再会
朝に一波乱合った物のメイド娘たちを落ち着かせて俺は冒険者ギルドに向かった。
アリスとシェリーは屋敷で留守番だ。ダンジョン攻略の息抜きにデートにでも連れて行くか、観光もしたいしな。
冒険者ギルドはこれまた見事に大きな建物だ。カルーアよりも大きく裏には立派な訓練場もあるようだ。
羽振りがよろしい事で結構だ。
さっそく中に入る、この時間は冒険者は疎らのようだな、朝から少し経ってるしな。
冒険者達は出来るだけ良い依頼を受ける為に、毎朝1番に貼り出される依頼目掛けて受けに来るのだ。
基本的にダンジョンのドロップは換金して貰えるが依頼が出ていれば同じアイテムでも割増になるからだ。自分の狩場で受けれる依頼を受けて儲けるのが冒険者だ。
勿論依頼はダンジョンのドロップアイテムだけでなく、街の外の魔物の討伐依頼や商人などの護衛、薬草の採取依頼なんか迄ある。
とは言えランクが低いと簡単な依頼しか受けられないが。そして俺も低い。
パーティー登録する必要あるのか?
いや、折角だし作っておきたいだろ。
受付に行くと見たことのある女性がいた。
と言うより何故お前がいる?
「ええっ、まさかリョウ様ですか。やっと私を迎えに来てくれたんですねぇ!」
そこにいたのはカルーアの冒険者ギルドで受付嬢をしている筈の、フィアの後輩であるエミリアだった」
「いや、偶然だ」
「何ですかぁ偶然ってぇ。私はずっと待ってましたよ、リョウ様に待てって言われましたからぁ」
えへへ、と笑いながら言うエミリア。さっきから語尾が上がる上がる。
ほんとやたらテンション高いな!
「エミリア、旦那様は違うと仰っているでしょう。貴女はまだ受付嬢でいなさいと言っているのです」
「せっせんぱい、いたんですね」
どうやらエミリアにはリョウの姿しか目に見えてなかったようだ。
「全く貴女は、前からそそっかしい所がありましたが未だ直ってないようですね」
「そうなのか?」
「はい、仕事は出来るのですが偶につまらないミスをするんです。それは直ぐに修正の出来る物ばかりなのですが、その時に限って人の目に入ってしまい上司に怒られていましたね」
つまりフィアに毎日怒られていたと。まぁぱっと見エミリアは仕事はバリバリこなしそうなんだよな、見た目はな。
だが喋ると何故か舌足らずな喋り方になるんだ、普段はシャキッとしてるが、知り合いには口調が変わるみたいだ。
見た目銀行員、中身女子高生みたいな。
「うう、せんぱいは今でも厳しですぅ」
「それでカルーアに居るはずのお前がなんでリュードにいるんだ」
「それが、実は〜」
ふむ、つまりきっかけはギルマス絡みだった訳だな、と。
え? 俺の所為?
「つまり旦那様に協力的だったエミリアとレイニーが領主様から目を付けられて、それに勘付いた盗賊ギルドが貴女達をリュード迄逃してくれたんですね」
「そうなんですぅ、何故か盗賊ギルドの方が協力してくれたんです。どうしてか尋ねても答えてくれませんでしたが」
レイニーもここで働いてますよぅ、と言うエミリア。やはりあの領主はクズだな。保険をかけていて良かったよ。
カルーアの領主はミィの父親であるがミィを大事にしないクズなので俺の敵である。
ミィを見ると元父親に落胆と怒りを感じているようだ。やってる事は只の八つ当たりで情け無いからな。
「ミィ」
怒るミィを撫でて落ち着かせる。ついでに抱きしめる。小柄なのに両手から溢れるボリューム感、素晴らしい。
「んぅ、ん、ご主人様ぁ。ありがとうございます」
ミィも落ち着きを取り戻していつもの笑顔の可愛いミィに戻ったようだ。
うむ、メイドは常に笑ってないとな。
「それでぇ、その。メイドさん増えてません?」
エミリアがこっちを見ながら今更の事を口にする。
「気のせいだ」
「いやいや、増えてますって。私もメ・・・」
「エミリア?」
「ひぅ、せんぱぃ。怒らないで下さいよぅ」
「ほらフィア。それでエミリア、パーティー登録をしたいんだが」
ふむ、事情は分かったからこっちの用を済ませるか。
「あ、はい分かりました。パーティー登録ですね、それでは皆さんのギルド証をお願いします。後こちらの用紙に記入して下さい」
慣れた手つきのエミリア。ここには来たばかりだろうに必要な物がどこにあるか頭に入っているようだし中々優秀だな。
ギルド証を出してから用紙の空欄に記入していく。
「所でヒナは冒険者登録はしてるのか」
「はい、Eランクですが」
「俺も同じだぞ」
まぁ基本ダンジョンに入る為だけに持ってるような物だからな。ランク上げとか考えてないし。
ささっと書いてエミリアに渡す。
「はい、有難うございます。パーティー名はユリオプス・ペクティナトゥスですね、それでは暫くお待ちください」
「旦那様、この名前にはどう言う意味が込められているのですか」
「ふむ、意味はな。円満な関係、そして明るい愛だ。フィアたちは俺の愛するメイド娘だからな、これからも頼むぞ」
「旦那様ぁ!」
「「ご主人様ぁ!」」
くっ付いてくるメイド娘たちを撫でながら愛情を注ぐ。
やはりメイドは可愛いな。最高だ!
ユリオプス・ペクティナトゥス。別名ユリオプスデージー、花言葉は円満な関係、明るい愛。まさにリョウとメイド娘たちに相応しい名前だ。
何故なら、まだ他にも花言葉の中には「無意識」が有り、現在進行中で女神の加護が発動してメイド娘たちが勝手に「好意」や「発情」状態になると言うトラブル体質を持っているからである。
「あの〜、私にとっては目の毒何ですがぁ」
頬を膨らませながら抗議するエミリア。
「ああ、すまん。それで出来たか」
「はい、こちらですどうぞ」
受け取ったギルド証にはユリオプス・ペクティナトゥスの文字が刻まれている。
うむ、新しくパーティーを作ると気合が入って気分が良いな。
「良し、それじゃあ少しダンジョンに顔を出すか」
「リョウ様は依頼を受けないんですか、あまり長い期間依頼を受けないとギルド証が失効になりますが」
「そう言えばそうだったな。それじゃあ何か良いのがあるか?」
「そうですね、リョウ様の強さだと20階層で出るミスリル鉱石くらい平気で取ってこれそうですけど、何日も潜る事になりますからね。8階層のレッドサーペントの鱗の納品はどうでしょう。5個の納品で銀貨8枚です」
レッドサーペントは鱗か、うなぎ肉じゃないんだな。残念だ。ジャイアントナーガのうなぎ肉は美味しかったなぁ。
「ああ、問題ない。所でリュードのダンジョンにはジャイアントナーガは出ないのか」
「現在の攻略階層迄ではでていませんね、30階層より下は未知の領域ですので分かりませんが」
現時点での攻略階層は29階層って事か、フロアボスを抜けないのか。部屋に入ったら死ぬまで出られないから逃げる事も出来ないし、情報も出回らないんだろうな。
女神の使徒なら楽に勝てそうだが行きと帰りがあるからな。何日もダンジョンの中は流石にきついよな。俺みたいに空間転移やアイテムボックスがあれば問題ないんだが、みんな貰わなかったんだろうか?
スキルは沢山付けられないと言うツゥアハートの言葉を忘れているリョウである。
「それじゃあ行くか」
「「「はい、旦那様(ご主人様)」」」
これからメイド姉妹とダンジョンデートだ。さくっと魔物を狩って依頼を終えるとしようか。
エミリアは当分お預けだな。受付嬢を頑張れ。




