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破滅悪魔セラさん、なぜか俺に懐いてます。  作者: ZERO POINT
第3章

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最終話 世良幸香

 帰ったらセラは普通だった。


 いつもと変わらなかったんだ。


 本当に安心した。


 でも、それが数日続いたある日のことだった。


「もしかしたら、今日で破滅ポイントが終わるかもしれないわ」


「え?」


「だから……ありがとう」


 そう言って少し笑った。


 その笑顔が妙に胸に引っかかった。


「どうなるかわからない」


「でも、行ってくるね」


「ちょっと待てよ。俺も付いていく」


「ありがとう」


 セラは小さく頷いた。


 そして――。


 セラは誰か知らない人の縁を斬った。


 その瞬間の表情は無表情だった。


 それがセラだったのか。


 それとも別の何かだったのか。


 俺にはわからなかった。


 そして、セラは消えた。


「……セラ」


「どこに行ったんだよ」


 破滅ポイントって何だったんだよ。


 お前が消えてどうするんだ。


 そんなの、破滅じゃないか。


 その時だった。


 俺の中へ記憶が流れ込んできた。


 遠い昔の記憶。


 セラとの記憶だった。


 昔も。


 俺はセラを愛していた。


 ずっと。


 ずっと前から。


 忘れないで。


 そう言いたかったのか。


 それだけのために。


 それだけのために、お前が消えてどうするんだよ。


 ***


 あれから数年が経った。


 赤石が家に来ていた。


「お前さ……まだ引きずってるのか?」


「まあ」


 俺は苦笑する。


「ラエルさんも帰ってから、もうだいぶ経つだろ」


 赤石が肩を落とした。


「ラエルさんはたまに来てくれるじゃん」


「そりゃそうだけどさ。まだお前が心配らしい」


 赤石が呆れたように言った。


「お前、俺にべったりだからだろ」


「仕方ないだろう。友達がいないんだ」


 赤石はなぜか胸を張った。


「忘れられないんだな」


「まあな」


 窓の外を見る。


 もう会えないかもしれない。


 それでも。


 忘れる気はなかった。


「青斗、ちょっと外の空気吸いに行くぞ」


「酒でも買いに行こう」


「ああ」


 二人で話しながら歩いていた。


 その時だった。


「なあ」


 俺は足を止めた。


「あそこに変なやついないか?」


「明らかに怪しいんだが」


「何か覗いてないか?」


 赤石もそちらを見る。


「……怪しすぎるだろ」


「関わるなよ」


「ああ」


 俺は頷いた。


 ちょっと待て。


 これ……前にもなかったか?


 赤石の時。


 確か、ここだった。


「……あの」


 俺は思わず声をかけていた。


「静かにして」


 女は即座に言った。


「あいつ、やばいの」


「友達があの男に遊ばれてるのよ」


「だから、どうにかしてやろうと思ってるの」


「……セラ?」


 女が振り返った。


「何であなた、私の名前知ってるの?」


 俺は言葉を失った。


「あの」


「私、清純派なので」


「ナンパは受け付けませんけど」


 真顔だった。


「俺もナンパじゃない」


「知り合いだ」


「は?」


「セラちゃん?」


 赤石も目を見開いた。


「青斗、良かったな」


 俺は何も言えなかった。


「セラ」


「お前、忘れるんじゃねぇよ」


 その時だった。


「やっと出会ったのね」


 聞き慣れた声がした。


 ラエルだった。


「祝福、ちゃんと受け取れてよかったわ」


「あとはあなたたちで何とかしてね」


 ラエルはそう言って笑った。


「私、清純派だから、ナンパは受け付けてないのだけど」


 セラは少し首を傾げた。


「でも、知り合いだったみたいね」


「私、ちょっと色々あったみたいなの」


「あなた、青斗って言うのね」


 それから小さく笑った。


「私は世良幸香」


「幸香よ」


「青斗、これからよろしくね」


 俺はしばらく何も言えなかった。


 すると幸香は、すぐに別の方向を指差した。


「それより、あなたたち」


「あの男、どうしたらいいと思う?」


「友達を振り回してるのよ」


「ふざけてるんだから」


 俺は思った。


 絶対にあいつは赤石みたいに何人も女がいるやつだ。


 赤石が静かに目を逸らした。


「お前、何で今こっち見た?」


「いや」


「何でもない」


 幸香は真剣だった。


 記憶はなくても。


 困っている誰かを放っておけないところは、昔のままだった。

ここまで読んでくださった皆様、本当にありがとうございました。


青斗とセラ、そして赤石たちの物語はこれにて完結です。


途中シリアスな展開もありましたが、最後はこの作品らしく少しだけ笑える形で終われたかなと思います。


最後まで見届けてくださった読者の皆様に感謝いたします。


また別の作品でお会いできましたら嬉しいです。


本当にありがとうございました。


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