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婚約破棄する期間は、もう既に締め切りました!  作者: 無乃海
【前半】 乙女ゲームのフラグを折りたい…編
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第8話 イベント② 合宿

 今回は、ゲームイベントがメインとなった内容、となっています。


いつも通り瑠々華視点です。

 一先(ひとま)ず、攻略対象者達との出逢いイベントは、終了した模様です。次なるイベントは…何だっけ?……あっ。合宿イベントかなあ。…という訳で、本日より1年生のみ、大学の合宿という名のお泊まり旅行です。お泊まりする宿は、一応は大学の所有となりますので、大学に忍び込むのがお上手なヒロインとは言え、そう簡単には…宿泊先には入れませんのよ。ですが、よく考えましたら、1年生の攻略対象者は、この大学には入学されていないようなのです。ヒロインが無理してまで、来る価値は…ないのです……。


 「(いつき)さん!(みさき)さんも!お久しぶりです!」


…と思っておりました私は、浅はかでしたわ…。合宿先の見学地に着きましたら、何と…3年生が来ておられましたのよ。…Why(なぜ)?……どうして…此処に、樹さん達3年生が?……確か…3年生は、別の日時で別の場所では…なかったかしら?

まさか…と思いますけれど、日時()場所を変更してまでも、ヒロインを…求めておられますしたの?


 「樹さんと岬さんも、大学の合宿なんですかあ?…ここで会えるなんて、偶然ですね?」


これは…もしかしますと、期待出来ますかも。何も…例のケバいヒロインを期待しなくとも、きっとNewヒロインさんがご登場してくださることでしょう。何と!

ヒロインが樹さん達を、攻略するシーンが拝めますのね!…ああ。夢にまで見たシーンが…。…と期待に胸が膨らんでありましたわ、数時間前までは。今の私は、目の前の光景に…少々、ささくれ立ったような…気分なのですわ。あろうことか、あの例のヒロインが…態々、此処までやって来ていたのですもの。Newヒロインさんに()()()()()()()()()()()()()()()、と言って差し上げたいぐらいですわね。


 「実は…私も合宿で、ここに来ているんですよ。」


元々は、私達1年生がグループ行動になりました時に、私と麻衣沙(まいさ)と他に比較的仲の良い女子友とで、グループになっておりまして、そのグループでの行動をしようとしていたところに、樹さん・岬さん達数人のグループが来られまして、一緒に行動をしようということになりましたのよ。…何故、3年生がおられるの?


 「偶然ですね?…もしかして、お2人とは…縁があるのかも~。きゃっ!」


そういう疑問を持った私と麻衣沙は、断固反対致しましたけれど、同じグループの女子の皆さんは大喜びでして、私達2人の意見は…却下されてしまいましたのよ。

皆さん、「またまた~。ご遠慮なさらないでくださいませ、お2人とも。婚約者様との行動には、わたくし達も邪魔致しませんから、ごゆっくり~。」と言う感じでスルーされてしまいましたわ…。皆さん、勘違いも甚だしいです~。…悲しい。


 「思わず…本当のことを言っちゃった…。恥ずかしい~。…きゃっ!」


流石に声高に「もうすぐ、婚約破棄される間柄なんです。」とか、言える訳がありませんもの。婚約者と仲が良いと誤解されては、苦笑するほか…ありませんわ。

麻衣沙と岬さんとは見た目だけではなく、本心からある程度…お互いに割り切ってみえるから、誤解されても大丈夫のようですけれども、私と樹さんでは…色々と、私に…ダメージが来そうです。樹さんはどなたにでも優しい人ですもの。

そんな樹さんの私に対しての扱いに、すっかり慣れてしまった私は、他の誰かと恋をしようとしても、樹さんの態度や優しさと比べてしまいそうで、怖い…ですわ。私は…樹さんが居なくなられたら、()()()()()()()()()()ですねえ…。


 「お2人にお会い出来て、本当に私、嬉しい!」


あまりにも、彼の優しさが心地良過ぎまして、何度か彼に本気で恋しそうになりましたわ。いやいや、これから婚約破棄される人に恋をしては、駄目でしょう。

…とその度に、自分で自分に活を入れておりますわよ。どうせならば…もっと酷いお人だったら、と思うこともありますけれど、それはそれで婚約している自分が惨めになりそうですし、無いもの強請りしたって、仕方がありませんものね…。


 「実は…私、迷子になってしまったんです。だから…良かったら、案内してください!きゃっ!言っちゃった!」

 「「「「………。」」」」


…いやあ、つい、考え事をしていましたわ。今まで…私は、他のことを考えてやり過ごそうと、目の前の出来事を夢のことにしたかったのですが、失敗しましたわ。

目の前のケバいヒロインは、消えてくれませんでした。それどころか、とんでもなく…ウザい光景が、繰り広げられていましたの…。先程までの会話は、全てヒロインの1人芝居なのでして。目の前では恥じらう演技中のヒロインが、お顔を赤く染めたりしてクネクネと身体を捩らせては、「きゃっ!」と甲高い甘い声で、恥じらうように両手を添えておられます。その動作を言葉を話す度に、繰り返しされておられまして、その間はこの場の全員が…無言でした…。


目の前のヒロインは、鋼の心臓をお持ちのようね?…それとも、真のヒロインは、()()()()()()()()()()()…いけないのでしょうか?…私、ヒロインでなくて…良かったわ…。






    ****************************






 「君は…馬鹿なのか?…先日、君の伯父さんが引き取りに来られ、君が予備校に通っていると判明した。…予備校の今時期に、合宿がある訳がないんだよ。君は…僕達の後を追って来たんだよね?…本当に…何がしたいんだ?」

 「…えっ?…え~と、本当に合宿があるんです。信じてください、樹さん!」


…うわあ~。今日の樹さん、容赦がありませんわねえ。これって間違いなく100%、目の前のヒロインの所為ですわねえ…。ケバくてお頭が弱いだけではなく、信じられないくらい空気を読めない、ポンコツヒロインなんですね…。私の周りの空気だけが、異常に寒くなって来ておりましてよ。ポンコツヒロインが話す度に、空気の温度が下がって行きます…。貴方が真のヒロインだと言うならば、いい加減に…周りの空気を読んでくださいな…。貴方の薄ら寒い演技と、樹さんと岬さんの凍るような視線(※ヒロインに向けている)に、私達皆が…凍え死にそうなんですよ…。寒過ぎて…死ねますわ!!


 「樹の言う通り、この時期の予備校が、合宿する筈がない。君の伯父さんにも、事前に確認を取っているからね、間違いではない。…嘘を吐いてまで、俺達を追いかけて来て…ストーカーみたいだな…。俺達と友達にでもなりたい、とでも思っているのか?…そういう下心のある目的ならば、答えはNOだな。俺も樹も、君と戯れる気は…毛頭ない。」


岬さんも今回は、容赦がありませんわね。彼女が嘘を吐いていることぐらい、私でも分かりますわよ。予備校に合宿がないとは言いませんけれど、大学に1度失敗した人が入る為の塾なのですから、合宿があっても勉強がメインでしょうし、観光を楽しむように歩いている彼女は、明らかに…怪しいです。それに、予備校の生徒達と大勢で来た…という雰囲気もなく、合宿の勉強で休憩しに来た…という雰囲気にも、見えません。


彼女は性懲りもなく、また予備校を抜け出して、私達の大学の合宿に合流したのでしょう…。乙女ゲームでは、合宿場所は大学の保養所となっており、調べれば分かりますものね…。1年生の攻略対象は入学すらしていなくて、本来ならば…攻略対象は、誰も…おられなかった筈ですのよ。ポンコツヒロインは…どこまで理解しておられるのやら…。3年生は本来…来ない筈でしたのに。運が良かったですね…。


因みに攻略対象である教授は、もうすぐ結婚されるそうでして、その準備で忙しいと、今回の引率には来られておりません。つまりは、3年生が来られなければ、()()()()()()()()()()状態でしたのよ。本当に…。運が宜しいようで。


岬さんは、ヒロインとはお友達にも慣れないと、ハッキリと宣言されましたわね。

彼女が恋愛対象として見ている、彼女に恋愛として狙われているのは、お2人共に気が付かれているでしょうに。お友達と言う言葉を使われて、迂闊に恋愛の話を振られないように、気が付かないフリをされておられます。流石は…モテ男さんですわねえ。戯れる気はない…という言葉で、()()()()()()()()()()()()()…と、強調して否定されましたのね。


 「えっ?!…そんな……。どうして…そんな冷たいことを…。私…分かったわ!樹さんと岬さんの婚約者が…言わせているのね?…私、分かっているのよ!…婚約者の言いなりにならなくても、良いのよ!」


問題のヒロインは、全く理解しておられませんでした。彼女は、彼らが拒む理由が私達婚約者側にあると、決めつけられましたのよ。ゲーム通りだと、思われているのでしょう。ですが、彼らと友情も何も築いておられない状態で、そういう問題発言をされるなんて、私達婚約者側の立場を貶めたとして、我が家の両親も麻衣沙のご両親も、流石に黙っておられませんわよ。それに彼らも、貴方には好感を持たれておられない状態ですので、()()()()()()()()()()を築いております、私達を侮辱することは、いくらお優しい樹さん達でも、怒って同然ですわよね。


実際に先程より、周りの空気が…2~3度ほど、下がった気が致します。主に、樹さんと岬さんからですわ。…ああ。やっぱり…更に怒りモードに、なられておられますわよね…。


 「俺達は、君の名前も知らないというのに、何処で聞き知ったのか知らないが、俺達の下の名前を…気安く、呼ばないでくれないかな?」

 「そんな……。私、名前…名乗ったのに…。私、『和田(わだ) 鮎莉(あゆり)』です。私のことも、下の名で呼んでくれていいですよ!」

 「悪いが、君の名前を…今後も覚える気はない。さっさと、この場から消えてくれ。今後、俺達の婚約者の悪口を言えば、その時には…容赦しない。」

 ちょっといつもと形式を変え、瑠々華が考え込んでいる合間・合間に、ヒロインのセリフを入れてみました。瑠々華が現実逃避していた、という体で。


このヒロイン…暴走気味でして、筆者も扱いきれません。今後、どうなるかは現時点で全く読めません…。

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