表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
167/203

第167話 外交官特権

「とりあえず僕のボスに話をつけてくるから。安心して待っていてくれても良いよ。それと県警や司法局が来たら抵抗しないでそのまま捕縛されても構わないんだ」


 クリタ少年は笑いながらそう言った。 


「逮捕されろと?本当に大丈夫なんだね?」 


 弱みを握られたような表情で水島は干渉空間に消えようとするクリタに声をかける。


「なに、外交官特権でどうにでもできるからさ。数日くさい飯を食べていれば自由の身さ。合衆国は協力的な人物を裏切るような真似はしないよ」 


 水島にも国交のないアメリカがこの国にどんな圧力をかけるかの想像はついた。


「自由……?ふざけたことを。実験動物の間違いだろ?」 


 つい本音を水島がこぼしたのを見ると黒髪の少女が初めて見るような素敵な笑みを浮かべた。


「じゃあね」 


 クリタ少年の言葉とともに干渉空間は消滅して何も無い部屋に戻った。


「食べる為なら何でもするさ。この国が僕を必要としていないなら僕を必要とする悪魔にでも魂を売ってやるよ」 


 水島は思わずそうつぶやいていた。そしてそのまま自分の注いだままで冷めている茶をゆっくりと飲み干して立ち上がると手にして行政訴訟の判例集のノートを思い切りよく引き裂いた。



評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
ツギクルバナー
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ