53 懲り懲りなんだよ
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歩き始めてすぐにミノル君が追いかけて来た。
「ごめん、少し話があるんだけれどいい。」
そう言えばどうするつもりなのか気にはなってたんだっけ、
すっかりどうでもよくなってた
って、私も結構な薄情者だな。
「いいよ。」と言って立ち止まる。
「ここじゃゆっくり話せないからどこか落ち着ける所で」
なんてことを言いだすので、
モンスターハウス前までミノル君を連れて行き
ゲルを設置して中へと案内した。
ココなら良いよね、他に誰も居ないし誰も来ないんだから。
「それで話ってなに?」
なかなか話始めないミノル君に痺れを切らし聞いてみた。
「僕も錬金術師か魔術師になりたいんだけどどうしたらいいの?」
「菌が見えるっていう能力はどうしたの?」
「ああ、見えるよ、見えるけどさ
漫画の様に名前が分かる訳じゃないし
どんな能力持ってるとか
ましてや醸すぞなんてしゃべってくれない
ただ見る気になれば見えるってだけだ。
それでも元の世界なら調べて研究するって事も出来るだろうけど
この世界じゃ菌を見てそれが何なのか調べようが無いだろう。
要するにまるっきりの無駄な能力だったって事なんだ。」
珍しく長台詞をしゃべった後に思いっきりため息をついた。
「君の能力を見て何だかスゴイなって
僕にも出来たらいいなって思ったんだよ。」
言いたい事はなんとなく理解出来たので
答えられる事には答える事にした。
「まず畑で薬草育てて薬の調合して薬師のジョブ手に入れ、
鉱石で武器作って鍛冶師のジョブ手に入れて、
綿や麻と言った材料採取して布を作って防具作って
裁縫師のジョブ手に入れその3つのジョブを
それぞれ5位まで育てると錬金術師になれるよ。
何にしても魔力が相当必要だから、
まずは魔力の循環と練成を身に着けて
生活魔法から使えるようにしてみたらどう。
そうしたら自然に魔術師のジョブも手に入るだろうし。」
「やっぱりそう簡単じゃないって事だね・・・」
「研究や開発がしたいんじゃなかったの?」
「ケントさんやニック君に付いて回って
戦闘ばかりするのはもう嫌なんだ。」
ああそうか、私がケント君をやり込めたのを見て
今度は私にどうにかして貰おうって事なのか。
何となくそう言っているように感じた。
「私はね、あのダンジョンでレア採取ってのをミノル君に教わった
それまで考えた事もなかったから凄く感動した。
この人は色々考えて見極める事が出来るんだなって思った。
だから研究や開発をしたいって話を聞いて
どんな事をするんだろうってとっても気になって
ちょっとだけ手助けしても良いかなって思ったんだけれど
今はそんな気を無くしてしまったの?」
「そんな事は無いけど・・・」
「もう元の世界には戻れそうもないんだから
この世界で遣れる事と遣りたい事に折り合いをつけてさ
自分の人生は自分で決めて頑張るしかないじゃない。
私は同じ世界からの召喚者って共通点で同情して
私が出来る範囲で手助けしてるだけで
これからずっと一緒に居る訳じゃないよ。
貴方の人生に私は責任なんて持てないから
どうしたいのか、どうするのかは自分で良く考えて。」
私は思った事をはっきりと伝えた。
何をどう考えているのか分からないけれど
ミノル君は無言のまま俯いていた。
「この街を拠点に活動するなら
あの家にいつまでいてくれても良いし
何か始めたい事があるなら私に出来る事なら協力もする
でも私ももう時期また旅に出るし
スキルのレベル上げの邪魔されるのも困るんだよね。」
もう話は終わっただろうと匂わせたのだけれど
気が付かないのか自分の望む返事を待っているのか
変わらずに俯いたままだ。
「いいんじゃない自分で決められないなら
ケント君の言う事を聞いているのも
それも間違いなく君の選択で君の人生だよ。」
私は有無を言わせずミノル君を追い立てて
ケント君とニックさんの所まで送り届けた。
自分で何の選択もしないで弱者のふりして困った様子見せて
誰かが何かをしてくれるのを待つだけの奴って
自分の思う通りいかなかったりさらに困った事になると
絶対に誰かの責任にするんだよね。
そして言うんだよ依存してた奴が落ちぶれると
言う事を聞いてやってたのにとか知らなかったとか平気で
自分には何の責任も無いって顔をして
何度も誓うけれど手助けはしても甘やかしはしない。
もうそんな人生は元の世界だけで懲り懲りなんだよ。
読んでくださりありがとうございます。




