02:プロローグ
ーーー眩しい。
そう感じて、目を開けた。
……あれ?もう駄目だと思ったけどなんとか生きながらえたのか?
まあ、死んだことのない人間の死の予感なんてものはアテにならないのかもしれない。
でもよかった。まだ両親には伝えたいことがたくさんある。それにまだまだ思い出だって作れるはずだ。
なのだが、ここで疑問が2つ。
まずここはどこなんだろう?
病院にいるはずなのに、いつのまにか石造りの部屋にいるようだ。
そして、あと1つは目の前にいる見たこともない若い男女だ。
百歩譲って見たことのない人がいるのはわかるが、服装がわけがわからない。
男性の方は服の上から金属の装備らしき物を着ている。剣も持っていた。本物?
そして女性の方は白いワンピースにネックレスをしつけた簡素な姿だ。
彼女の服装はまだ理解できるが、男性はどうなんだろう。
え、今って病院の外じゃこういうファンタジーな感じの服装が流行ってるの?でも両親の服装はこんな感じじゃなかったはずだ。
さらに言えば、女性のほうに至っては髪と瞳が真っ白で、神秘的な感じさえする。
男性の方は奇抜なファッションとは打って変わって黒髪黒目だった。ただ、それでもファンタジーな服装がしっくりきていた。日本人離れした顔をしているからかもしれない。
…もしかするとコスプレ大会の会場にでも連れてこられたんだろうか……。
ひょっとして病状がまた悪化したのか?いや、でも他は普通に見えてるし…
なんで石造の建物の中にいるのかわからないけど……。
実は本当はあのときすでに俺は死んでいて、ありがちなライトノベルみたいに異世界転生したとか?
ファンタジー肯定派の俺からしてみるとそのほうがしっくりくる。
だってこの人たち何言ってるかわからんもん。
病状が悪化して目だけじゃなく耳までやばいことになってるっていうのはさすがに信じたくないものである。
そしてそのとき、視界に腕が映る。
小さい…赤ちゃんの腕だ…
おそらく俺の腕だろう。この時点でもう転生したことに半ば確信を持っていると、俺を見つめる女性はなにか呟いた。
そうすると俺の体は光り、心地よい温度が身体を包む。
これは……これはもしかしなくても…!!
魔法!!!!!
ファンタジーだ!!!!!
この瞬間、俺が異世界に転生したことは確実になったと言える。
ワクワクが止まらない。こんな物語の中のような世界に生まれることができるなんて!
生まれ変わって父さんと母さんの子供になれなかったことは死ぬほど残念だけど、これはチャンスだと考えるべきだ。
前世でできなかった分、父さんと母さんが俺にしてほしかったことを、俺は叶えたい。天国があるかどうかはわからないけれど、異世界転生があるんだし、ないとは言い切れない。それなら、もしもう一度天国であの人達に会うことができたなら、俺は異世界で元気にやったよって伝えたい。父さんと母さんの子どもで幸せだったよって何度でも伝えたい。
うん、そうしよう。俺はこの世界で生きる!強く生きるぞ!!
そう決意し、これからの景気付けに一発泣き声を上げようとしたそのときーーーーー
「おぎゃぁぁぁぁあああああ!!」
俺が泣く前に、俺は泣き声を上げた。




