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ドラゴンマスクより「瑠」  作者: 美憂


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4/11

騒ぎ出す心

「瑠はさ、WEリーグとか行かないの?」

ってさー。律と同様の無神経な質問だよね。

行きたい気持ちはもちろんある。実はあるチームから誘いもある。


正直、迷ってる。

ゴール前で迷ったことなんて1度もない私が。


子どもの頃から兄の背中を追いかけてた。

海外でサッカーをする兄に「置いて行かれた」感覚。

無気力な、それでもサッカーはしたくて、

サッカーさえできればいいって思ってたけど、鈴のせいで自分の中の何かが騒ぎ出してる。

「サッカーが好き」だけで突っ走る、あいつのせいで。

私は、とっくに諦めたはずの夢まで思い出してしまう。


律が好きなのは本当だ。


今、律はうちのチームのために力を尽くしてくれている。

そして、

このチームをWEリーグに参戦させようと基盤を作っている。

私がこのチームから消えたら

自惚れて言えば、律の計画が大きく狂うことは間違いない。

だから、

チームを抜けるのは今じゃないと思ってる。


じゃ、いつなんだ?


言い訳してないか?


年齢は容赦なく選手生命を削っていく。

私、どうしたいんだろ。

怖いのかな。

律や鈴を捨てていくこと、レベルの高い場所でサッカーをすることが。

今までの私だったら、そんな人生は捨てていたんだけどね。


鈴が悪い!

その上、鈴の息子が追い討ちをかけて聞いてきた。


「瑠はさ、WEリーグとか行かないの?」

Jリーガーにこんなこと言われるのが、どんだけ強く背中を押すか、あいつは分かってない。分かってないで言ってんのが、ホント、むかつく。

Jリーガーの息子で、当たり前のようにJリーガーになってる君とは、違う人生を歩んでるんだよ、こっちは!


でも、むかつく理由はもう一つある。


私が、律以上にあいつが気になっているってことだ。

自分の人生にあいつを加えるとややこしいことになるから、あまり考えないようにはしてるんだけど、こんだけ影響力のあるセリフを吐かれると、困る。


結婚して、子ども産んでとか考えてもみなかった。

でも、誰かを好きになるその先には、あってもおかしくないことだ。

今まで、それを省いてのサッカー選手寿命を計算してた。

サッカーだけを並べた人生設計だった。

引退は何歳で、そのあと仕事をして。

それだけで十分だと思っていた。

誰かと生きる未来なんて、計算式の中には一度も入れたことがなかった。

なのに最近は、鈴の家で笑う時間や、律とサッカーの話をしている時間や、あいつの何気ない一言まで勝手に入り込んでくる。

そんな予定外の未来を想像してしまう自分がいる。

そう考えると、

今なのかもしれない。

WEリーグへ行くのも。

私の人生を、自分で選ぶのも。

誰かを好きになるのも。


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