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家事代行先は闇堕ち寸前魔法少女の家でした~貧乏一人暮らしの俺は生活力を買われて内緒の焦れ甘同棲生活を始めることになる~  作者: 水瓶シロン
第五章~信号機魔法少女編~

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第56話 男にはわからない女の牽制ってやつですね!?

 翌日、午後九時半。

 外出の準備を整えた望が家の玄関先でスマホを操作していた。


 夜闇の中眩しく光る画面に映し出されているのは、美玖とのメッセージのやり取り。



――――――――――――――――――――

【昨日】

  『怪奇現象調査の件だけど』

  『うちの魔法少女も協力してくれるって』


『本当ですか!』

『ありがとうございます!』

『二人にも伝えておきますね!』


  『調査って夜だよね?』

  『いつにする?』


『早く解決したいですよね……』

『明日とかどうですか?』

『あ、もちろんお兄さんとそちらの魔法少女さんの都合が大丈夫だったらなんですけど……!』


  『大丈夫』

  『なら明日の夜に』


『ありがとうございます!』

『よろしくお願いします!』


【今日】

『おはようございます!』

『今日夜更かしすることになっちゃうと思うので、その分たっぷり寝ちゃいました……!』


  『おはよ~』

  『そうだよなぁ』

  『中学生で夜遅くなるのキツイよな』

  『なるべく早く解決出来るように頑張ろう』


『はい!』

『ではまた』

『夜になったら連絡しますね!』


  『わかった』


『こんばんわ、お兄さん!』

『これから西野方中学に向かいます!』

――――――――――――――――――――



「『了解』っと……」


 望が美玖からの連絡を確認して一言返信したところで、後ろからポンと優しく肩を叩かれた。振り返ると、既に魔法少女に変身した妃菜が立っていた。


「望くん、準備出来たよ」

「…………」

「の、望くん?」


 振り返った望が口を開けたまま固まってしまったので、妃菜が不思議そうに首を傾げると、望は「くっ……」と悔しそうに声を漏らした。


「変身するとこ見たかったぁ……!」

「え、えぇっ……!? もう何度も見てるよね……?」


 戸惑いの色を浮かべる妃菜に、望は何故か少しキレ口調で言い放つ。


「何度見たとか関係ないんだよっ……!? 普通に毎回見たいから……! 変身バンクってそう言うもんだからっ……!!」

「ご、ゴメンね……?」


 口調に熱を帯びさせているせいか、いつになくグッと顔を近付けてくる望に、妃菜は少しドキッとして頬に朱を差しながら一歩後退った。


「で、でも、変身するときって一瞬服脱げちゃうから……見られるの、ちょっと恥ずかしいんだよね……」

「大丈夫。謎の光が隠してる」

「う、うぅ……大丈夫かどうかを決めるのは私だと思うんだけどなぁ……」


 妃菜が胸の前で両手を合わせてモジモジと指を絡める。そして、右へ左へ泳がせた瞳を気恥ずかしそうに上目で望に向けた。


「まぁ、望くんがそこまで言うなら……えっと、もう一回変身し直した方が良い、かな……?」

「ぜひお願いします――と、いつもなら言ってたところだが……」


 望は仕方なさそうにため息をついて、後ろ頭を掻いた。


「今回は待ち合わせもしてることだし、変身はまた今度じっくり見させてもらうことにする」

「もぉう、恥ずかしいって言ってるのに……」


 望くんのイジワル、と小さくぼやいた妃菜は、魔法少女の超人的な力でいとも容易く望を横抱きに抱え上げた。


「それなら、俺も毎度毎度現地に行くときにこうして抱っこされるのは、正直恥ずかしいんだけどな」


 恥ずかしいし、何より男として女子に抱っこされるのはあまりに格好がつかなくて悲しくなってくる。


「くぅ……こういうとき妖精の御使いなら飛んで魔法少女の移動速度についていけるんだろうなぁ……」

「男の子的には、可愛い女の子と密着出来て役得なんじゃないの?」


 抱え上げられて上を向く望の目と、それを上から覗く妃菜の目がパチリと合う。望はニヒルに笑って視線を逸らした。


「……フッ。否定はしないが、それ以上に失うものがあると言っておこう」


 例えばプライドとか、と心の中で付け加えておく。


「望くんは抱っこされるよりも、したい人ってこと?」

「んまぁ、するかされるかで言えば、する方が良いかな。そりゃ」


 いくら男だとか女だとか気にしない時代になったとはいえ、やはり自分より背も低くて華奢な女子に抱えられている絵面は結構情けない。男子として複雑以外の何物でもない感情だ。


 であれば、男子である自分が女子を抱き上げている格好の方が様になるというものだ。それを率先してしたいかどうかは別問題として。


「ふふっ、そうなんだ」


 妃菜は可笑しそうに笑ってから、その笑みを少し悪戯っぽいものに変えて望の顔を覗き込んだ。


「今度してもらおうかなぁ、なんて……」


 冗談か本気かわからず望が曖昧な表情を浮かべていると、妃菜は気恥ずかしそうにはにかんでから、視線を夜景に投げた。


「じゃあ、そろそろ行こっか。しっかり掴まっててね、望くん」

「ああ」


 望が肩に腕を回したところで、妃菜はグッと地面を踏んで蹴り出す。重力を物ともしない軽やかな跳躍で放物線を描き、夜の帳に閉ざされた世界に飛び込んでいった――――



◇◆◇



「あっ、お兄さん!」


 望や妃菜が通う私立英志院学園の最寄駅から一駅と、そう離れていない場所にある公立中学校――西野方中学。


 正門よりも人目の避けられる裏門の前にすでに集合していた美玖、亜莉沙、優子の三人のもとに、妃菜に抱えられた望が降り立った。


 三人ともすでに変身している。


(この三人の変身も見てみたかったなぁ……)


 望は一瞬残念に思ったが、そんな考えを察してか妃菜から少し冷たいものを感じたのですぐに思考を切り替えて口を開いた。


「悪い。待たせちゃったかな?」

「いえいえ、私達もさっき来たところなので」

「なら良かった」


 中学生を夜道で長く待たせることになっていたらどうしようと思っていたので、望は少し安心する。


「えっと、俺の知る限りもう一回会ってると思うけど……」


 望が隣に立つ妃菜に手を向けながら、美玖達に紹介する。


「彼女が俺と契約している魔法少女だ」

「月ヶ瀬妃菜です。よろしくね」


 妃菜が柔和に微笑み掛けると、美玖もニコッと笑い返す。


「櫻井美玖です! 協力してくれてありがとうございます。今日はよろしくお願いします……!」

「私は橘亜莉沙よ。よろしく」

「や、柳沢優子、ですっ……!」


 美玖の両隣で亜莉沙と優子も挨拶を済ませる。

 妃菜も「うん、よろしく」と改めて返すと、どういう意図かさりげなく望の腕に自分の腕をそっと絡めてから言った。


「河川敷の戦いでは君達に凄く助けられたから、今日はそのお返しを少しでも出来るように頑張るね?」

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