表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
法術装甲隊ダグフェロン 永遠に続く世紀末の国で 低殺傷兵器  作者: 橋本 直
第四十四章 『廃帝』と対決する『特殊な部隊』
180/203

第180話 これまでに無い難敵

「とんでもねえ!ありゃ化け物だ」 


 ようやく北川の銃撃から逃れてきたかなめが吐き捨てるように叫んだ。切り落とされた右腕の血は止まり、相変わらずひねくれたような笑みを浮かべながら北川が隠れていた物陰をにらみつけた。


「西園寺さん、大丈夫ですか?」


 片腕を切り落とされたかなめだが、戦闘用のサイボーグの身体は傷口からの出血を止めていた。 


「大丈夫に見えるか?まあアタシの体は自動で動脈を閉じてるから出血は無いが、片腕切り落とされたら痛いぞ」 


 苦笑いを浮かべながらかなめは残った手に握った銃に力を込めた。


「それは分かるけど……」 


 腰の拳銃を取り出してけん制射撃をしながらアメリアがつぶやいた。反撃がないことから北川がすでに移動していることはすぐに分かった。


「今からでも救援を呼ぶか?」 


 カウラの言葉にかなめは天を仰いだ。


「なんだよ、救援呼んでなかったのか?頼むぜ隊長さん……こういう時はかえでクラスの法術師ならあの大男と互角にやれる……まったく神前は頼りにならねえ」 


 カウラを呆れたような顔で見るとかなめはすぐに立ち上がった。


「片腕じゃショットガンは無理だな……神前、とりあえず弾だけ取っとけ」 


 そう言うとかなめは落ちていたショットガンを拾った。そしてそのまま誠に銃を差し出した。誠とは呆れつつ、ショットガンから弾を抜いてポケットに押し込んだ。


「あの刀の化け物と法術師のコンビネーション……舐めない方がいいわね。とりあえず不正確な射撃からして法術師、北川はこう言う場には慣れていないみたいだからそっちから潰す?」 


 アメリアは北川の射撃があまり上手くないことを察してそう言った。


「まあその方が賢いやりかただな。アタシ等に出会ったのは想定外の事件のはずだ。さもなきゃリボルバーとダンビラで喧嘩を売ってくる意味がわからねえ」 


 かなめはそう言うとそのまま北川のいた物陰に銃を向けた。


「やはりあちらも予想外な事態なわけね。となると……あの方々と私達。どちらが先に水島さんに出会うかが勝負の分かれ目になりそうね……私達は上がってきたけど運動不足の中年男には出会わなかった訳だし」


 アメリアは覚悟を決めたようにショットガンを捨て拳銃を取り出した。


「となると上だな」 


 アメリアは笑みを浮かべて周りを警戒した。カウラもその死角をカバーするように位置をとって拳銃を構えた。誠は緊張感に胃が痛くなるのを感じながら周りを見回した。


 廃病院がつかの間の沈黙に包まれた。


「こっちもかえでクラスの使い手がいれば楽なのにな……アイツは変態だが剣と法術の腕だけは確かだ。ランの姐御とマジでやりあえるのはうちではかえでだけだ」


 この場に居ない妹の名を上げながら責めるような視線でかなめは誠をにらみつけた。 


「西園寺さん、すみません」 


 頭を下げた誠を心底呆れたという顔でかなめが見つめ返した。


「謝って済むなら少しは鍛えろ。それじゃあ行きますか!」 


 かなめはそう言うと残った左手の銃を握り直すと先ほど北川が昇っていった階段を駆け上がって行った。



評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
ツギクルバナー
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ