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第188話 誠の決意
誠は立ち上がりまわりに干渉空間を展開した。
「誠ちゃん!死ぬ気?」
アメリアの言葉は誠には届かなかった。誠は無言でそのまま部屋を飛び出した。階段付近からの北川の拳銃弾と奥のベッドからのライフルの銃弾が次々と銀色に輝く誠を覆う干渉空間に命中しては消えた。
「神前……」
カウラは誠の思いもかけない行動に唖然としたようにそう言った。
『神前何する気だ?』
驚いたようにカウラはつぶやいた。かなめは唯一自由の利くタレ目を誠に向けた。
『なんだありゃ?』
階段近くで北川が叫ぶ声が誠達にも聞こえてきた。
誠には自分が何をしているのかという自覚は無かった。
するべきことをしている。誠にはそう説明するよりほかに無かった。
誠は何か力を欲していた。そしてそれが手に入る保証もあると確信していた。それが何かは未だ分からなかったが、かつて『近藤事件』の際にランに命じられるまま『光の剣』を使った時と同じ感覚が誠を捕えていた。
「大丈夫です……僕がなんとかします……」
誠は自分でも分からぬ確証を得てそうつぶやきながら弾幕の中に突入していった。