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プレゼント

 シェリーは首輪を欲しがっている。


 それは前から知っていた。ラインくんとの決闘の時に言ってたからな。


 そして昨夜、直接おねだりされたのだ。


 ならばと思ったが、シェリーだけに渡しては不公平だ。


 ゆえにメイド娘たち全員にプレゼントする事にしたのだ。フィアたちが着けても可愛い奴にしよう。


 当然自作だ。たまにはプレゼントくらいしないとな。



 いや、メイド服なら毎日プレゼントしてるけど。







 そんな訳でフィアたちがダンジョンで魔物を狩っている中、作業を開始した。フィア、ミィ、ヒナは1人で、アリスとシェリーは二人で周らせている。2人の安全マージンは確保出来ている。2人共対応可能なエリアだし、そもそも既にステータスぶっぱだしな、訓練相手に丁度いいだろう。


 プレゼントの素材はリュードダンジョン最強の魔物であるブラックドラゴンの鱗だ。通常の武器では傷一つ付かない魔法耐性もある絶対防御、とても堅牢な鱗にオリハルコン鉱石とレッドドラゴンの紅玉やら各種素材を用意する。


 先ずは鱗を錬金術で加工してチョーカーを造る。


 色は魔力を流してメイド娘の髪の色に染め上げる。フィアなら淡い翠色、ミィなら可愛いピンク色でヒナは綺麗な銀色だ。


 そのチョーカーに空間魔術で空間収納の機能を付与する。プレゼントならサプライズがあった方が面白いからな。


 オリハルコン鉱石とレッドドラゴンの素材を使用し、錬金術で竜騎士型のゴーレムを作成する。ゴーレムは所有者か上位である俺の命令しか聞かないようにインプットした。


 ゴーレムは剣や槍、盾に弓の4体1組でパーティーを組ませてみた。一体の強さはレッドドラゴンくらいか。それが4体、十分だろう。


 そのゴーレムを空間魔術を付与したチョーカーに収納する。


 明らかにメイド娘より弱いが、人手が必要な場合に重宝する筈だ。・・・たぶん。



 と言うわけで無事プレゼントは完成した。


 あっという間だったな。魔法が万能過ぎる。錬金術か。


 お昼に御飯を食べる為にメイド娘たちを回収して屋敷に戻る。そこでプレゼントを渡そう。きっと喜んでくれる筈だ。


 その様子を想像しながらわくわくしながらメイド娘たちを回収して行った。









 屋敷で御飯を食べた後のお茶の時間、なのだが。何故かいつもお嬢様メイド達全員が側に侍っている。


 仕事はいいのか?


 気になりつつも先ずはメイド姉妹の長女であるフィアに目を向ける。


 俺は早速メイド娘たちにプレゼントを渡す事にした。


「今日はお前達にプレゼントがある。まずはフィア、受け取ってくれ」


 そう言ってフィアに包装したチョーカーをプレゼントする。


「有り難うございます、旦那様。開けても宜しいでしょうか?」


「勿論だ」


 包みを開けて取り出したチョーカーを抱きしめてフィアは涙を流し始めた。


「だ、旦那様ぁ〜。うぅ」


 そんなに喜んでくれたのか。いつもメイド服をプレゼントしても泣かないのに。


 と言うかチョーカーだぞ、ヒナやシェリーならわかるがまさかフィアまでそんな趣味が!?


 いや、まさかな。


「フィアはいつも尽くしてくれるからな、有り難うな」


 撫で撫でしながらフィアを労う。「ありがとぅござぃます」と泣きながら言うフィアが可愛いかった。


「次はミィだ。いつもありがとな」


「有り難うございます!」


 ミィの頭を撫でてプレゼントを渡す。


 受け取ってピンクのチョーカーを抱きしめたいミィは「みぃ〜っ」と喜びの声を上げていた。


 うむ、ミィはとても喜んでくれたみたいだ。


 続けてヒナとアリス、シェリーにプレゼントした。


 ヒナとシェリーは「「これで本当にご主人様のメス犬になれる!」」と声を揃えて言っていた。


 ・・・女の子が自分でメス犬ってどうなんだ。調教した俺が悪いのか?


 それにこいつら仲が良いな、てか周りに聞こえるんだが。そして何故かお嬢様メイドの内の数人が首を縦に振って羨ましそうにしていた。


 そう言う属性が世の中には多いのだろうか?


 アリスは「これで私もご主人様の物に、うふふっ」と嬉しそうに笑いながら金色のチョーカーを抱きしめていた。


 そんな当然の事を言うアリスもやはり愛おしい。満足するだけ撫で撫でしてやる。


 メイド娘たちは俺にチョーカーを着けて欲しいと懇願するので順番に渡したチョーカーを着けていく。


 うむ、みんな可愛いな。「良く似合ってるぞ」と言うと顔を真っ赤に染めて喜んでいた。



 あとヒナとシェリー、リードは夜にしか付けないからな。









 屋敷の庭に移動してチョーカーにある機能を実演してやる。まぁおまけみたいなもんだが。


 そして何故かお嬢様メイド達もついて来ている。


 本当に仕事はいいのか?


「フィア、チョーカーに魔力を流してみろ」


「はい、・・・!」


「召喚項目が出た筈だ。選択して召喚してみろ」


 チョーカーに魔力を流すとゴーレムの竜騎士、剣や盾といった武器を持つ4体を選び召喚する事が出来る。


 頷いたフィアは剣を持つ竜騎士から順に盾、槍、弓と4体を召喚した。2メートルのゴーレムが4体、大柄な男達が4人いるようなものだ。なかなかの威圧感があるな。たぶん。


 いや、だってミスマルがびびってるからさ。彼も何故か一緒に見学していた。レベルもそれなりにあるしそこそこ強いんだがな。まぁ竜騎士ゴーレムには手も足も出ないだろうが。


 うむ、瞬殺だな。


 一方でお嬢様メイド娘たちは輝いた目で見ているようだが?


 まぁ彼女たちに強さは分からないか、見た目はカッコいいしな。


「旦那様、このゴーレムがそれぞれチョーカーの中に?」


「そうだ。まぁお前たちの方が強いがな、せいぜいレッドドラゴンくらいだしな。まぁ何かの時にでも使えればと思ってな」


 あくまでおまけの機能だしな。


「・・・ご主人様、ゴーレムはダンジョンや遺跡に設置されているだけで個人で所有されている者などおりません。ご主人様がお造りになられたのですか」


「当然だ。お前たちへのプレゼントだからな」


 平然と返す。まぁゴーレムくらいで騒ぐ事もないだろうに。竜騎士ゴーレムは自信作だが。


「凄いです。ですが衆目に晒されると要らぬ厄介事を招くかと、特に貴族の方などはですが」


 アリスからの指摘だがお前も貴族だからな。


「まぁ問題ないぞ。貴族が俺をどうにか出来る訳でもないしな」



 厄介事か、だがそもそも俺は既に現地の人間や魔物には先ず負ける事など無いのだ。それだけのステータスは既に得ている。だがそれでもダンジョンを攻略してレベルを上げるのは女神の使徒の存在からだ。それと例の破壊神か。


 しかし破壊神はともかく、もし女神の使徒と戦闘になった場合はどうなるか分からない。何故なら全てがステータスの勝負になるか分からないからだ。


 つまり加護の能力である。


 俺の場合は相手が使徒でも女性ならば女神の加護を発動出来たなら先ず勝ちである。所謂女性特効能力だからだ。なんせ女神本人にすら効く力だ。使徒程度で防げる筈も無い。


 そして同じように何かしらの防御無視の特効能力を使徒が持ち合わせている可能性は十分にある。


 それを直接防ぐ手立てはない、強いて言うなら喰らわない事くらいだ。


 故に最低限出来る事と言えば能力を使いこなす事とレベルを上げる事だ。


 対応力を上げる。それだけだ。


 Sランク冒険者である王子様の親友である女神の使徒、ディック・カーマインには効かないからな。



「アリス、何があろうと旦那様は問題ありません。旦那様に敵う者などこの世に居ないのですから」


「フィア姉様」


 アリスも戦闘ならばご主人様が負けるなど微塵も思わない。自分のレベルを信じられないくらいに上げて、尚且つ様々な魔法を授けてくれた神のごとき力を持つ方である。しかしアリス言う厄介事とは戦闘と言う意味だけではなく単純にゴーレム目当てにした貴族、ハイエナ達に絡まれますよ、と言うものである。


 だがこの世界はちょっとした言い合いが直ぐに暴力沙汰に発展するのは珍しくない。リョウやフィアはその身でよく経験している為そのように思考してしまうのだ。


 そして実際貴族が脅してこようとリョウはなんとも思わない。貴族程度では何をしようともリョウに敵う筈も無いのだ。


 貴族社会の闇を知るアリスだがフィアに諭されては頷くしかない。願わくばご主人様が貴族、引いては国を消滅させませんように、と。


 でもご主人様は王であり神なのだから国を創るのは悪くないかも、と思うアリスであった。







 その夜、チョーカーの機能の一つを起動した。


 大した事じゃない。ただ魔力によってリードが出るだけだ。


 これをお勤めの前にヒナにしてやったら何とフィア達も少し興味があるとかでおねだりされたのだ。


 当然フィア達のチョーカーからもリードを出す事が出来る。


 そしてリードに繋がれたメス犬が5匹。ならば今日は耳と尻尾も付けるべきだ。


 ネコメイドやウサギメイド、キツネメイドは既に試しているがイヌメイドは意図的に避けていたのだ。


 そして今日はメス犬メイドが5匹もいる。


「くぅ〜ん」


「みぃ〜」


「わんわん」


「わふ〜」


「わう〜」


 メス犬メイドたちは尻尾を振る為に尻を振る。主人の気を引こうとそれはもう必死だ。


 うむ、悪くない!


 犬は序列を重んじる。フィアから順にリードを引っ張り散歩してベッドに連れて行く。


 フィア達は初めてのメス犬だがなんの違和感もなく完璧に成り切っていた。いい見本が2匹もいるからな。


 結論、最高だ!






 そしてヒナとシェリーが一番悦んだのは言うまでもない。





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