ALC0296⇔私、ずっとある事が引っ掛かっていました
出発当日の深夜0時。
レミルから大量の錬金アイテムを持たされた私は、既に街の門で待機していたルーファスらと合流する。
「何もこんなに持たさなくても……。心配性なんだからレミルも……」
アイテム欄を見るとびっしりと錬金アイテムが並んでいる。
何だかんだで私のALCも300近くまで上昇している。
戦闘中に錬金アイテムを錬金術師が使用するのにもこのALCは重要な数値だから、ようやく私はある程度の戦力を得たという事なのだろうが……。
「ふふ、それだけサナエさんの事を大事に思っているという事なのですよ、きっと」
馬車で待機していたアーネルがそう微笑んで言う。
「え……。ならもっと日々の激務が減ってお給料がアップしても良いと思うのですが……」
私は冗談交じりにそう切り返す。
でも本当は気付いている。
レミルは以前ルーファスらと『旅の話術士』の足取りを追うために遠征しているのだ。
その時、既に『危険人物』として王宮から直に捜索依頼が来ていたという事だから、その危険度は重々承知だった筈。
今度はその大役が私に回って来たのだ。
心配しない筈が無い。
「さなえ、こわい? かおいろ、わるい」
ケリーが心配そうに私の顔を見上げる。
そう言えばここ数ヶ月でケリーの背が伸びた様に思う。
最初会った時は私とちょうど頭一個分背が低かったケリーだが、今は私の鼻の高さくらいまで背が伸びている。
「ううん、大丈夫。だってケリー君がいるんだもん。頼りにしてるわよ? ナイト様」
私がそう言い、頭を撫でてやるとケリーはにい、と満面の笑みで返してくれた。
「装備はどうだ? お前は打たれ弱いんだから、ある程度の防具は新調して来たんだろう?」
馬車の操縦席から私を見下ろしながらゼギルがそう言う。
今は白衣の下に隠れている私の防具が気になるような素振りで。
「あら、ゼギル。レディの服の中身が知りたいなんて……。とんだハレンチマッチョなのね、貴方」
私が冗談でそう言うと、顔を真っ赤にしながら唾を飛ばしながらもギャーギャーと騒ぐゼギル。
それを見ながら笑顔で馬車から顔を出すルーファス。
「はは、相変わらずだねサナエ。さあ、あまり時間が無い。早速だけど出発と行こうか。話の続きは道中で、ね」
そう言い私に手を差し出すルーファス。
私はその手を取り馬車へと乗り込んだ。
◆◇◆◇
「じゃじゃーん。どう? ゼギル。サナエちゃんは白一色でコーディネートしてみましたー」
早速車内で装備を披露する私。
胴も腰もこの『白衣』と同じ『翼白竜の素材』で作られた服だ。
なけなしのお給料を叩き、防具屋で装備を新調し、更には鍛冶屋に持って行きランクを『C』まで上昇させた。
……お陰で財布の中身はスッカラカン……。
「み、見た目なんてどうでも良いだろうが! だ、大事なのは『DEF』がいくつかって事だろう!」
ゼギルが馬車を操縦しならがチラチラと私の服をチラ見する。
「……なんでちょっと顔が赤くなってキョドってるのよ気持ち悪い……」
何だか最近ゼギルの様子が特におかしい。
私と目が合うとすぐに逸らすし。
何かしましたかね、私。
「はは、凄く似合っているよサナエ。どうだい? 向こうに着いたら僕と一緒に夜景の見える場所でワインでも飲まないかい?」
ルーファスはおどけてそう言ってみせる。
「……遠征先で任務中に酒はマズイだろ酒は……」
私はじと目でルーファスに釘を打つ。
何となくこいつならやりかねないと思い、苦笑いも忘れない。
「良いですね、サナエさんは皆さんからおモテになられて……。私も殿方にキョドられたり飲みに誘われたりされてみたいですわ……」
はあ、と溜息交じりにそう言うアーネル。
「……アーネル。聖職者の身である貴女がそれを言ってはいかんよ。色々とNG発言だぞそれ……」
私は男共に色気をばら撒き酒を煽る司祭服姿のアーネルを想像し吹き出してしまう。
「えぬじーはつげん、よくわからない。でもさなえ、うれしそう」
ケリーはきゃっきゃっと騒ぎながらも私に抱き付いて来る。
こういう所はまだ子供だ。
私はゴロゴロと猫なで声のケリーの頭を撫でてやる。
「クウウン」
「あ、くまごろう。ゴメンね、こんな時間に起こしちゃって」
私の胸に顔を埋めているケリーの目の前に、眠い目をしたくまごろうが出現する。
連れて来るのは可哀想な気もしたのだが、これでも立派な私専属の錬金獣。
この子がいなければ、下手をすれば私はモンスターのたったの『一撃』で倒されてしまう可能性だってあるのだ。
『錬金獣の基本的な役割は主人である錬金術師の盾となる事』。
出発前にレミルにきつくそう教えられ、なくなく気持ち良さそうに寝ていたくまごろうを懐に入れ連れて来たのだが……。
「くまごろう、ねむそう。ごめんな、おこしちゃって」
ケリーはくまごろうを抱き、自身の頬に優しく頬ずりをする。
それが気持ち良いのか、くまごろうは大きく欠伸をし、再度眠りについてしまった。
「やっぱり可愛いですわ……。私、この旅が終わったらもう一度レミルさんに錬金獣の件、相談してみようと思います」
決意した表情でそう言うアーネル。
結局、前に頼んでいたアーネル専属の錬金獣の件はお流れになってしまったらしい。
もうそろそろ私とレミルの『共同錬金』ならば作り出す事が出来るのではないだろうか。
帰ったら私からもレミルに頼んでみよう。
「さあ、そろそろ本題に入ろうか」
ルーファスの一声で、皆真剣な表情に戻る。
「目的地の《レイムドルグ》の街まではここから約2820UL。前に向ったアーグリッド湿原を越え、その先のジャイロ大橋を越える。そしてそのまま《グランデイティス共和国》に入り進路を南へ変更、グランデイティス共和国からは既に入国許可証を貰っているから……」
ルーファスの説明は続く。
その辺りの細かい地理は未だに良く分らないのだが、この馬車で向うには、道中の道と言えない様な獣道を通過する事を含めて、片道丸2日は掛かる長旅となる。
当然その間の5人プラス一匹の分の食糧も十分に用意はしてあるし、様々な錬金アイテム、回復薬、復活アイテム、さらには私の『民間薬』や試作の『青い奇跡』も一個だけ用意してある。
なので余程の事が無い限り大事には至らない筈なのだが、しかし相手は『未知の人物』だ。
これだけ各国に『危険人物』として名を広めている旅の話術士。
流石に直接対峙し戦闘に入るような真似はルーファスならばしないとは思うが、神出鬼没の敵だけに何が起こるか分らない。
(……何か『隠れ蓑』になるような物でも使っているのかしら……)
誰にも気付かれず、街を転々とする能力。
それはもはや『話術士』としての能力を大きく超えている気がする。
ルーファス以外にも各国から捜索や情報提供を求められた者などいくらでもいるのだろう。
なのにポツリポツリと目撃情報がある以外は何も分っていないと言う。
(……『御伽噺』、か。一体何を吹聴して回っているんだか。あの『詐欺師』め……)
先のハクナ族の事件を思い出す。
たまたまこの街に訪れたと言う旅の話術士。
彼がハクナ族の族長と四大伯爵家との『通訳』を買って出、そして『嘘の内容』を伯爵家側に流したのだ。
それにより言葉の通じないハクナ族は迫害を受け、餓死者も多数出てしまった。
(……何が目的なの? ハクナ族に恨みでもあったの? あんなにひっそりと移民を繰り返しながら生活している少数民族である彼らに?)
きっとそれは無いだろう。
彼らの誤解が解かれた今、食べられる喜びと働ける喜びに満ち溢れた彼らは人一倍働き、通常の納税額よりも多くの税を納めている。
彼らなりに今まで納税出来なかった分を上乗せして返そうと努力しているのだ。
伯爵家側は今までの未納分は『誤解により生じたもの』として請求しない事に決定したというのに。
そんな彼らに恨みを持つ?
どう考えてもそれはおかしい。
いや、それよりも、もっとずっと引っかかる部分があった。
旅の話術士は彼らが『飢えている』と知っていた。
しかしその内容を敢えて通訳しなかった。
だが、もしもハクナ族側が身振り手振りで『飢えている』事を表現すれば、いずれ街の人間も気付いていたかも知れないのだ。
なのに旅の話術士は、まるで『飢えている』事を街の住人達が信じない事を分っていたような行動を取っている。
そう――。
――まるで、低アルブミン血症により腹水が溜まり、太っている様に見える事を知っていたかの様に。
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NAME サナエ・クジハラ/錬金術師【SUB】
LV 13
HP 2980/2980
SP 310/310
MP 3040/3040
STR 26
ATK 61
VIT 39
DEF 145
DEX 55
AGI 49
INT 356
MAT 651
MDE 786
HIT 31
LUC 42
MED 704
ALC 296
右手/闇の腕輪〔E-〕
左手/光の腕輪〔E-〕
頭/小鋏蟹のヘアピン〔D-〕
胴/翼白竜の背皮服〔C-〕
腰/翼白竜のスカート〔C+〕
足/硬角竜の角革靴〔C+〕
アクセサリー①/薬学全書
アクセサリー②/翼白竜の薄皮服
アクセサリー③/十字架のイヤリング〔D-〕
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