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第186話 危機……そして

「おい、神前……ラッキーかもしれねえぞ」 


 突然拳銃を手にかなめが振り返った。ニヤリとその口元が笑っていた。感情の起伏の激しいかなめだが、こんなところで突然振り返って笑ってくるので誠は面食らって黙り込んでしまった。


「西園寺。ラッキーとはどういうことだ?根拠の無い事を言える状況じゃない」 


 カウラは不機嫌そうな表情を浮かべて首をひねった。それを見てもかなめは勝ち誇ったような笑みを浮かべていた。


「一瞬だがこの建物の四階で衛星通信をしている奴の反応が出た。恐らく水島が呼び寄せた使い魔は法術師じゃなくてサイボーグだ。戦力の読めない相手じゃねえ」 


 かなめの顔には余裕の笑みが浮かんでいた。


「使い魔?ドラゴンとかじゃないから良かったとでも言いたいの?サイボーグだって十分驚異じゃないの。あんたの片腕。その状況だとそいつのをもぎ取って使えるから人斬り相手に有利に戦えるようになるとでも言いたいわけ?」 


 アメリアはあきれ果てたようにそう言うとそのままかなめを追い抜いて四階のフロアーに顔を上げた。


 銃声もない。誠も気配を感じることができない。ただ暗がりだけが広がっていくのがわかるだけだった。


「静かね……で?軍用義体のサイボーグが水島さんを助けに来た。それのどこがラッキーなのよ」 


 何もないのを確認したアメリアがかなめを振り返り小声で詰問する。そんなアメリアを見てさげすむように笑った。


「サイボーグは所詮工業製品だ。どんなに高性能な義体でも性能の上限は設計図を見れば分かる。研究途中でどんな力があるのか分からない法術師より与し易いだろ?」 


 かなめは自分がサイボーグであることを棚に上げてそう言った。


「事実だが楽観論だな。今の状況じゃその性能とやらは分からないんだろ?」 


 あっさりとかなめの意見をカウラが切って捨てた。かなめはそのまま不機嫌そうに闇に目を向けた。そしてそのまま一気に四階のフロアーに飛び上がった。


「西園寺さん!」 


 誠が驚いて声をかけた。かなめはムキになったようにそのまま前進した。


「馬鹿が!」


 カウラがその後に続いた。遅れまいと誠は左右を、アメリアは後方を警戒しながら前進していった。


 かなめは最初のドアを見つけるとカウラに少し離れて止まるように指示を出した。静かに彼女は左手の拳銃を手にドアを押し破ろうと手を伸ばした。


 その瞬間、誠は強い感情の流れをかなめの死角に当たる廊下の中央に感じた。


「正面!干渉空間!」


 その瞬間銃声がドアではなく廊下から響いた。手を伸ばしていたかなめがそのままその場に倒れ込んだ。かなめの隣に突然現われた発砲の作り出した火の玉がかき消すように消えた。 



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