第10章:買い手と地獄の初日
# 第10章:買い手と地獄の初日
「五十アウル!」
辺境市場の悪臭漂う群衆の上で、競売人の突き抜けるような喚き声が、喧騒と罵声を踏みつぶすように響き渡った。
「純血のエルフのガキに対する最低入札価格だ! 皆さん、このマナの『原初』を見ろ! 生まれながらの魔力、そしてこの純血の血筋! 五十アウル!」
エリアンは、鎖の激しい引き回しに意識を現実に引き戻された。木格子の檻が揺れ動き、その衝撃が熱を持った頭蓋骨に重く響く。抑制の鉄の足枷が手首の乾いた皮膚に食い込み、マナの経絡を内側から焼き焦がし、骨の髄まで引き裂かれるような痙攣性の吐き気を伴う激痛を放っていた。
彼はボロ布のように引きずり出され、見物客の卑俗な視線が群がる木製の舞台へと立たされた。8歳の少年はかろうじて足で立っているだけだった――戦闘で引き裂かれた『原初』は激痛の炎に包まれ、折れた鼻からは黒ずんだドロドロとした血の塊が、乾いた泥だらけのシャツへとポタポタと落ちていた。
「六十!」
3列目にいた肥えた香辛料商人が怒鳴った。
「八十!」
首に鎖を巻いた片目の傭兵が競り勝とうとする。
「百アウル!」
群衆の奥底から声が上がった。
競売人が重い木の小槌を振り下ろそうとしたその時、すぐ傍らに止まっていた幌馬車から、背の高い重厚な体格の男が降り立った。男は金色の刺繍と毛皮の襟があしらわれた濃い赤紫色のベルベットのカフタンをまとい、その指には大粒の宝石が嵌められた指輪が光り輝いていた。その身なりからは、冷徹で傲慢な支配者の気配が漂っている。
「百四十アウルだ」
バロン・ドレイヴンは競売人たちを一瞥すらすることなく、冷ややかに吐き捨てた。
「その口を閉じろ。このガキは私が買い取る」
小槌が乾いた音を立てて木製の台座に叩きつけられた。
エリアンは激しい摩擦音を立てながら、舞台から引きずり下ろされた。そして分厚い鉄板で内側が補強された幌馬車へと放り込まれる。馬車は激しく揺れながら轍を駆け抜けていき、エリアンは冷たい床に横たわりながら、埃にまみれた空気を荒く肺へと吸い込んでいた。彼の頭の中に涙も恐怖もなく――ただ重く鈍い耳鳴りと、冷たい真空の空間が広がっていただけだった。
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バロン・ドレイヴンの屋敷は、純白の大理石の柱と手入れの行き届いた美しい庭園で目を引くものだった。しかし、エリアンが連れて行かれたのは華やかな表舞台ではない。
使用人区画にある重いオークの扉の向こうには、地下深くへとまっすぐ伸びる狭い螺旋階段が続いていた。下へ降りるにつれて、湿った空気の匂いは、古びた血、排泄物、錆びた金属、そして焦げた肉のねっとりとした悪臭へと変わっていっていった。
エリアンは、地下の拷問室の中心で、抑制の鉄の鎖に両手首を吊るされた。足のつま先がかろうじて凍てついた石畳の床に触れるか触れないかの高さだった。自分の体重がすべての関節を引き延ばし、手首の冷たい金属が絶えず血管を焼き焦がしている。
拷問室へと、バロン・ドレイヴンがゆっくりと足を踏み入れた。彼はベルベットの手袋を外し、すでに鋼のピンセット、針、メス、ハンマーが綺麗に並べられたオークの机の上に投げ捨てた。その傍らには、上半身裸で、煤と乾燥した血にまみれた背中の曲がった大男――処刑人が立っていた。
「さて、エルフの貴族崩れさんよ」
ドレイヴンは優しげな口調で近づき、エリアンの白銀の髪をきつく掴んだ。
「お前は、まさに私が金を払って手に入れた代物だ――面白い再生能力を持った、上等な肉の塊にすぎん。そのプライドをへし折ってやるよ、小僧。私の靴の泥を舐めるようにしてな」
ドレイヴンは処刑人に顎で合図を送った。
「その『エルフの純血』を剥ぎ取れ。片耳を切り落とせ」
処刑人は薄笑いを浮かべ、短く湾曲した刃渡りのナイフを取り出した。冷たい鋼がエリアンの長い耳に容赦なく押し当てられる。
グチャリという卑俗な軟骨の砕ける音が響き、尖った耳の半分が冷たい石の床へと転がり落ちた。
純血のエルフ特有の、ほとんど気づけないほどの微かな真珠色の光沢を帯びた鮮血が、少年の肩と胸元へと勢いよく飛び散った。エリアンは身体を大きく反らせ、その喉から最初の一撃となる荒々しい叫び声が絞り出された。
「ほら、自分のエルフの誇りを味わいな、このクズが」
処刑人は笑い声を上げながら床から切り落とした耳の欠片を拾い上げ、エリアンの口へと力任せに押し込み、その鼻と顎をねじ伏せた。
エリアンは泣き叫ばなかった。彼は歯を食いしばり、自分の耳の肉片を唾液とドロドロの血ごと混ぜ合わせると、処刑人が手を緩めたその瞬間、血まみれの塊をその顔面へと――ドレイヴンのカフタンにまでかかるように――全力で吐ききった。
「失せろ……このクズ野郎……」
冷たい憎悪を込め、8歳の少年は掠れた声で吐き捨てた。
「この耳長のエルフ野郎が……!」処刑人は顔を拭いながら激昂した。
「前の歯をすべて抜け」
ドレイヴンはシルクのハンカチでカフタンの汚れを拭いながら、冷ややかに命じた。
「そして、息ができないようにしてやれ」
処刑人は重い鋼のペンチを掴み取った。下品な悪態をつきながらエリアンの頭を固定し、口の中に鉄を突っ込むと、歯茎が砕け散る恐ろしい音とともに前歯を根元から無理やり引っこ抜いた。少年の口の中に熱い血が一気に溢れ出す。エリアンはそれに咽せたが、喉から漏れたのは低くかすれたうめき声だけだった。
息をつく暇すら与えず、処刑人は桶の中から油まみれの濡れ雑巾をひっ掴むと、エリアンの顔に覆い被せ、その骨ばった大きな手で彼の喉を力任せに締め上げた。
酸素の供給が完全に断たれた。エリアンの肺が酸欠で引き裂かれそうになる。雑巾から漂うドブ川のような腐った水が鼻腔を満たし、壊れた歯茎から流れ出る血と混ざり合う。視界の端が暗くなり、意識が黒々とした死の淵へと急激に沈んでいく――。
まさに命が尽きかけるその極限の瞬間、処刑人はようやく指の力を緩め、雑巾を引き剥がした。
エリアンは激しく、痙攣するように身悶えしながら、地下室の冷たい空気と自分の血を混じった息を荒く貪り食うように吸い込んだ。
「くたばるのはまだ早いぞ、小僧」
処刑人はニヤリと笑い、冷たい井戸水の入ったバケツを、少年の顔と血まみれの切り落とした耳の断面めがけて容赦なくぶっかけた。
剥き出しの軟骨の断面と引き裂かれた歯茎に冷水が染み入り、その激しいショックでエリアンの体が激しく痙攣した。
「次は指だ」
ドレイヴンが冷淡に告げた。
「爪を剥가せ。そのエルフ特有の意地がどこまで持つか見ものだな」
処刑人は細い平形のペンチを手に取り、エリアンの右手の人差し指をガッチリと固定した。金属の先端が爪の隙間に滑り込む。
> **バリッ。**
耳をつんざくような悲鳴とともに、エリアンは鎖ごと激しく身悶えし、抑制の鉄が手首の肉を骨に至るまで深くえぐり取った。処刑人は容赦なく最初の爪を剥ぎ取った。ピンク色に剥き出しになった生肉の床から、真珠色の鮮血が一気に噴き出し、指先を真っ赤に染め上げる。
「もっとだ!」処刑人は笑い声を上げた。
喉を引き裂くような少年の絶叫が響き渡る中、爪は1本、また1本と剥ぎ取られて手足の指から引き剥がされていった。血が足元と手のひらから絶え間なく流れ落ち、石の床を濡らし、吊るされたエリアンの下に黒くねっとりとした水たまりを作り上げていく。8歳の少年の身体は鎖に縛られたまま震え、その呼吸は引き裂かれたような途切れ途切れの喘ぎとなり、肉体的ショックから熱い涙が勝手に目から溢れ出た。
だが、バロンはそれだけでは満足しなかった。
ドレイヴンは自ら机から、高濃度の錬金術薬「アゴニー(苦痛)」の溶液に浸された長く角ばった針を手に取った。
冷徹な計算づくの動きで、バロンは吊るされた少年の前へと歩み寄り、最初の長い針を親指の剥ぎ取られた爪の床めがけて力任せに突き刺し、骨に沿って深く押し込んだ。
エリアンは鳥が咽び泣くような、甲高い悲鳴を上げて弓なりに反り返った。
ドレイヴンは次の針を、少年の筋肉めがけて次々と打ち込んでいく――肩、太腿、そして脊椎に沿って。金属が何の抵抗もなく生きた肉へと沈んでいく。刺し傷からはゆっくりと黒ずんだ血がにじみ出た。
筋肉の深部とマナの経絡に直接流れ込んだ「アゴニー」の毒が、少年の体内のマナを沸騰させた。細胞の一粒一粒、神経の一本一本が内側から焼き焦がされるような痙攣性の激痛に包まれる。エリアンの身体は絶え間なく震え、細かな痙攣がその関節を打ち鳴らした。
そして、焼きごてによる刻印が始まった。赤々と熱せられたバロン家の紋章の鉄板が、少年の右肩甲骨の皮膚にジュッと嫌な音と煙を上げて焼き付けられた。焦げた肉の臭いが拷問室に充満する。さらにその生々しい火傷の痕、剥ぎ取られた指先、そして血を流す耳の断面めがけて、処刑人は濃い食塩水をたっぷりと浴びせかけた。
地下室の壁が、エリアンの最後となる狂おしい絶叫に激しく震え、やがて少年は完全に意識を失い、ボロ布のように鎖からぐったりと垂れ下がった。
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エリアンが鎖から下ろされたとき、彼はすでに動くことすらできなかった。
彼は通路の最も奥にある薄暗い独房へと引きずり行かれ、不潔で腐敗した藁の上に乱暴に投げ捨てられた。重い鉄の扉がガチャンと閉ざされ、地下牢は完全なる、漆黒の闇に包まれた。
エリアンは凍てついた石の床に横たわっていた。わずかな呼吸のたびに、折れた肋骨が激痛に震える。切り落とした耳は溶けた鉄のように熱く脈打ち、爪のない指先と刺された針の傷口は塩によってえぐられるような灼熱の痛みを放ち、体内の「アゴニー」の毒は今もなお経絡を内側から食い荒らしていた。傷口から流れる真珠色の血が、暗闇の中で微かに光りながら藁へと染み込んでいく。
だが、数時間後に意識が戻ったとき、地獄のような激痛のヴェールの向こう側で、ケイルの冷徹なメンタルフィルターがカチリと作動した。
エリアンはもう叫ばなかった。彼は死んだような、一切の感情を失った虚ろな薄灰色の瞳で闇を見つめていた。彼の精神には、恐怖も自己憐憫も残されていなかった。そこにあったのは、冷徹で乾ききったカウントダウンだけだった――。
> *(一日目……これが最初の1日だ。この匂いを覚えろ。歯茎や爪が砕ける音を覚えろ。あの男の面構えを覚えろ。すべてを刻み込め)*
暗闇に包まれた独房の中で、8歳の少年はボロボロに引き裂かれ血にまみれた拳を固く握り締め、己に誓った――この地獄を何が何でも生き残り、その代償を必ず血の形で払わせてやる、と。




