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第159話 待たれる調査結果

 一月も半ばとなれば正月の雰囲気も抜けるものだった。昨日、水島の前の住居の残留アストラル波の採取を行ったデータは司法局本局と千要県警に提出されていた。ともに結果が出るには時間がかかるという回答を誠達は受けていた。そんな中、誠はじっと端末をのぞき見ながら隣で野球のボールをいじっているかなめに目をやった。


「そう言えば最近走ってませんね。これだけ椅子に座っている毎日が続くと隊のランニングの日々が恋しくなる」 


 誠の一言にかなめはにんまりと笑いそのまま視線を正面のカウラに向けた。


「私は走っているぞ。夜なら時間は作れるだろ?」 


 カウラはそう言って笑った。彼女は勤務中のランニングはしないのだが、帰宅後に1時間ほど走るのを日課としていた。それもパチンコ依存症を改善するためにランが組んだプログラムの一環だった。


「カウラちゃん……危ないわよ。夜中に一人で走るなんて……あの女ばかりを狙う人斬りが歩き回っているご時世だもの。そうだ!誠ちゃんも一緒に走らない?私も少し走りたいのよ。最近体がすっかりなまっちゃって」 


 アメリアの言葉に呆れたカウラはそのままモニターに目を移して作業を始めた。


「馬鹿なことを言いてえところだが……最近は辻斬りがここらでも出てるからな。得物でも持つか?」 


 かなめはそう言っていつものようにスプリングフィールドXDM40を取り出した。


「だから、ここは甲武じゃないの!すぐ銃に頼ってばかりで……かなめちゃんはそのうち射殺魔として手配されることになるかもよ」 


 指で銃の形を作ってみせるかなめにたしなめるような調子のアメリアの言葉が飛んだ。


「動けないのはつらいのは分かるんすが……」 


 ラーナが困ったように机にかじりついている四人を見ながら苦笑した。違法法術発動の容疑者である水島徹の身辺捜査の権限は彼が以前住んでいた東和警察が握っていた。放火や傷害などの嫌疑のある事件の発生時刻の水島のアリバイの有無の捜査は極秘裏に東都の捜査官達が行っていた。アストラル波の照合データの回答が司法局から出たとしても東都警察の許可がなければ誠達は指をくわえてみているしかない。その事実が重圧として誠達にのしかかっていた。


「しかし……奴等は嫌疑が裏付けられたらアタシ等に内緒で逮捕しちゃうんじゃねえのか?アタシ等は連中の報告を待つしかねえ。その報告をする前に何らかの嫌疑をでっちあげてパクる。警察のお得意の手だ」 


 ボールをもてあそぶのにも飽きたかなめの一言に思わず誠もうなずいていた。


「先々月の同盟厚生局の事件では見せ場を私達が持っていったからな。今度は手柄を……などと言うのもありえる話だな」 


 いつもなら苦笑いで済ませるかなめの言葉にカウラは同調しながら弱弱しく微笑む。アメリアは何度かうなずきながら時折ラーナに視線を送っていた。



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