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第55話: 『主神の審判』ゼウス

第58層。


そこは、神聖領域の最奥にして、世界システムの最高権力者が君臨する『王座の間』であった。


部屋の床はすべて透き通るような純白のガラスでできており、その周囲を、世界中の雷雲を束ねたかのような、凶悪な「紫電の嵐」が激しく渦巻いている。


王座に腰掛けていたのは、白髪交じりの立派な髭を蓄え、筋骨逞しい肉体を誇る、圧倒的な威厳を放つ老人。


世界システムの最高設計者にして、オリュンポスの頂点――『主神ゼウス』であった。


彼の右手には、世界を幾度でも初期化できるとされる、伝説の絶対神罰兵器——『雷霆 (ケラウノス)』が不気味に放電していた。


「――ここまで来ましたか、加護なきパグの苗床よ」


ゼウスの声が響いた瞬間、部屋を満たしていた紫電の嵐が一斉に鳴動し、レイたちの肉体を内側から焼き切ろうと、強烈な電磁波の圧力が襲いかかった。


「お前たちがしてきたことは、神々への反逆ではありません。この世界という完璧な秩序に対する、ただの破壊行為です。お前たちが神を消すたびに世界のバランスが崩れ、数億の平民が苦しむことになります。それが、お前の望んだ結果ですか?」


ゼウスは冷徹な目でレイを見据え、その『雷霆』をゆっくりと突きつけた。


「完璧な秩序、ね。・・・・・・ゼウス、あなたの言う『秩序』って、加護っていう理不尽な格差で人間を縛って、神様の都合のいいように消費するシステムの別名だよ」


レイは一歩も引かず、ゼウスの放つ圧倒的な圧力を、静かに受け流した。


彼の金色の瞳――【神眼の支配者】は、ゼウスの持つ『雷霆』のエネルギー出力を、すでに完全に看破していた。


「神格データが消えたら世界が崩れるっていうなら、そのシステムを全部、僕が新しく構築する『自立システム』へ移すだけ。お前たちみたいな、人を道具扱いする管理者は、もうこの世界にはいらないよ」


「ふん、口の減らない小僧ですね。・・・・・・その傲慢ごと、この世界を何度でも焼き尽くしてあげましょう! -神罰 『ケラウノス・バースト』!!」


ゼウスが右手を振り下ろすと、絶対神罰兵器『雷霆』から、空間のすべてを真っ白に染め上げる、絶対的な破壊の極大雷撃波が放たれた。


それは物理的な雷ではなく、世界システムが「ここの領域の全データを一瞬で初期化する」と指示する、最上位の消去コマンドであった。


「リリス、これ、まともに食らったら無限詠唱でも相殺しきれませんよ」


「ええ、お兄ちゃん・・・・・・・じゃなかった、レイ。さすがにこのデータ量は少し厄介ね」


リリスが冷徹な表情の中に、初めて緊迫感を滲ませる。


「大丈夫だよ。・・・・・・この一撃が来るの、ずっと待ってたからね」


レイは手にした【虚空の修正剣】を静かに構え、迫り来る神罰の雷撃波の「ヘッダー情報」へと、その金色の視線を合わせた。神が放った最大の一撃こそが、神々の最高特権にアクセスするための、最高の通信データだったのだ。

【新作のお知らせ】


いつも本作をお読みいただき、本当にありがとうございます!


この度、新しい連載作品をスタートいたしました。


タイトル:『森羅家の生活魔法は戦闘不能? 〜カフェの雑用と馬鹿にされた三姉弟、Fランクから最強へ駆け上がる〜』

あらすじ:「カフェの雑用魔法」と蔑まれた三姉弟が、知恵と工夫で地味な日常魔法を昇華させ、Fランクから最強へと駆け上がる成長ファンタジー!


本作とはまた違った魅力の詰まったお話になっています。

少しでも気になった方は、ぜひ以下のリンクから覗いていただけると嬉しいです!


▼新作はこちらからお読みいただけます

https://ncode.syosetu.com/n6822mn/


※アプリをご利用の方は検索画面で Nコード『 n6822mn 』と検索していただくか、作者マイページの「活動報告」から直接お越しいただけます!


引き続き、応援よろしくお願いいたします!


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