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法術装甲隊ダグフェロン 永遠に続く世紀末の国で 低殺傷兵器  作者: 橋本 直
第四十九章 意味を持つようになった鍛錬
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第198話 ランニングの後で

「予想通り……たるんでるな」 


 かなめは余裕の表情でつぶやいた。彼女の気まぐれに付き合わされた寮の住人はランニングから戻ると我慢していた腹痛に襲われて食堂に突っ伏していた。あの不死身の島田でさえも顔色を青くしてテーブルに突っ伏せていた。これが真冬の出来事だからまだ誰もかなめに食ってかかることはなかったが、これが真夏の出来事ならば一騒動あっただろう。誠は取り合えず腹痛もなかったが、ただ苦笑いを浮かべながら椅子の上で息を整えつつ様子をうかがっていた。


「気合が足りねえな」 


 たたみ掛けるようにそう言うとかなめはまた周りを見回した。


「これが気合の問題?生理現象でしょうが」 


 涼しい顔のかなめにアメリアが青い顔で突っ込みを入れた。いつもは平然と笑っているだけの彼女の右手も脇腹に当てられていた。相当苦しいらしく冷や汗のようなものさえ浮かんでいるのが見えた。


 部屋中の空気はアメリアに味方していた。冷たい視線がかなめを取り巻いた。さすがに自己中心的なかなめも雰囲気だけは分かるのか、アメリアに浴びせようとしていた罵声を飲み込んでただ黙り込んでいた。


「単に自分の義体の慣らしに全員をつき合わせたかっただけだろ。そう言うことなら自分一人でやれ」 


 カウラの一言に一同は同調した。アメリアを始め、食堂の人々が大きくうなずく。かなめは状況不利と悟るとただ乾いた笑みを浮かべていた。


 疲労感が部屋中を支配していた。ただ一人元気なかなめはとりあえず話題を変えようと目をつぶった。彼女の脳と直結するネット情報。おそらくは話題を変えてくるだろう。誠もかなめの小手先のごまかしには騙されまいと身構えて彼女が口を開くのを待った。


「それより……面白い話があるんだが……」


 誠の予想通り、どこか彼女らしくもなく遠慮がちにかなめが口を開いた。 


「なによかなめちゃん。これ以上何か変なことがしたいわけ?つまらない話なら本当に怒るわよ」 


 いつもは騒動を起こす側のアメリアのその態度に誠は少しばかりおかしく感じながらもどう話が続くのか見守ることにした。かなめもこのくらいのアメリアの態度は想定していたらしく苦笑いを浮かべながらもったいぶることもせずに左腕の端末を起動させ立体画面を表示させた。



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