閑話 兎と猫の日常
「にゃーっ!? にゃにゃぁっ!!!」
やっほー。クールなうさぎさんのリズだよー。今はココと一緒にご主人様にお勤めを果たしてる最中なんだ。でも早速ココがケモノの様な声を出して失神しちゃったよ?
もぅ、ちゃんと気をやらないでご奉仕しなきゃいけないのに。私はココのお姉ちゃんだからちゃんと注意しないとー。
なんでこんな事になってるのかといえば私達は魔人族騒動が終わってからご主人様に飼って貰うよう懇願したの。クーリカ達が高価な装備や可愛い服を着てたから羨ましくなったのもあるんだけど勿論それだけじゃないよ。クーリカ達はご主人様に飼われ出してからすっごく幸せそうなの。
それに彼女達から凄くメスの匂いを感じる様になって。その、発情の匂い。獣人族は鼻が聴くのです。その事からご主人様に可愛がって貰ってる事に気付いたの。
普段の会話も彼女達の話はご主人様の事ばっかりだし目はハートマークだし惚気を聞かされるこっちは溜まった物じゃないんだよ? そんなので戦闘は大丈夫なのって思ってたの。
でも大丈夫じゃなかったのはこっちだったみたい。
Aランク冒険者が相手にならない巨大なドラゴンをあっさり倒してしまったのです。私達は邪魔にならないようにハーピーの相手をするだけ。
どうしてこんなに差がついてるの?
その理由は分かってた。
彼だ。
フローラがご主人様にどれだけ可愛いがられたか幸せそうに語ってくれた。フィオナも普段の気の強い態度とは裏腹にご主人様には絶対服従でいかに自分がご主人様に尽くし悦んで貰ったかを説いていた。普段とは違う一面を晒け出せるのはご主人様だけだと2人は力説する。
私はココと2人して顔を赤くするばかり。お腹まで熱くなってしまった。
私だって年頃の女の子なんだよ? うずうずするのは仕方ないよね?
そんなこんながあって決心のついた私とココは晴れてご主人様の飼い兎になったんだ。
私達は新参者だから先ずしっかりと指導を受けて立派なメイドになる為にご主人様直々に躾られていた。
でもココは大丈夫かなぁ。だらしなく涎を垂らしてピクピクしてるよ。ココがあんなはしたない顔するなんて。
「リズ」
するとご主人様が私を呼ぶ声が聞こえた。どうやら次は私の番のようだ。
「はぃ(こくこく)」
次は私の番。ちゃんと声に出して返事をします。意識すると顔が真っ赤になる。ううん、もうなってました。
私は無口なだけで喋れるんだよ。ただ話すのが恥ずかしいだけで。だから必然声は小さくなる。先輩のお姉様方にはちゃんと返事をしないと物凄く怒られるから頑張ってます。
ご主人様の側まで行くと直ぐにご主人様に後ろから抱き締められてしまいます。もう何度か経験したのに慣れる事はないようです。ご主人様は私を抱き締めたまま自慢の耳をうりうりと可愛いがってくれます。どうやらご主人様は私の兎耳が気に入ってくれたみたい。
「ぅぅんっ(ぴくぴく)」
ご主人様の邪魔にならないように我慢していてもどうしても反応してしまうの。ご主人様、兎人族の耳触るの私が初めてだよね? なんでこんなに上手いの?
ご主人様に耳を愛撫されただけで気をやってしまった私はその後もご主人様に朝日が昇るまで躾て頂きました。当然意識は既になく、これではココを叱る事も出来なかったのです。
そんな日々を過ごしていたある日の事。私とココはセレーナ姉様とセリーナ姉様に連れられてダンジョンに赴きました。
お二人は魔法の才能が少しあるそうで転移の魔法で一瞬にして移動できてしまったのです!
・・・少し?
・・・転移の魔法が使えて才能が少しってどう言う事? そもそも転移が使える人って王国にいるの?
少なくともリュードじゃ聞いたこともない超級魔法なのは確かだと思う。それがどれ程有用で危険な魔法か簡単に想像出来る。
うん。きっと無用な騒ぎを起こさない様に人目につかない様にしているんだね。もう私達は多分身内だから大丈夫なんだ。よね?
・・・うん。そう思ってたんだよ?
この光景はなんと言えばいいのか。
うん、これはただの虐殺ですっ!
狩り? 確かに沢山アイテムドロップしてるもんね。でもこれは違うと思うの。どんな凶悪な魔物達も雄叫びを上げるだけになってるし。私達あんなのと戦った事ないよ? うん、見た事も無い。
ココと私はひたすら落ちたアイテムを集める係です。それだけなのになんかさっきから尋常じゃない経験が入ってきて冷や汗が止まりません!
(ふぇー!?)
ステータスを開くとなんかバグってるのか桁がおかしくなってます。
(ぶるぶる)
ココも尻尾が直立して逆立ってます!
きっと困惑してるに違いありません!
必死で集めたアイテムはセレーナ姉様の前に差し出すとこれまた一瞬で消えてしまいました。収納スキルかな? 凄い量なんだけど。やっぱりおかしいよー。
「次は2人の番です」
「「はい(にゃん)!」」
そしていよいよ私達の出番のようです。
「グアァァァァァァァッッッッ!!!」
なんか見覚えのあるドラゴンが出てきました。
サイズは一回り程小さいけどその分5体もいるようだ。なんでこんなにいるの?
こんな所で何してるのかな?
「ほら、ぼけっとしてないで動いて下さい」
「です。これからは貴女達の仕事です」
お姉様方に促され私とココは覚悟を決めます。
「はぃ! (こくこく)」
「はいにゃん!」
とは言え実は負ける気などしていませんでした。私達の装備はあの日クーリカ達が着ていた獣耳族専用メイド服であり武器も新たにご主人様より頂いた物です。切れ味抜群でどんなに硬い鉄もスイスイ切れる業物です!
そして何よりレベルの桁が1つおかしくなっててステータスもおかしいの。これが本当なら・・・どうなるの?
「「ギャアァァァ!!!」」
こうなりました。あっさり。
どしーん、と倒れ込んだドラゴンが5体がドロップアイテムに変わっていく。
もうめたぼろです。本当に可哀想なくらい。厄介だったのは高すぎる身体能力を制御する事の方が大変でした。まさかアースドラゴンをただのでっかいトカゲとか思う日が来るとは。
強い弱い以前に攻撃に当たらないし食らってもセレーナ姉様曰く私達のレベルだと傷1つ付かないらしいです。
どうやらそのレベルまで上げてから連れてきてくれたようです。意外と過保護なのかな?
と思ったら「ご主人様の所有物を悪戯に傷付ける事など出来ません」との事らしい。
所有物・・・と思うけど実際とんでも無く贅沢な環境だし自分から望んで首輪嵌めて貰ったしご飯も美味しいし沢山可愛いがって貰えるし・・・外されても困るので(こくこく)と頷いておいた。
その後もレベル上げ(はついで)兼アイテム回収を頑張りました。うん、高レベルの魔物ばっかりだね。一体何層なのかな?
とにかく頑張りました。帰ってココと一緒にご主人様に報告です。
そしたらご主人様は「よく頑張った」と自慢の耳をうりうりと可愛いがってくれました。ココも一緒に猫耳をうりうりされて気持ち良さそうです。
「リズ、ココ、来なさい」
どうやらこのままお勤めの時間になりそうです。
「にゃー!」
「はぃ(こくこく)」
今日も朝まで大好きなお勤めを果します。ぴょん!




