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破滅悪魔セラさん、なぜか俺に懐いてます。  作者: 桐原悠真
第2章 切断と執着

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第11話 切ってください

「俺、一度……まっさらにしたほうがいいのかな」


「なあ、青斗」

「俺、わけがわからないんだよ」


少しだけ、笑う。


「これが正しいことなのかも、って思うときもある」


「でも……」

小さく、息を吐く。

「好きって、なんだ?」


沈黙。


紅希は、少しだけ目を細めた。


「……でもさ」


言いかけて、迷う。


「何か、お前のことは」


一瞬だけ、言葉を探して――


「……少しだけ、あたたかい気がする」

ぽつりと落ちる。


「一緒にいると」

「……一人じゃない、って思える」

そのまま、視線を落とす。


気づいたときには、

涙が、頬を伝っていた。


(……それは、“好き”じゃないのか)


「女の子にはさ……そういうの、ないんだよな」


少しだけ、間。


「なんていうか……当たり前っていうか」


視線を落とす。


「……たまに思うんだよ」

「俺のこと、利用してるだけなんじゃないかって」

苦笑する。


「まあ、一緒にいれば」

「それなりに、いいことはあるし」

肩をすくめる。


「だから……お互い様なのかもしれないけど」

小さく、息を吐いた。


「……だから、わからないんだよな」


「俺、初めてなんだ」

少しだけ、間。

「普通に接してもらったの」


視線を落とす。


「こうやって、飲んだりするのも」


小さく笑う。


「……多分さ」

「俺といると、青斗は損するだろ」


「破滅ポイントの件だって」

「関わらないほうがいいのに」


少しだけ、言葉が途切れる。


「それでも、来てくれたし」


沈黙。


「……俺の周りには、多分いないんだよ」

「そういうやつ」


ぽつりと落ちる。


「……だから、怖いんだよな」


「……俺さ」


少しだけ、言葉を探す。


「もっとおかしくなって」

「青斗と、いられなくなるのは」


そこで、少しだけ止まる。


「初めて……怖いって思った」


沈黙。


「もし、全部切ったら」

「……何も残らなくなる気がしてさ」

視線を落とす。


「なくなって、そのまま――いなくなるんじゃないかって」


「なくならないだろう」

青斗が、短く返す。


「……そうか?」

紅希は、少しだけ笑った。


「破滅ポイントの件もあるし」

「どうなるか、わからないだろ」


小さく、息を吐く。


「……俺はさ」

青斗が、静かに言った。

「こういうの」

「嫌じゃない」


「あまり、深く考えなくていいんじゃないか」

少しだけ間を置いて、続ける。

「全部切っても……まあ、何とかなる気もするし」


視線を逸らす。


「……いや」

小さく首を振る。

「それは、俺には何とも言えないけどな」


少しだけ考えてから、

「でもさ」

「別に……紅希のことは、友達だし」

「……だから、来たんだろ」


「それにさ」

「紅希が、俺のこと友達だって言い出したんだろ?」


少しだけ、間。


「なら……友達だ」


視線を逸らす。


「最初に言ったけど」

「俺、友達なんていないようなもんだし」

小さく息を吐く。

「……だから」

「いなくなるのは、ちょっと困る」


沈黙。


「だからさ」

少しだけ言い淀んでから、

「……耐えろ、とかは言わないけど」

「自分で、おかしくならないって思ってれば」

「まあ、何とかなるんじゃないか」


最後に、小さく付け足す。

「……多分な」


扉が開いた。


セラが、静かに入ってくる。


「……ねえ」

視線は、紅希に向けられていた。

「そろそろ、覚悟決まったかしら」


沈黙。


「私……切ろうと思うんだけど」

その言葉は、あまりにもあっさりしていた。


「紅希は、大丈夫なのかしら?」

セラが、横目で青斗を見る。


青斗は、すぐには答えなかった。


その代わりに――


「……紅希」

ラエルが、ゆっくり口を開く。

「これから、あなたは“切られる”わ」


一拍。


逃げ場を与えない、声音だった。


「でも、安心して」

わずかに、声が柔らぐ。

「私は天使だから」

「あなたのサポートはするつもりよ」


「このままだと、壊れ方が悪いのよ」


「壊れ方が悪いって……?」

青斗が、低く返す。


セラは、少しだけ視線を落とした。

「……ええ」

「かなり、深刻よ」


沈黙。


「でも――」

わずかに間を置く。

「彼にとっては、それがいいのかもしれない」


ラエルが続ける。

「……だから、私は止めない」

「止める理由がないのよ」


「あのさ……」

青斗が、少しだけ言いづらそうに口を開く。

「俺との関係も、切れるのか?」


セラは、わずかに首を振った。

「……そこは、切れないわ」

「女の子を切るだけだから」


「そうか」

青斗は、短く答えた。


「紅希は……大丈夫かな」

青斗が、ぽつりと漏らす。


ラエルは、小さく息を吐いた。

「だから、私がサポートするって言ってるでしょう」


少しだけ間。


「……あの子、悪い人じゃないの」

視線を、紅希の方へ向ける。


「意外と、優しいわよ」

そのまま、静かに続ける。

「見ていれば、わかるわ」


紅希が、ゆっくり口を開いた。


「……セラちゃん」


一瞬だけ、言葉を選ぶ。


「俺を、切ってください」


沈黙。


わずかに、笑う。


「……大丈夫だから」


少しだけ間。


「……これで、いいんだよな」

第11話まで読んでいただき、ありがとうございます。


今回は、紅希が自分で選んだ回になりました。

ただ、その選択が本当に正しいのかは――まだわかりません。


少しずつですが、彼の中にあるものと、ないものが見えてきたと思います。

ここから先は、その“ズレ”がどう動いていくのか、という流れになります。


更新については、引き続き水曜・日曜に本編を公開予定です。

日曜は外伝も入れていく予定なので、本編とは違った視点も楽しんでいただけたら嬉しいです。


次回からは、少し空気が変わります。

引き続き、よろしくお願いします。

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