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第1章 色トリドリノ世界

※本作の世界観・能力設定はこちら

https://note.com/yoro4649 (note用)

この世界には、「色」がある。


それは絵具でも光でもない。

人の在り方に宿り、意思に応じて形を変える――色彩光化現象と呼ばれる力だ。


生まれながらに色を持つ者。

訓練によって色を扱えるようになった者。

そして、どの色にも属さない者。


色彩は、人を守り、同時に人を壊した。


国家はこの力を管理するため、ひとつの組織を作った。

色彩機関。

その最奥には、かつて“最大最強”と呼ばれた四人がいた。


――四季彩威しきさい


無色でありながら、無色の枠に収まらない存在。

一人で国家に匹敵するとさえ言われた、規格外の戦力。


だが、今その四季は完全ではない。


彼らの中心に立っていた男――

最優と称されたリーダーは、すでにこの世にいない。


名を凍傷(トウショウ)という。


3ヶ月前、クリアカラー『透明』と呼ばれる存在との交戦の末、彼は死亡した。


その事実は、ごく限られた者しか知らない。

記録は封じられ、死因は書き換えられた。


世界は、何事もなかったかのように回り続けている。


「……終わったな」


夕暮れに沈む街の端。

炎の残り香が漂う瓦礫の前で、炎夏が低く呟いた。


「えー? もう終わり? 相変わらず消化不良なんだけど」


黒いパーカーの少女――秋夜は、欠伸を噛み殺しながら歩き出す。


「被害報告、以上です。市民への二次被害はありません」


白の女、春塵が淡々と通信を切った。


三人は、揃っていた。


――揃っているはずだった。


誰も口にしない。

だが、三人とも分かっている。


本来なら、ここにもう一人いた。


刀を携え、全員の前に立ち、

「帰るぞ」と言っていた男が。


「……戻りますか」


春塵の言葉に、炎夏は短く頷く。


「帰ろうぜ。秋夜」


「んー……うん」


その返事は、いつもより少し遅れた。


四季彩威は、まだ世界を守っている。

だが、それは完成された形ではない。


欠けたまま。

埋まることのない空白を抱えたまま。


この世界は今日も、色とりどりだ。


その裏側で、

終わらなかったものだけが、静かに続いている。


ここまで読んでくださってありがとうございます。

次話からは『凍傷』がいなくなった『原因』と『事件』について物語が進みます。

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