最終話: そして真の未来へ
世界システムの再起動が完了し、新緑の穏やかな魔力に満ちた、新しい風が神聖領域を優しく吹き抜けていく。
崩壊しかけていたオリュンポスの神殿は、レイが再構築した「自動維持プログラム」により、「空中の遺跡」へとその姿を変え、安定を取り戻していた。
「・・・・・・終わった、のか?」
トールが自分の身体を見つめ、それから静かに流れる新しい世界の魔力を吸い込んで、驚愕の表情を浮かべた。
「おい、レイ・・・・・・! 体の奥の、あの不快な重苦しさが、完全に消えてるぞ! それに、魔力が・・・・・・全身に、自然に馴染んでいるのを感じるんだ!」
「肯定します。マスターの上書きにより、世界中のすべての『加護システム』は完全に解体されました。これより、全人類は神の与えた不平等なランクから解放され、自らの意志と努力によって、均等に自らの魔力を成長させることができるようになりますよ」
アルテが、その瞳に美しい緑色のログを走らせながら報告した。
かつて、加護なしの無能として世界から虐げられ、ダンジョンの底に捨てられたレイ。
彼は神々への逆襲の果てに、神々をただ排除するだけでなく、誰もが理不尽に虐げられることのない、完全に平等で自立した『新しい世界』を創り上げたのだ。
「レイ・・・・・・。本当に、成し遂げたのですね」
ブリュンヒルデとガウェインが、レイの前に静かに跪き、心からの忠誠の礼を捧げた。
「これより、この世界には、私たちを縛る理不尽な神のルールは存在しません。あなたこそが、この新しい世界の、唯一の管理者です」
「・・・・・・ううん、僕は管理者なんて、そんな大層なものになるつもりはないよ」
レイは手にした【虚空の修正剣】を静かに鞘へと収めると、ようやく、その顔にいつもの穏やかな、どこか人懐っこい微笑みを浮かべた。
「僕はただ、みんなが寂しい思いをしないで、普通に笑い合える世界が欲しかっただけだからね。・・・・・・これで、ようやくみんな、普通の生活に戻れるよ」
レイは仲間たちの顔を見渡すと、それから、眼下に広がる、神の支配から解放されて歓喜に沸く人間界の景色を見つめた。
しかし、少年の旅路は、ここで終わるわけではなかった。
ゼウスの特権権限を取り込んだレイの 【神眼】は、この世界システムのさらに向こう側――――この歪んだ世界システムをそもそも設計し、宇宙の彼方から他の無数の世界を監視している、さらなる高次元の存在である「システム創造主」たちをすでに明確に捉えていた。
「どうやら、僕たちの世界をただの実験場として眺めてる、さらに上の神様たちが、あっちで僕のことをバグだって、怒って睨んでるみたいだね」
レイは金色の瞳を、世界の『向こう側』へと向け、ふわりと、とても不敵な笑みを浮かべた。
「みんな、僕たちの戦いは・・・・・もう少しだけ、続きそうかな。・・・・・・まだ、僕に付き合ってくれる?」
「あたり前だろ、レイ! どこまでも付いていってやるぜ!」
トールが豪快に笑い、仲間たちが一斉に、力強い頷きを返した。
神々を完全に駆逐し、世界の理を完全に解体・再構築した加護なき少年。
彼の逆襲の翼は、今や一つの世界の枠組みを飛び越え、また新たな戦いへと、その舞台を進めていくのであった。
これにて【完結】となります!
ここまでお付き合いいただき、ありがとうございました。
第1話でダンジョンの底に捨てられた「加護なし」のレイが、仲間と出会い、神々の理不尽なシステムを打ち破る。そんな彼の旅路を見届けていただくことができて幸いです。
拙い部分も多々あったかと思いますが、皆様からいただいたブックマーク、アクセス、感想や評価が、執筆を支えるエネルギーとなりました。
画面の向こうでレイたちの旅を見守ってくださったすべての読者様に、心からの感謝を捧げます。
【読者の皆様へお願い】
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【新作のお知らせ】
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