表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
PR
49/49

エピローグ

 ――レオン様と結婚をしてから、早十年。


 私は、今も変わらず二つの国を行き来して、魔物の脅威から人々を守る生活を送っていた。

 その努力の甲斐あってか、二つの国での魔物の被害は激減し、平和な生活を送れている。


 そんな私には、一つ大きな変化があった。


「……こうしてお姫様は、王子様と幸せに暮らしましたとさ。めでたしめでたし」


「えへへ、面白かった! ママ、次はこのご本を読んで!」


 私の膝の上に乗っていた女の子は、小さな体を一生懸命動かして、別の絵本を取ってきた。


「あら、またこの絵本? レナは、本当にこれが大好きなんだね」


「うんっ! この絵本に出てくる聖女様ね、ママみたいに綺麗で頑張り屋で、大好きなんだ!」


「レナったら、そんなにママを褒めても、何もでないよ~」


「きゃ~っ! あはははっ!」


 私は、ニコニコ笑いながら、彼女の頭をワシャワシャ撫でる。


 ――そう。この子は、私とレオン様の間に授かった、娘のレナ。私の血を強く受け継いだのか、聖女の才能を持っている、明るくて元気な女の子だ。


 今年で、五歳になるのだけど……もう可愛くて可愛くて! 聖女の才能もばっちりだし……私の自慢の娘なの!


「失礼します、セシリア様。間もなくお食事の準備が整います」


「ええ、わかったわ! レナ、一緒にパパ達を呼ぼっか!」


「うんっ!」


 レナと手を繋いでバルコニーに出た私は、中庭で木刀を振って組み手をしている人達に、大きな声で呼びかけた。


「おーい、レオン様ー! レオー! ごはんだから戻ってきてー!」


「早くしないと、私とママで全部食べちゃうよー!!」


 私達の声を聞いたレオン様と、小さな男の子は、組手をやめてこちらを向いた。


「ああ、わかった。レオ、今日の鍛錬はここまでだ」


「はい。本日もお忙しい中、ありがとうございました」


「礼は不要だ。それにしても……お前は本当に学習が早いな。さすがは俺の息子だ。俺もうかうかはしていられなさそうだ」


「そんな、僕の剣など、まだまだ父上の足元にも及びません。いつかあなたの大きな背中を追い越し、民を守れる騎士となるまで、日々精進を続けます」


「ああ、期待しているぞ」


 レオン様は、男の子の頭に静かに手を乗せると、そのまま優しく撫でた。


 あの子は、私の息子のレオ。レナとは双子だ。彼はレオン様の血を強く継いでいるのか、とても剣の才能があって、冷静沈着な男の子だ。


 まだ五歳なのに、剣の腕もさることながら、しっかりしていると思わない!? えへへ、私の自慢の息子なんだよ!


「二人を待たせるわけにもいかない。レオ、俺の背に乗れ」


 レオン様は、レオのことをおんぶすると、なんと私達のいる部屋まで、軽々とジャンプして戻ってきた。


「魔力を足に溜めて、一瞬で放出することで、今の跳躍力を生んでいるのか……! なるほど、勉強になる……!」


「レオはいつでも真面目ね!」


「ありがとうございます、母上。どんな時でも学べることはあると、ユリウス大叔父様から教えられておりますので」


 ユリウス様、そんなことを教えていたんだね。いつも、気だるげな感じだけど、根はとても真面目な人だから、当然だよね。


「ママ、私は?」


「あなたも真面目でおりこうさんだよ!」


「やった~!」


  愛らしい子供達の姿にキュンキュンしていると、家族の部屋に料理が並べられた。


 今日も、とってもおいしそう。匂いを嗅いでいるだけで、お腹が鳴ってしまいそうだ。


「さあ二人共。手を洗って、席につくんだ」


「はーい!」


 各々が準備を終わらせて席につき、揃って手を合わせてから、食事を始める。


 私達のルールとして、家族だけの時は、堅苦しい礼儀作法は一切気にせず、のびのびするようにしている。

 それもあってか、自由に好きなものを食べる子供達を見ていると、自然と食べる手が止まり、その姿を見続けてしまう。


 ……昔は、ずっとお腹がすいて仕方がなくて、食べ物があったら、食べたい! って思ってたのに。なんだか不思議な気分だ。


「そんなに慌てなくても、ごはんは逃げないよ」


「だって、おいしいんだもん! あっ、レオ! お野菜も、ちゃんと食べないといけないんだよ!」


「野菜よりも、肉を食べて体を作っているだけだ。決して、野菜が嫌だから食べていないわけではない」


「レオ。野菜も体作りには欠かせないものだ。これも鍛錬と思って食べるといい」


「……うっ……わ、わかりました……に、苦い……」


 レオン様に促されて、渋々ピーマンを口にしたレオの表情は、一気にシワシワになった。


 ふふっ、レオン様に似ているとはいえ、こういうところは、まだまだ子供だね。ああもうっ、可愛くて食べちゃいたくなるよ。


「レオはとっても偉いね! あなたは、必ずパパみたいな凄い騎士になれるよ!」


「本当ですか? 母上にそう言っていただけるとは……明日からの鍛錬にも、精が出ます」


「ねえねえ! 私は!?」


「レナも、私やユリアーナおばあちゃんと一緒に頑張ってるから、素敵な聖女になれるよ!」


 身を乗り出して問いかけるレナにも、笑顔で答えてあげると、レナはまん丸な目をキラキラと輝かせた。


「ほんと!? あのね、あのね! 私、大きくなったら、ママとユリアーナおばあちゃんと一緒に、この国やみんなを守りたいの! そうすれば、みんな幸せ……だよねっ!」


「ん~! 私のレナはおりこうさんだね~! ギューしてあげるね!」


「やったー! ギュー!」


「母上、レナ。食事中ですので、少し静かに」


「えー? ほら、レオも一緒にギューしてもらおうよー!」


「僕は、してもらう理由は……」


「理由……理由か。なら、俺達のもとに天からやって来てくれた。それが理由だ」


「父上……」


「レオ。ほら、おいで」


 レオは、少しためらいながらも、私の所に来てピッタリとくっついてきた。

 とても賢い子なのだけど、こうしている時の嬉しそうな顔は、まだまだ子供で……とても愛おしい。


「ほら、あなたもこっちに来て」


「俺もか? いや、俺が行ったらさすがに狭いだろう」


「狭くて結構! 沢山ギューって出来て、お得だね!」


「パパ! 早く来てよ~!」


「その……父上、僕も……」


「……皆にそんな顔をされたら、断れないな」


 レオン様は、どことなく嬉しそうに微笑みながら、その大きな体で私達を包み込んでくれた。


「きゃーっ! パパ、おっきい~!」


「レナ、そんなに暴れたら、埃がたってしまうじゃないか」


「レオの言う通りだよ、レナ」


「だって、嬉しいんだもん!」


「なんだって~? よーし、大人しく出来ない子は~……こちょこちょ~!」


「あははっ!!」


「くっ……は、母上……なんで僕まで……あは、あはははっ!」


「お前ら、こんな狭いところで暴れたら……!」


 レオン様の警告も虚しく、私達は暴れる子供二人に巻き込まれて、仲良くその場に倒れてしまった。


 だというのに、子供達は今も楽しそうに笑っていて……私とレオン様も、つられて笑っていた。


「ああ、おかしい! 笑いすぎて、お腹痛くなってきちゃった!」


「ああ、まったくだ。それにしても……とても楽しそうだな、セシリア」


「うんっ! だって、私は――」


 ――この温かな日々を、これからもずっと、四人一緒に、大切に守っていこう。


 そう心に誓いながら、私は家族の笑顔を見つめると、満面の笑顔で答える。


「世界で、一番幸せだからねっ!」

ここまで読んでいただきありがとうございました。


読んでいただいた方々に、お願いがございます。5秒もかからないので、ぜひ☆による評価、ブックマークをよろしくお願いします!!!!


ブックマークは下側の【ブックマークに追加】から、評価はこのページの下側にある【☆☆☆☆☆】をタッチすることで出来ます!

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ