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法術装甲隊ダグフェロン 永遠に続く世紀末の国で 低殺傷兵器  作者: 橋本 直
第四十四章 『廃帝』と対決する『特殊な部隊』

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第179話 『廃帝』の配下との接敵

 かなめは静かに北川に追尾した。そして誠達は先頭を行く彼女に黙って付き従った。その行進は三階の開けたフロアーまで続いた。暗がりの中、不意に北川が足を止めた。


「いい加減……出てきても良いんじゃないですか?」 


 北川の言葉に自分達の存在がばれたと思ったかなめがショットガンの一撃を加えた。銀色に光る板のような干渉空間に殺傷能力の低い弾丸が中に入っている粉を振りまきながら飲み込まれた。


「消えた?」 


 かなめの言葉の通り北川の姿は干渉空間が消滅した時には消えていた。誠はすぐに北川の意識の断片が吹き抜けの階段に現われるのを確認して叫んだ。


「上です!西園寺さん!」 


 階段の手すりを盾にするようにしてその上に銃口から光る赤い弾が二つ。それと同時に誠の正面にいたかなめは右肩を抑えて銃を取り落とした。


「西園寺さん!」 


「来るな!他にもいるぞ」 


 かなめの叫び声が響いた。そして再び彼女の前に銀色の干渉空間が出現した。次の瞬間には彼女の右腕が切り落とされて地面に転がった。一瞬見えた大男の影が再び消え失せた。誠はカウラに背後から襟首を捕まれて何もできずに北川の火線の中で孤立したかなめを置き去りにしてフロアー手前の壁際まで引きずられた。


 振り向いた誠の目に飛び込むのはカウラの真剣な表情だった。後衛にいたアメリアが孤立したかなめの元に姿勢を低くして駆け寄った。


「どこよ?どこにいるのよ!」 


 アメリアは誠の見上げていた階段に銃口を向けたまま叫んだ。


「このままじゃ……」 


 北川の先手を呼んだ跳躍と圧倒的な大男の剣技。どちらも誠達のローリーサルウェポンで対応できる相手では無かった。


「お前には無理だ」 


 低威力のショットガンを見切ったカウラは拳銃を抜くとそのままフロアーの向こうの壁に張り付いた。


 今度は階段の反対側からの銃声が響いた。何とか残った左手で拳銃を抜いたかなめの手前で銃弾が跳ねるのが見えた。かなめをかばうように片膝を立ててアメリアは反撃した。カウラがかなめの元に飛び出してきたのは彼女の背後から刀を手にした大男が現われたからだった。


「何もできずに全滅ですか?」 


 そう言いながら誠はショットガンを握りしめた。自分が行っても足手まといになるだけ。それは十分に分かっていた。カウラが廊下を悠々と歩く大男に発砲するが弾はすべて北川が遠隔で展開する銀色の干渉空間に消えた。


 じりじりと大男が刀を手にしたままフロアーの中央で負傷したかなめをかばうカウラ達に歩み寄った。北川の発砲の様子は無い。大男は間合いが詰まったと判断したように太刀を大上段に振り上げた。


「うわー!」 


 夢中だった。誠は繰り返し発動する法術の気配を感じながら手にした銃を逆手に持って大男に殴りかかった。振り下ろされたショットガンのストックは男の前に展開された干渉空間にぶち当たった。


「こなくそ!」 


 誠は力を込めて押し込んだ。その銃を中心に誠の干渉空間が展開された。男はそれまでの無表情を驚愕の表情に変え、背後に展開された干渉空間に姿を消した。


「馬鹿か!神前!銃は剣じゃない!」 


 カウラはそう言いながら周りの気配を探った。再び階段の上から銃弾が誠の足下を掠めた。 


「カウラ!がたがた抜かす前に銃を撃て!」 


 かなめは左手で無理に拳銃を取り出すと階段を駆け上がっていく北川の背中に三発の銃弾を発射した。


 すべての弾丸が銀色の空間に消えた。


「人斬りは!」 


 かなめが叫んだ。誠のショットガンが空を切った辺りで広がった銀色の空間から現れた刀に両断された。


「なによ!」 


 ショットガンを諦めたアメリアは拳銃を抜いてそのまま転がるようにして壁に張り付いた。再びこの階に転移してきた北川の弾丸がかつてアメリアのいた場所に着弾して煙を上げていた。


「西園寺!下がるぞ」 


 カウラの言葉で我を取り戻したかなめは切り落とされた自分の右腕をちらりと見た後そのままアメリアのいる壁際に後退してきた。



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