94 温泉でのんびり
山間に小さな村があった。
間欠泉があるらしく時々水しぶきを高く上げていて
渓谷を見下ろす様にして露天風呂があるのも見える。
迷わず村の近くに降り立ち転移門を作ってから村へと入る。
本物の温泉ですよ
心を躍らせながら村の中を進んで見つけたその店
露店の様に店先に並べられてあったのは『あんぱん』
温泉と言ったら温泉饅頭じゃないの?
そう思いながら店を覗くと、こしあんとつぶあんの2種類がある
どっちも買うよ、あんこは好きなんだ探していたんだ出会ったんだ。
そうしていると店主が出て来たのであんこも買えるのかと聞くと
「召喚者かい?」と聞かれた。
そうだよねあんパンなんて日本人の証明みたいな物だよね。
そうですと答えるとあれこれと懐かしい話になる
店主はちょっと見にお母さんと同じくらいかなと思える
普通のおばちゃんだったけれど見た目より若いらしい。
あんパンの他におやきも作っているそうだ。
饅頭にも挑戦しているがなかなかふっくら皮が作れないと言うので
薄力粉を分けてあげた。
さらにうるち米ともち米を分けたら
この米の粉で団子や餅も作れるとすごく喜ばれた。
白米が食べられると喜ぶのじゃなくて団子かと独り言ち
次に来た時にはこの店に温泉饅頭が並ぶのかと思うと心が躍った。
店主のユリさんに
米と薄力粉の売買を持ち掛けられたのでもちろんOKし
とりあえずはあんこと物々交換して定期的に顔を出す約束をし
どら焼きと草餅の開発もお願いし商標登録の話もしておいた。
この村へは温泉目的で何度来ても良いし
ユリさんの頼まれ事位大丈夫だろう
念のため手に入れた経緯は話してあるし
そしてギガンテスアントラーの話をしてみたら
この山に住む神様の様な存在で
言い伝えられているがその姿を見た物は居ないと言う
人の前に姿を現すことが無いが
山を守ってくれていると信じられているそうだ。
って事は、やっぱり呼ばれたんだなと納得した。
私は次に会うまでに資格を持たなくてはいけないが
その資格がフェニックスとアダマンタイマイの加護だけでは無い
そんな気がしているがそれが何なのかは分からない。
兎に角この先も一歩づつ進んでいくしかないそう決意し
取り合えず約束の明日朝まで
この村でのんびり温泉に浸かる事に決めた。
この世界に来て初めての温泉だ。
露天風呂は男湯と女湯に分かれていて
管理小屋の入り口でお金を払い中に入ると
脱衣場や休憩室などもあってちょっとしたスパの様だったが
お風呂は露天風呂の一択しかなかった。
しかしその露天風呂はほんのり青味掛かった乳白色のお湯で
やっぱり普通のお湯とは違いねっとりした手触り
お肌にも心にも体にも染み渡っていく感じがする。
景色も川の流れる音が心地良く響き
山は常緑樹が多いらしく緑が茂っている。
色んな疲れと垢をすっかり落とし
体中を潤いで満たしのんびりとした時間を過ごしたのだった。
読んでくださりありがとうございます。




