第141話 嵯峨とランの博打
「さっきの隊長との賭だが、今回の捜査でいつオメー等が正しい捜査手法にたどり着くかってのを賭けたんだ。隊長はラーナと西園寺がいつかは喧嘩して西園寺が暴力でラーナを追い出すと読んでたが……茜の読みどおり西園寺は自分の専門じゃ無いことではおとなしいからな。おかげで今日は運転手付きで飲みにいける」
あれだけ協力をしておきながらまるで信用がなかったことが分かってかなめは不機嫌になった。そのタレ目がご機嫌なランを睨み付けた。
「勝手に飲んでろ!餓鬼!それと下手なもんに触るんじゃねえぞ!餓鬼の扱える代物じゃねえ!」
そう叫ぶとかなめは自分の席の端末に首筋のジャックからコードをとしだして差し込もうとした。だがその手をランの小さな手が握り締めた。
「おー勝手に飲んでやるよ。カウラ、オメーは先に上がれ。アタシの運転手に任命してやる」
ランはまた勝手なことを言い出したのでカウラは戸惑った。
「クバルカ中佐……私も仕事が有るので」
カウラは戸惑いつつそれを断ろうとした。
「いいじゃないの?どうせアストラル反応なんてそう簡単に出ないわよ。行ってらっしゃいな。でもちゃんと戻ってくるのよ。今日は九時まで監視を続ける予定だから」
アメリアはそう言って時計を見た。時計は七時前を指していた。
「九時までですか……まあ、僕だけ残業手当が出るんですからね。まあ、仕事があるだけましですよね」
誠は連日続くこの監視業務に飽きていた。
「そーだぞ。画面をただ眺めているだけで給料が出る。こんないー仕事他にはねーぞ」
三杯目のカップ酒を口に運びながらランはそう言った。それを見てカウラも立ち上がった。
「しかし、私だけで良いんですか?どうせ行くのは月島屋ですよね」
カウラは念を押すようにそう言うと日本酒をあおるランに向けてそう言った。




