろぼろの鎧(朽ちた兵士の怨念/nomal)×10

 中和剤(錬金アイテム)×5

 腐った肉(ダークレイス/nomal)×10

 防腐薬(錬金アイテム)×3

 【武器強化素材】

 大槍強化素材×10

 【追加素材】

 生臭い血(デザートスネーク/nomal)×10

 【錬金イメージ】

 血盟剣ブラッドグラム(召喚錬金)                 』

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