咲耶と通行許可証
「ほう、これわ良いわい。可愛らしい動物などであれば、落胆しとるところじゃった。この竜の姿絵は、御主がモデルか?」
『うん。僕が許可したって意味でその絵にしてみたんだ。』
クルードが自分の絵を褒めた事に気を良くした竜は、クルードの説明攻めにも答えてやっている。
「竜殿、最初に施された咲耶様の手には、ワシと同じ竜が描かれておるのか?」
『うん。もしかして嫌だった? ほかの可愛らしいのがいい?』
少し気弱な感じで聞いてくる竜に、咲耶はにっこりと笑顔を見せて否定する。クルード達が会話をしている間に、自分の絵を確認していたようだ。
「私も竜の姿がとても嬉しい。それとね、今思い付いたのだけれど、いつかお店を開く時に、この証を持つ者しか通れない様にしたらどうかな?その時は、竜の絵ではなく別の絵にするようにするけど。」
咲耶の提案に、すぐ様反応してみせたのはクロガネであった。
「それならば咲耶様、この今居る場所に繋がる許可を竜殿に施してもらい、咲耶様が描く証を持つ者は、決まった場所への移動制限を設けてはどうでしょうか。」
「なるほどじゃ、竜殿はどこにでもある扉からこの場所への通行許可証、咲耶様は決められた扉の決められた場所しか行けない通行許可証と言うところかのぉ?」
『うんうん。僕もそれがいいよ。苦にはならない作業だっていっても、知らない人達をこの空間に招くのは嫌だもん。 なら僕は、烏くんとドジっ子くんと外に出てるメンバーに証をつければいいってことだね。』
そう言うと竜は、反対意見を述べていたクロガネとドゥーロに最終確認していた。
『じゃあ、あんなに嫌がってた2人だけど、実害のない僕の許可証。欲しい?』
クロガネとドゥーロは顔を見合わせ、素直に謝罪を述べたのち、欲しいと願い出た。
「竜殿。先程は自分の浅はかな考えで気分を害させて申し訳ありませんでした。」
「俺も謝るよ、悪かった。 ちょっと血とかになると、拒絶反応っていうかなんていうか……」
モゴモゴと口ごもるドゥーロと、全面降伏のクロガネに気を良くした竜は、表向きは気にしてない振りを見せて許す事にした。
『もういいよ。いつまでも怒ってたら子供っぽいしさ、このメンバーが出入り出来ないと、僕の咲耶様が困るしね』
竜は2人の為ではなく、咲耶の為だと強めに主張すると、クロガネ達の手の平に許可証を施した。
これで4人は街に出かける準備が完了したのである。




