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法術装甲隊ダグフェロン 永遠に続く世紀末の国で 低殺傷兵器  作者: 橋本 直
第二十六章 始まった警邏活動

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121/203

第121話 新兵器投入

「今までお願いしていた警邏隊の巡回活動をこの十五人を重点的に行っていただければ結構です。それと……」 


 そう言って立ち上がったアメリアは部屋の隅の大きな箱に向かった。誠も見たことが無いいつの間にか置かれた上下1メートルほどの箱をアメリアが持ち上げようとした。


「ちょっと!そこの怪力二人!」


 アメリアはいつものくだけた口調で誠とかなめに声をかけてきた。 


「誰が怪力だ!」 


 誠はアメリアの助けに向かうが売り言葉で挑発されたかなめは叫ぶだけで立ち上がる気配も無かった。仕方なく立ち上がってそばまで行った誠はアメリアと箱を持ち上げようとしてみた。結構な重さと中に入った多くの小箱が箱の上から見えた。


「菱川精密機械株式会社……」 


 誠は隙間のラベルを見て読み上げた。二人で運ぶ大きな箱に杉田は興味を示しているようだった。


「これが……新型の演操術系法術反応対応の簡易型のアストラルパターンゲージです」 


 テーブルの横に箱を置くとアメリアはその中の一つ。二十センチ四方くらいの小箱を取り出した。それを見て杉田は思わず立ち上がった。そしてアメリアは彼の興味深そうな瞳を一瞥した後その一つを取り出し開封した。


 緩衝材に包まれた小型の弁当箱のようなものが誠の席からも見えた。そして渡された杉田はいくつかのモジュラージャックとディスプレイのついたアストラルゲージをまじまじと眺めた。


「これまでの順路を多少変えて、警邏隊(けいらたい)にこれを持ってパトロールさせるくらいのことはできますわよね?この程度の事で犯人逮捕につながるなら簡単な話じゃないですか?」 


 これ以上は妥協できない。そんなアメリアの意志のようなものを感じる鋭い視線が杉田を捉えていた。


「ええ……そのくらいのことなら……」 


 そう言いながら杉田は珍しい機械を興味深げに見た。彼としてもアメリアの提案は呑めないものでは無かった。


「これでこれまでのすべての犯行現場で観測されたアストラルゲージの値と一致する人物を特定していただければ結構です。後はうちのお仕事ですから」


 アメリアは妥協点としてこの事実を杉田に示して見せた。 


「はあ」 


 アメリアの自信に満ちた言葉に裏打ちが無いことは誠には分かっていた。杉田は興味のある機械を眺めながら曖昧にうなずいた。



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