10 魔王誕生?
未開の森に到着したギルド長一行は、
尋常ならざる魔力が少しずつ弱まるのを感じていた。
しかしそれとは別に夥しい数の魔物の気配も感じていた。
「スタンピードが起こったのか?」
だとしたら迂闊に奥に進むのは危険だ。
もし本当にスタンピードだとしたら
一刻も早く帰って対策を練らなければならない。
ここで判断を誤るわけにはいかない。
尋常ならざる魔力は弱まり始めている、
偵察はまた改めて出直してもいいだろう。
それよりも近隣の村の人々の安全確保が優先だ。
そう考えた時だった。
信じられないことに、
魔物の気配の集まる辺りにみるみる暗雲が立ち込め、
そして雪など降ることのないこの国に
夥しい数の氷の粒が舞い始めた吹雪となって。
見たこともない情景にギルド長一行はただただ立ちすくんでいた。
しかしすぐに我に返り、
それと同時に状況を確認しようと意を決して未開の森を進んでいた。
冷静な判断など出来る心情ではなく、
怖いもの見たさ未知の状況の確認
そんな感情が体を動かしていた。
気が付けばあれほど溢れかえっていた魔物の気配も
もうすでに無くなっている。
いったい何が起こったのかこの目で確認せずにはいられない。
焦る気持ちがギルド長を突き動かしていた。
そうしてたどり着いたその場で目にしたソレは
一生忘れられないものとなった。
夥しい魔物の屍の中に立つ一つの人影。
そしてその人影は、
魔物の屍に手をかざすと次々とその姿をどこかへと消していた。
尋常ならざる速さで次々と消していた。
その人影が今まで尋常ならざる魔力を発していた元だと察し、
この夥しい数の魔物たちをたった一人で全滅させたのだと理解した時
ギルド長は恐怖を覚えていた。
「魔王の誕生だ」
彼はそうつぶやくと踵を返し、ただひたすら必死に走り出していた。




