ファイアボール
ベッドの上には俺の愛する可愛いメイド娘たちが寝ている。
そのメイド娘たちは頭に犬耳と尻尾が生えていた。
昨日のお勤めではメス犬メイドになっていたからだ。ヒナやシェリーは分かるがフィアたちも望むとは想定外だったが、機能は当然付けていた為問題無く可愛がる事が出来た。
とは言えだ。
頭をなでなでする。
「クゥ〜ン」
柔らかな金髪が揺れる、巨乳も揺れる、侯爵家令嬢である美少女メイドのメス犬メイド化は犯罪の香りが強くて凄く刺激的だった。
そんなアリスだがこれからはパーティーの戦力として働いて貰うつもりだ。役割は魔法使いとしてだ。
現在のアリスの魔法は単純にステータス値によるただのぶっぱである。
確かに強い。が、それは俺がレベルと職業を与えれば誰でも出来る事だ。
アリスにはこれから魔法をコントロールしてより高度な技術を習得してもらうのだ。
そして今日はその特訓である。
ドガーンッ!!!
物凄い衝撃が鳴り響く。ここはダンジョン35階層、ミスリルゴーレムがうろつく階層だ。
今も一体のミスリルゴーレムが倒されアイテムにドロップした。
「アリス、ファイアボールはもっと小さくだ。魔力をもっと圧縮しろ」
「はい、ご主人様!」
柔らかそうな金髪をなびかせた彼女。短いスカートから見える健康的な美脚、大胆に強調する豊満な胸、フリフリが沢山あしらわれた赤いメイド服に身を包む彼女は、侯爵家の令嬢、アリスティア・アルテンである。
本来ならメイドを側に置く側の彼女は、数奇な運命から貴族の令嬢からメイドへと見事にジョブチェンジを果たしたのだ。
「お嬢様、頑張って下さい!」
リョウの側にはアリスの護衛を務めていたシェリーが同じメイド服姿で立っている。彼女は騎士の凛々しさとメイドの可愛さを併せ持つ騎士メイドになっていた。ベッドの上でのお勤めの場でメス犬になるのはご愛嬌だろう。
「頑張ってじゃない、シェリー。お前もヒナと特訓に行って来い。ヒナ、魔物を200体狩ってこい。全てシェリーに倒させろ」
「はいご主人様。シェリー、行きますよ」
「そんなご主人様!ヒナ姉様〜!」
シェリーはヒナに引き摺られて連れて行かれた。実戦に勝る訓練は無い。一流の剣士であるヒナから教わればシェリーも力じゃなく技を覚えて魔物を倒す事が出来るだろう。
「フィアとミィは別々で魔物を狩って来い。目標はレベルプラス100だな」
「はい旦那様」
「はいご主人様」
フィアとミィをそれぞれ65階層、64階層に送りレベル上げとドロップ回収に行かせた。
現在6人で400倍の経験値を共有する為物凄い量の経験値を稼ぐ事が出来る。正直ガンガンレベルが上がるのだ。カルーアダンジョンよりも魔物のレベルが高く、レベル上げには最適だ。ステータス値がやばい事になるな。
「それじゃあアリス、ファイアボールを完全に使いこなせる様になるまで特訓だ」
「はいご主人様!」
残ったアリスに声を掛ける。アリスからは気合の入った返事が返ってきた。やる気は充分だ。
こうしてアリスの魔法訓練が始まった。
まずはアリスに本物のファイアボールを見せる所から始める事にした。
何の変哲も無い只のファイアボールだ。
ただ限界まで魔力を圧縮されたもの、と言っても全力で魔力を込めた訳では無い。
ファイアボールの消費MPは10程度だ、だがそれは基本でありそこから魔力を込めれば込めた分だけ単純に威力も上がる。いやサイズが大きくなるのだ。
アリスは正にその状態で、ただ魔力を込めてるだけだ。ステータス値による巨大なファイアボールは確かに威力は強力で大きさ故に当てやすいが本物には遥かに劣る。
「アリス、見ていろ」
目標であるミスリルゴーレムにファイアボールを発動する。
目の前に浮かぶのはアリスが使ったのと同じサイズの巨大なファイアボールだ。
それがみるみる圧縮され通常サイズのファイアボールになるのと同時に色が赤から青に変化した。
蒼炎である。熱温度が上昇した為である。
そして迫るミスリルゴーレムに向けて発射されたファイアボールの速度はアリスが発動した巨大ファイアボールの比では無い。
その速度をアリスが目で捉える事が出来たのは単にステータス補正によるものに過ぎない。既に身体能力では超人を超えているのだから当然と言えば当然だが。
カッ! ドゴーンッ!!!
一瞬にして消滅するミスリルゴーレム。
そしてアリスはそこ光景を見て自分のファイアボールとの違いも直ぐに理解した。
アリスが発動したファイアボールはミスリルゴーレムを爆砕した。文字通り吹っ飛ばしたのだ。
だがリョウのファイアボールを喰らったミスリルゴーレムは消滅したのだ。そう、文字通り何の抵抗も無くだ。
つまり、威力の桁が違ったのだ。
「魔力をコントロールするんだ。先ずはファイアボールを発動して現状維持、その後込めた魔力を小さく抑え込んでいけ。炎が蒼くなるまでな」
「はいっ!」
素直に返事をしてアリスがファイアボールを発動した。詠唱は要らない。既に無詠唱スキルは獲得済みだ。
アリスが発動したファイアボールはやはり巨大。通常の魔法使いならMP10相当のファイアボールで拳大程のサイズだが、アリスはそれ以上の魔力を込めてるからだ。
「きゃっ!」
ドドドーンッ!
案の定ファイアボールは円球状の形を保たずに歪に歪んでから爆散した。通常サイズのファイアボールが辺り一面に飛び散ったのだ。
ふむ、刃の爆散する手榴弾のファイアボール版みたいだな。形状もそれに合わせれば殺傷力もかなり上がりそうだ。
「大丈夫か?」
「は、はいー」
勿論アリスは無事だ。アリスにはプロテクションを発動しているし、メイド服はオリハルコン製で傷一つ付く事は無い。そもそもステータスが上がり過ぎているためあの程度の威力では火傷すら合わないだろう。
ふむ、まずは通常サイズのファイアボールから扱える様にするのが先か
アリスに魔力を込める量の調整を指導していく。
元々魔法を使えなかったアリスが突然魔法を行使出来る様になったのだ。しかも無詠唱でだ。
とは言え魔力を込める魔道具等のアイテムが数多くある世界だ、魔力の扱い自体は問題ない筈。
「で、出来ました!」
「ああ、じゃあそこから魔力を注いで大きくして行け。始めの巨大サイズまでだ」
「はい!」
やはり通常サイズのファイアボールは再現可能だ。ここから魔力を注いで大きくする。その後にまた圧縮して小さくする。
慣れれば始めから通常サイズで圧縮された強力なファイアボールも扱える様になる。要はイメージだ。それが出来るなら超圧縮された巨大ファイアボールすら可能になる。その大きさに比例して威力もとんでもない事になってるが。
アリスは飲み込みの早い方みたいだ。教えた事を素直に返事して実行するのは才能でもある。始めは覚束なかったファイアボールの魔力操作も今では呼吸するように出来る様になった。魔力操作スキルがいい仕事をした様だ。
それに圧縮を1日で会得するとは思わなかった。俺が何度も「イメージだ、魔力全体で包みそのまま密度を高めていく、小さくしていくんだ。それが一方向の力では、ほら「んっ、あっ!」こうして潰れてしまうだろ」とアリスの豊な胸をファイアボールに見立てて説明したのだ。俺のメイドである為セクハラにはならない筈だ。何より「もっと教えて下さい」と懇願されては主人として指導しない訳にはいかない。当然指導にも熱が入ると言うものだ。
そのファイアボールの魔力操作指導という名のイチャイチャはフィアからの100レベル達成の報告が来るまで続けられた。
それでファイアボールの圧縮を会得できたアリスすごくね!?、と思う俺は本当に教える気があるのだろうか?
屋敷に帰り夕食を終えてみんなでお茶の時間。フィアがアリスの訓練の経過を尋ねてきた。
「それで旦那様、アリスの魔法は上達しましたか?」
「ああ、正直良く出来たと思うぞ。柔らかく柔軟でかつ芯の硬さが素晴らしい。俺も指導に熱が入って何度も繰り返して身体に教え込んだからな。ファイアボールは及第点だな」
「有難う御座います、ご主人様。ですがまだまだです。もっと頑張って覚えますからこれからも指導をお願いしますね」
「ああ、任せろ。これからも指導をつけてやる」
アリスは真面目だな。熱心に学んで技術を身につければいずれ、リュードダンジョンの主であるブラックドラゴンも倒せるだろう。
火力だけなら既に問題無いだろうが実戦ではまた違った技術が必要になる。ゴーレムの様に魔法耐性に胡座をかいて攻撃を避けないなんて事は無いからな。動く敵への命中精度が必要だ。それに敵の攻撃だって避けないといけない、耐えれるからと言って食らう必要などないのだ。今ならブラックドラゴンの攻撃すら耐えられる気がするが食らいたくは無い。
「ヒナの方はどうですか、シェリーはちゃんと戦えてましたか?」
「はい、私が見た限りスキル頼みではありますが戦闘は問題ありません。ただご主人様に頂いたステータスによって強化された身体能力で簡単に魔物を倒せる事から少し調子に・・・いえ、浮かれていたので冷静に戦える様指導しました」
「ヒナ姉様っ!?」
「なんだ全く、シェリーはすぐ調子に乗るからな。まぁ安全圏とは言え問題無く狩れるんなら十分か、良くやったなヒナ、シェリー」
「「有難う御座います、ご主人様!」」
結果が出てる様なのできちんと褒めておく。褒めて育てるのが俺の方針だ。
ヒナとシェリーは俺に褒められて、もし尻尾があればぶんぶん振ってるだろう笑顔だ。
「フィアとミィもレベル上げ良くやった。これで明日にはレベルも1000まで届くな、明日も頼むぞ」
「はい、旦那様!」
「はい、ご主人様!」
フィアとミィは家の最大戦力だな。ブラックドラゴンも楽に狩れるし現状、リュードダンジョンでは敵無しだ。アリスとシェリーを一人前にしたら次の街に行くのも良いかもな。王都にも行ってみたいし。
可愛いメイド娘たちを眺めながら次の目的地を考えていた。




