第1章 色トリドリノ世界
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この世界には、「色」がある。
それは絵具でも光でもない。
人の在り方に宿り、意思に応じて形を変える――色彩光化現象と呼ばれる力だ。
生まれながらに色を持つ者。
訓練によって色を扱えるようになった者。
そして、どの色にも属さない者。
色彩は、人を守り、同時に人を壊した。
国家はこの力を管理するため、ひとつの組織を作った。
色彩機関。
その最奥には、かつて“最大最強”と呼ばれた四人がいた。
――四季彩威。
無色でありながら、無色の枠に収まらない存在。
一人で国家に匹敵するとさえ言われた、規格外の戦力。
だが、今その四季は完全ではない。
彼らの中心に立っていた男――
最優と称されたリーダーは、すでにこの世にいない。
名を凍傷という。
3ヶ月前、クリアカラー『透明』と呼ばれる存在との交戦の末、彼は死亡した。
その事実は、ごく限られた者しか知らない。
記録は封じられ、死因は書き換えられた。
世界は、何事もなかったかのように回り続けている。
「……終わったな」
夕暮れに沈む街の端。
炎の残り香が漂う瓦礫の前で、炎夏が低く呟いた。
「えー? もう終わり? 相変わらず消化不良なんだけど」
黒いパーカーの少女――秋夜は、欠伸を噛み殺しながら歩き出す。
「被害報告、以上です。市民への二次被害はありません」
白の女、春塵が淡々と通信を切った。
三人は、揃っていた。
――揃っているはずだった。
誰も口にしない。
だが、三人とも分かっている。
本来なら、ここにもう一人いた。
刀を携え、全員の前に立ち、
「帰るぞ」と言っていた男が。
「……戻りますか」
春塵の言葉に、炎夏は短く頷く。
「帰ろうぜ。秋夜」
「んー……うん」
その返事は、いつもより少し遅れた。
四季彩威は、まだ世界を守っている。
だが、それは完成された形ではない。
欠けたまま。
埋まることのない空白を抱えたまま。
この世界は今日も、色とりどりだ。
その裏側で、
終わらなかったものだけが、静かに続いている。
ここまで読んでくださってありがとうございます。
次話からは『凍傷』がいなくなった『原因』と『事件』について物語が進みます。




