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婚約破棄する期間は、もう既に締め切りました!  作者: 無乃海
【前半】 乙女ゲームのフラグを折りたい…編
30/66

第25話 プチ旅行へ…女子会旅

 今回も前半までは、ダブル主人公の麻衣沙視点となります。

後半からは漸く、ルルが戻って参ります。

 あれから本当に岬さんは、毎日のように…おはようメールとおやすみメールを、送信されて来られます。岬さんは意外と、マメなお人でしたのね…。わたくしは、遠い目を…しておりました。…いえ、今までの岬さんに、そのような甘い要素が見つかりませんでしたので、わたくし…すっかりと、油断しておりましたのよ。ルルではないですけれど、わたくしも…現実逃避を、したくなりましたわね…。


私事で毎日メールされるのを、許可は致しましたけれど…。1日に2回ですのよ、2回!…1回ではなくて。絶対に…多いですわ…。あの日、おやすみメールを返しましたことで、何か…誤解されたのかしら?…いいえ、それは…NOですわよね…。明らかに、()()()()()()よね…。


樹さんが腹黒なタイプだとは、理解しておりましたけれども、岬さんも案外と…腹黒な部分が、ございましたのね…。わたくしは、すっかり…騙されておりましたのね…。ふう…。


そう言えば……乙女ゲームでの設定を、ふと思い出しましたわ。ゲームでの樹さんは、腹黒タイプではございません。ヒロインのハッピーエンドでの瑠々華への仕打ちは、ヒロインが精神的に受けたことへの復讐であり、唯一の腹黒い要素でしたわね。選択するルートに依りましては、ヒロインを苛め抜く瑠々華でしたので、復讐の内容も異なってはおりますが、樹さんが腹黒っぽい要素は、なかったですわ…。ルルは…ご納得されておられませんが。


それに対して、問題は…ゲームでの岬さんですね。彼は…元々は、真面目で純粋な性格でしたのに、ルート次第では…最も腹黒くなるキャラ、でしたわね。…ああ。そうでしたわ。完全に…その設定を、忘れておりましたわね。迂闊…でした。


あれだけ乙女ゲームを気にして置きながらも、攻略対象の人物を警戒もしておきながらも、ゲームの人物設定は…見逃しておりましたのよ。深く考えるべきでしたのに…。何故、思い出そうとしませんでしたの?…自分のことながらも、嫌になりますわ…。お嬢様でございませんでしたら、ベットでゴロゴロしたいぐらい…ですのよ、本当に。わたくし、ゲームの麻衣沙に似せておりますけれども、本当のわたくしは、ゲームほど冷静な麻衣沙では…ございませんのよ。あの時、岬さんが仰っておられた通り、わたくしは…案外と顔に出てしまうタイプ、ですのよ。


きっと…あの時に岬さんには、わたくしの本性を見破られてしまったのでしょう。やはり、彼の前で号泣したのは、遣らかしましたわね…。…ああ、時間を…巻き戻したい…。後悔はしない主義でしたけれども、こればかりは…後悔しておりますわよ。これからも、岬さんの()()()()()()()()()()()で、怖いです…。


今は夏季休暇中ですから、岬さんとも頻繁にはお会いしませんし、今年は岬さんも何かとお忙しいご様子ですし、実は…先日は、夏季休暇に入ってからは、初めてお会いした次第でしたのよ。…ああ、それなのに…。みっともないところを…お見せしたばかりではなく、弱みを握られてしまったような…。わたくし…もう、岬さんに顔を見せられません…。


…あっ!…岬さんに、わたくし専属の運転手の携帯電話番号を、どうやってお知りになられたのか、聞きそびれてしまいました。今度お会いした時に、問い質さなければいけませんわね。…ああ、でも…お会いしたくない…。それならばメールで問い合わせようと致しまして、直ぐに我に返りましたわ。直接会って教えよう、とか言われましたら、結局会うことになりますもの。…危ない、危ない……。


ふと疑問に思いましたけれども、そう言いましたら、岬さんは普段は眼鏡を掛けておられません。乙女ゲームでは、日常から掛けるほどの近眼でしたのに。然も…ダサいことこの上の無い、黒縁眼鏡でしたわ。現実の彼は、運転時と勉強時以外には眼鏡を掛けられませんし、とてもお洒落なブランド物の眼鏡なんですのよ。黒縁ではなく、銀縁の高額な眼鏡ですわ。それが、とてもお似合いなのです。眼鏡フェチには、堪らなく魅力的な…。…っと、これは…ルルにも誰にも、内緒でしてよ…。わたくしが、眼鏡フェチなどとは。


乙女ゲームでは他に、眼鏡キャラはおりませんでしたので、前世では…実はわたくしは、岬さんが一押しでしたのよ。ですが、記憶が思い出せない振りをしまして、ルルにさえ…申し上げてはおりません。ええ、決して…。生涯…お話するつもりは、ございませんのよ。岬さんが、()()()()()()()でした…ことは。






    ****************************






 今日は泊りがけで、3人で初のプチお泊り旅行です。いやあ、旅行の日にちは、麻衣沙達に勝手に決められちゃいましたけれど、私の場合は別に何時でも可能なのですわ。麻衣沙はお稽古の日付が決まっておりますが、私のお稽古は割と自由なんですよねえ。いつ出向いても良いと、講師達からもお墨付きをもらって、おりますもの。自由気ままなんです、私って。お嬢様らしい生活が過ぎると、時折…息苦しくなっちゃうんですよ…。だから、特別に許可をもらっているんです。


私、前世は完全に一般市民なので、()()()()()()()()んですよね…。このまま樹さんと婚約して結婚となったら、私…退屈過ぎて窮屈過ぎて、死んじゃいますって。そのぐらい、私はお嬢様の生活が、合わないんですよ~。勿論、パーティなどの場では、完璧なご令嬢を演じてはおりますよ。これでも私、大企業の社長令嬢なんですからね。私が失敗したら、家族も恥を掻きますのよ。


それに…パーティですと、樹さんのパートナーとして出席致しますから、彼にも恥を掻かせることに、なっちゃいますわね。今は…樹さんがフォローしてくださっておりますが、(いず)れは…他のお人にフォローされる訳ですし、これでも頑張って演じておりますのよ。


樹さんとの婚約が白紙になりましても、私の社長令嬢の地位は、没落しない限りは変わりませんので、現世で一般市民になるのは、絶対に無理でしょう。だからと言いまして、没落には…絶対になりたくありません。家族まで巻き込みたくはないのです。()()()()()()()()、喜んで没落して見せましょう。…って、そんなことを許すような家族では、ありませんのよね…。私…これでも、家族から溺愛されておりますし…。没落自体が無理そうです。


せめて…身軽なお人と、結婚したいなあ。パーティも最低限しか出席出来なくて、一応は家柄だけは良い…というような、庶民感覚に近いお金持ちで。贅沢は出来なくなるけれど、麻衣沙達とは住む世界が違って、もう…今までみたいなお付き合いは、出来なくなるかもしれないけれど、それでも…小ぢんまりした家とか持っている、お金持ちが良いなあ~。もう、ほぼ庶民みたいな。憧れるなあ…。


麻衣沙にお話した時には、苦笑されてしまったけれど、エリちゃんは「それでは、私の家にでも…住んでみます?」と、言ってくださって…嬉しかったですわねえ。勿論、冗談だとは分かっておりますわよ。本気に…したかったけれど…。


お話が、脱線してしまいましたわ。今は我が家の車で乗り合いまして、3人でお喋りしながら旅行を楽しんでおりますわ。生まれて初めて、お友達とのプチ旅行に、テンションが上がっておりますのよ。いつもは冷静な麻衣沙まで、浮かれておいでですものね。…ふふ。彼女が、こうも燥いでおられるのを拝見したのは、()()()()()()ないでしょうか?


きっと私が、面倒ごとを掛け続けた結果、麻衣沙は気を抜けない日々を、送っておられたのでしょう。悪いことを…致しましたわね……。今回の旅行では、思い切り羽を伸ばしてくださいませね。


エリちゃんも楽しそうですね。今回の旅行は車であれば、日帰りでも十分に行ける範囲ではあるのですが、今まであまり旅行をしたことがないと言う、エリちゃんの為にと、ゆっくり出来るように計画を立てまして、お泊りの旅行としたのですわ。プチ旅行と名付けましたのよ、私が。


それに、最後の悪役令嬢さんは、もう既に転生者と判明しておりますから、気も楽なのですわ。その悪役令嬢さんの方も、「同じ転生者と会うのは初めてで、楽しみです。」と仰っておられたそうですし、私達も気が合いそうで、とても楽しみにしておりますのよ。悪役令嬢さんとお会いするのは、明日なんですけれど、今から楽しみで楽しみで、仕方ありませんのよ。


今日は宿に付きましたら、付近の街中の観光を致しまして、宿の温泉に浸かったりとゆっくり致しますのよ。明日は1日、悪役令嬢さんと会う為に開けてありますから、これまた…ゆっくりとお話出来ますわ。そして、もう1晩お泊り致しまして、帰宅する予定なのですわ。つまり、2泊3日しますのよ。旅行中は、樹さん達のことを忘れて、賑やかな女子会を開催致しましてよ!……お~ほほほほっ。


漸く、宿に着きました。わたくし達のお部屋は、大きなお部屋が1つあり、続き部屋となっているお部屋でしたわ。お部屋の手配は、麻衣沙のお家の使用人にお任せ致しましたから、到着するまで分かりませんでしたのよ。…ふむふむ。奮発しただけはありますわねえ。ここはケチらず、令嬢という地位を使いまして、眺めの良いお部屋を押さえましたのよ。まあ、中々のお部屋ですわね。


エリちゃんは目を真ん丸に開いて、驚いておられます。…ふふふっ。実は…私も、内心では驚いていたりして…。顔には…出しませんけれど…ね。頭の中では早速、宿泊料金が…気になっておりますが、必死で頭の隅に追いやって…。気にしない、気にしない…。そう呪文を、心の中で唱えながら。

 前半は麻衣沙視点で、後半はルル視点です。


麻衣沙の押しが…岬さんであることが、判明しました。押しの岬さんの猛攻に、麻衣沙がいつまで…耐えられるのでしょうね…。


ルルは、相変わらず…でしたね。今回旅行としてお出かけするのも、羽を伸ばそうと思っていますが…。

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