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第189話 二度目の覚醒

「なんだろう……あれ?あれが僕が呼び出したもの?」 


 誠は自分のしていることが今ひとつよく分からなかった。展開された干渉空間に手が自然と伸びる。そこには一振りの剣があった。


「『賊将の剣』……」 


 手に触れた瞬間に誠は確信した。嵯峨から託された遼南で鍛えられたと言う名刀だった。誠は手にするままするすると鞘から刀身を引き出す。


「神前!」 


 カウラの言葉を浴びて誠の周りの空間が飛び散った。両側から掃射が行なわれる。だが誠にはそれはぬるい攻撃に見えた。


『なんだか時が……ゆっくり流れるんだな』 


 空中を流れるように進む弾丸が見て取れた。誠はすばやく身を翻しそれを避けた。そしてそのままゆっくりとベッドの後ろに隠れているサイボーグに走り寄った。


 恐怖の表情が米軍の都市型迷彩服を着たサイボーグに浮かんでいるのが分かった。ゆっくりとライフルの銃口を誠に向けようとする動きが極めて緩慢でまるでスローモーションを見ているようだった。誠は余裕を持って剣をサイボーグの顔面の暗視ゴーグルに突き立てた。まるでケーキか何かにフォークを立てるような柔らかい感覚で刀が突き立てられた。


 次の瞬間、サイボーグの顔面から血が勢いよく噴出した。隣では震えながら誠を見つめる水島の姿があった。


「な……なんで?あんた……何者だよ!」 


 誠はその水島の問いに答えることができなかった。確かに時間がゆっくりと流れる感覚があり、いつの間にかサイボーグを倒していた。息すら切らさず、先ほどまでの怯えも心の端から消え去っていた。


「水島徹……違法法術展開および殺人未遂容疑で逮捕する」 


 落ち着いての誠の一言が放たれた。水島はただ腰を抜かして倒れていた。彼にはもはや頼るものは何もない。


「あんた……化け物だ!なんでそんなことができる!そしてなんで俺から力が見えないんだ!おかしい!これは何かの間違いだ!茶番だ!」 


 水島は取り乱して我を忘れて叫んだ。その表情を見て困惑していた誠だが頭の中に何度か痛みたのを見逃すことは無かった。


 怯えて座り込む水島を誠は見下ろしてにらみつけた。手には剣が握られている。その剣をサイボーグから抜き水島に突き付けた。


「化け物……人でなし」


 腰を抜かした水島の言葉が誠に注がれる。


「言いたいことはそれだけか?貴様は貴様の起こした事件の責任を取る必要がある。だから僕は力を使った……貴様の力では僕の力はどうすることもできない……観念するんだな」


 誠は水島にそう言い放った。水島は静かに首を垂れ、誠に向けて両手を差し出した。誠はすかさず腰のベストから手錠を取り出すと水島の手に手錠をかけた。



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