45 フェンリルとラーメン
いくつかの村を巡り、
ダムデムの国のマッピングも三分の一程埋まった頃
水平線上に大きな島を見つけた。
その大きさのせいか、遠くにあるのに近く感じる。
何となく直感であそこにフェンリルが居るのだろうとそう思った。
「行ってみるか。」
迷わず飛行方向を島へと変え飛んで行く。
一気に冬景色のようになったその島の中央の山頂を目指した。
空から見る感じではあまり魔物は見当たらないが、
気配はあちこちにあるので、冬眠しているのか隠れているのだろう。
そう高くもない島の中央の山頂付近にやはりあった大きな洞窟。
何となくお約束って感じ?
洞窟前で箒から降り二度目は慣れたものだと中へと入って行く。
中には牛よりも大きな体で銀色の毛を輝かせたフェンリルと、
それよりも二回りほど小さな子フェンリル(?)達の集団がいた。
フェンリルって子沢山なのか?
私の姿を見て子フェンリル達が一斉に威嚇し出したが、
フェンリルが一吠えするとすぐに黙った。
「待っていた。」
フェンリルはそう言った。
「私が来るの分かってたの?」
「お前の魔力は分かりやすい。」
「そうじゃなくて、私がここへ来るって何で知ってたの?」
「変わった魔力を持つものは大抵召喚者であろう、
そういう者達が何度か訪れているので
今回もそうであろうと考えただけだ。」
そこでふと疑問に思った。
召喚された人達は何のためにフェンリルに会いに来たのだろう?
フェンリルってそんなに知れ渡った存在なのか?
何か特別な事があるのだろうか?
まぁ、考えても仕方ない聞いてみるしかないだろう。
「召喚者達は何をしにここへ来るのですか?」
「逃げ場を無くし隠れるためであろう。」
逃げ場?
隠れる?
それって何か不穏な感じがするのですが・・・・・
「それでその召喚者達はどうなったのですか?」
「人の身でここに長く隠れ住むのは難しい
皆他の場所へ去っていった。」
「それって、他の国って事ですか?」
「この国から出るのは難しいであろう。」
「この国を探せば召喚者達に会えるって事ですか?」
「生きていればその可能性もあるであろう。」
「フェンリルってこの地の守護者なんでしょう、
だったら召喚者の保護も出来たんじゃないの?」
なんだか飲み込めない感情が湧いてきて、
何となく問い詰めるような聞き方をしてしまった。
「我はこの地を守護する者、
人間の起こすいざこざに介入は出来ぬし興味もない。」
分かってる、分かっているのだけれど
簡単に納得できない気持ちがあるんだよ。
もやもやした気持ちを抱え考えているとフェンリルが言った。
「お主に加護を与えよう、
我の力を使い人間たちのいざこざにお主が介入すれば良い。」
「いいの?」
「もうすでに黒龍の加護も得ていよう、問題ない。」
そう言うとフェンリルの体が青白く光り出す。
そう言えば幻舞の時もこんな感じだったなとその様子を見つめていた。
そしてその光が治まると
「我に名を与えるが良い。」と言った。
「えっと、じゃぁ、銀牙でいい?」
「良い名だ、力が必要な時は呼ぶが良い。」
「それで一応聞いて置きたいのだけど、加護の力ってどんななの?」
「仲間となった者と経験値を分け合える事が出来る様にしよう。」
「それって、私に仲間を作れって言う事?」
「無理にとは言わぬが、そう言う選択肢もあろう。」
そりゃぁ、仲間が欲しいと思うこともあるよ確かに。
でも、信用出来る人や心を許せる人に出会えていないんだもん。
やっぱり裏切られるのも騙されるのも嫌だし面倒くさいのも嫌。
そんな事考えていたらそう簡単に仲間なんて作れないよね。
分かっている、分かっているんだけど頭ではね・・・・・
「そういう選択肢が出たら前向きに検討するよ。」
私は曖昧に答えるしかなかった。
名前 アオイ
称号 怒涛の作業師 噂の魔王様?
ジョブ 錬金術師★★★complete
召喚術師★★★4
格闘家complete
レベル 255
ジョブ候補
固定スキル 生活魔法 鑑定 染色
スキル 栽培★ 調薬★ 鍛冶★ 分解★ 付与★ 製布★ 縫製★
採取★ 精製★ 錬成★ 調合★
火魔法★ 水魔法★ 風魔法★ 土魔法★ 雷魔法★
回復魔法★ 間接魔法★ 聖魔法★ 闇魔法★
無属性魔法★ 時空魔法★ 重力魔法★ 闘魂★ 格闘術★
召喚術 精霊契約 鞭術
契約精霊 ドリアード ノーム
加護 黒龍 フェンリル
「お主ももうすぐシヴァのダンジョンを見つけるであろう、
おそらくそこに何人かの召喚者が潜んでいるかも知れぬ。」
フェンリルにそう言われ、
今はそのダンジョンを探して飛んでいるところ。
召喚者に会えるかもしれないと言う期待もあって心が逸る。
そうして見つけたダムデムに来て初めての街。
早速冒険者ギルドへ向かい素材の買取をして貰いながら情報収集、
食事の美味しい店やダンジョンの情報などなどをそれとなく聞く。
やっぱりこれだけの街があるってことはダンジョンもあるよね。
もう何となく分かってきた気がするんだよこの世界の事、
ダンジョンの傍には街があるって。
まぁ、その前に腹ごしらえ、
美味しいと評判の店は是非行ってみないとダメだよね。
そしてその店で出会ったのは『ラーメン』
味噌に醤油に豚骨と3種類のラーメン。
しっかりと壁にメニューが貼られている、しかも日本語で。
悩むけれど、ここは味噌で!!
「すみません、味噌ラーメンください。」
暫く待つと野菜炒めがたっぷりと乗ったどんぶりが目の前に置かれた。
見るとテーブルの上に箸立てがあり木を削って作られた箸もある。
かなりこだわった感じが伝わってくるよ召喚者様。
早速箸を取り食べ始める。
野菜炒めはほんのり塩味、麺はちょっと中華麺とは違ったけれど、
コシがありコレはコレで努力の跡が垣間見える。
そして久しぶりの味噌味。
何よりこの世界でラーメンが食べられるとは思っていなかったから、
すごく感動だよ、感激だよ、感謝だよ
まだ見ぬ召喚者様ありがとう。
これはもう、召喚者様の実績を探して歩かなくてはいけないか?
その前に、ダンジョンで出会えることを期待するか。
そうと決まれば早速ダンジョンへGO!!ですね。
街から出て5分ほど歩くとそこに、
パリの凱旋門の様な立派な作りの建物があった。
門の両脇には衛兵とみられる門番も立っていて、
中に入る冒険者たちの身分証を確認している。
順番を待ち、冒険者ギルドのギルド証を提示して門の中に入る。
そこから少し奥のダンジョン入り口は転移門になっていて、
どこかへ転移されている様だ。
こういうダンジョンもあるのかとひとり納得し、
その先にどんなダンジョンが待ち受けているのか
期待に胸を膨らませ私は転移門をくぐったのだった。
読んでくださりありがとうございます。
評価ありがとうございます。
しばらくは1日何度かUPさせて頂きます。




