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破滅悪魔セラさん、なぜか俺に懐いてます。  作者: 桐原悠真
第2章 切断と執着

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第13話 変わったわね

「まあ、大丈夫ってことで――俺は帰ろうかな」


「え? 行っちゃうの?」


少しだけ、間。


「……だって俺、今日は買い出ししたいんだ」

「今度の土曜の昼とか夜に飲むとかならいいけど」


「じゃあ、土曜の昼から会って――夜は飲んで、そのまま寝るっていうのはどうだ?」


「……まあ、いいけど」


間。


「なあ、青斗」

「俺、毎日連絡していい?」


「ああ。別にいいけど」


「仕事中はなしな」


「わかった」


少しだけ、間。


「……するよ」


ラエルが、少しだけ真面目な顔で言った。

「紅希、もう一度言うけど」

「青斗は彼氏じゃないからね」

「……友達よ」


少しだけ、間。


「わかった?」


「わかってるよ」

紅希は、あっさり頷いた。


「女の子みたいに、べたべたしないの」


「わかったよ……」


少しだけ、間。


「……友達だしな」


その言い方は、納得したようで――

どこか、ずれていた。


「あなた……青斗に恋してないでしょうね」

ラエルが、じっと見る。


「俺は、女の子が好きだけど?」

紅希は、少しだけ首を傾げた。


「そうよね」

「わかってるわ」


セラが、頷く。


少しだけ、間。


「青斗は駄目よ」


「……?」

紅希は、一瞬だけ考えてから――


「なんで?」


「なんでも」

ラエルが、即答した。


沈黙。


「あのさ……」

青斗が、少しだけ引いた顔で言う。

「俺はノーマルだから」

「先に言っておく」


「……うん」

紅希は、普通に頷いた。


でも――

どこまで理解しているのかは、わからなかった。


「それから、少し心配なんだが……」

青斗が、紅希を見る。

「会社でも距離詰めるの、やめろよ」

「他の人が迷惑すると思うから」


「……わかった」

紅希は、素直に頷いた。


少しだけ、間。


ラエルが、青斗に視線を向ける。

「私も注意して見ておくわ」


「ああ、頼む」


紅希が、小さく息を吐いて――

「ラエル……」

「俺が変だったら、ちゃんと言ってね」


「わかったわ」


少しだけ、間。


「……多分、大丈夫だと思うけど」


その言い方は、どこか曖昧で。

本当にそう思っているのかは、わからなかった。


「でもさ……セラさんは任務完了したんだよな」

青斗が、少しだけ考えながら言う。

「そうすると、悪魔のところに戻るのか?」


「……」


ほんの少しだけ、間。


「……まだいる」


「え?」

「え?」

紅希と青斗の声が重なる。


セラは、少しだけ視線を逸らした。


「だって、紅希もあやしいし」

「観測、しないと」


その言い方は、理由としては正しいのに――

どこか、足りなかった。


ラエルが、静かに続ける。

「まあ……私も、少しあなたの様子を見たいわ」

「……変わったしね」


「でも……まだ、切らないと駄目よね」

セラが、ぽつりと呟いた。

誰に向けたわけでもなく。

「……破滅ポイント、必要だものね」


沈黙。


その言葉だけが、やけに浮いていた。


「破滅ポイント……大変だな」

青斗が、ぼそっと言った。


「うん」

セラは、小さく頷く。

「結構たまったと思ったんだけどね……」


少しだけ、間。


ラエルが、肩をすくめる。

「まあ、そりゃそうでしょう」

「あなた、相当頑張ってたもの」

「それでも、まだ足りないんだし」

軽い口調のまま、続ける。

「一度、悪魔界に戻って――」

「任務、引き受けてきてもいいんじゃない?」


沈黙。


「任務外行動しながらでもできるやつ、あるでしょ?」


その提案は、あまりにも自然で。

――普通の話みたいに聞こえた。


「そうじゃないと……あなた、やばいんでしょ」

ラエルが、淡々と言った。


「うん」

セラは、少しだけ俯く。


間。


「……やっぱり」

小さく息を吐く。

「任務、引き受けてくる」

「もう少しなんだから」

その言い方は、自分に言い聞かせるみたいで。


ラエルが、続ける。

「そうしたら、あなた解放なんでしょ」


「……ええ」


「なら、早く戻りなさいよ」


その声は、優しいのに――

逃げ道は、なかった。


ラエルが、静かに言った。

「セラは……やらないと、もっと必要になるのよ」

少しだけ、間。

「だから……仕方ないの」

視線を、わずかに逸らす。

「少しでも早く、終わらせないと」

声が、ほんの少しだけ低くなる。

「そうじゃないと……負担が大きすぎるわ」


沈黙。


「……本当は」

ラエルが、わずかに眉を寄せる。

「やめてほしいの」


一拍。


「でも……道がないのよ」


「私が……少しでもできるなら、いいのだけど」

ラエルが、小さく言った。


間。


「……何もできなくて、ごめんね」


視線を、わずかに落とす。


「私は……あなたの邪魔もしないといけないし……」


言葉が、少しだけ途切れる。


「そうじゃないと……駄目なのよね」


「すぐに帰ってこられるわ」

ラエルが、静かに言った。


「だから、行ってきなさい」


「……うん」


少しだけ、間。


俺には、何もできなかった。


ただ――

離れるのは、何故か少し寂しかった。


「あのさ」

「早く戻ってこいよ」

軽く言ったつもりだった。


「どうせまた、一緒に住むんだろ」


沈黙。


セラが、ほんの少しだけ笑う。

「……そうね」


その返事は、軽いのに――

どこかだけが、噛み合っていなかった。

第13話まで読んでいただき、ありがとうございます。


今回は、少し落ち着いた会話の回でしたが、

中身はあまり落ち着いていない話だったと思います。


距離の取り方、関係の形、任務の続き。

それぞれが少しずつズレたまま進んでいる状態です。


一見すると普通に戻っているようで、

どこかだけが戻っていない――

そんな違和感を感じてもらえていたら嬉しいです。


セラの任務も、まだ終わっていません。

むしろここからが本番に近いかもしれません。


引き続き、水曜・日曜で更新予定です。

次回もよろしくお願いします。

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