26.交差する思い
「お前っ、…最近王宮来ないじゃないか!その事について謝るって言うなら?聞いてやるっていってんだよ」
「?別に行く予定がないから、行かないってだけなんだけど」
「なっ、今まで週に3回は来てたじゃないか!」
「それは王宮からの手紙が送られて来てたら行くしかないよ。無視するほど神経図太くはないし」
「っ!!…じゃあなんだ?リリーは手紙がないと王宮には来ないとでも言うのか!」
「はい」
…なんでそんな驚いた顔してんの?
口パクパクしちゃって、金魚じゃないんだからやめなよ。
「王子?王宮ってのは誰でも気軽にいっていい場所じゃないんですよ。そりゃ用もないのに王宮なんて行きませんよ」
「…はっ。思い知らされたよ。いいさ、もっと努力するだけのことだよ」
ん?
努力って…いきなり剣の話題になったのかな?
「王子、抜け駆けなんてさせませんよ!私ももっと特訓して強くなるんだからっ」
「…」
ふっふっふっ。
最近なんて、キャシー様の暗殺技術も取り入れ始めたから以前よりも強くなってるんだからね。
むに。
「うひゃっ⁉︎っいひゃい。いふぁいでふってっ」
なんでいきなり頬つねるのぉぉぉ。
痛いって!
わかったぞっ、もう勝負は始まってるのね。
不意打ちとは汚い真似を。
えいっ。
「はぁ。…全くもって伝わってないって痛感した。お前が悪いんだからな」
そう言って私がやり返そうとした手を軽くあしらい黒い笑みを浮かべてた。
こわっ。
そっちが先に仕掛けて来たのになんでキレてんのよ。
しかも私のせいとは。
「もうすぐ、誕生日だったよな。…いい機会だ。なにが欲しい?お前のためならなんだって用意してやるぞ?」
もう、笑顔が怖いよ。
なんでいきなりキラキラスマイルなんかしてんの。
なにが目的なの。
…ま、でも貰えるものは貰っとこうかな!
「じゃあ、クッキー…。王宮の人達が作ったクッキーとあとマドレーヌも!」
「そう言うのじゃないっ、くそ。聞いた俺がバカだった」
なっ⁉︎
欲しいもの言えと言ったのはそっちだじゃん。
正直に言ったのにバカって。
「もう、帰ってよ。来た時から意味わかんないことばっかりでさ?あげくに欲しい物言って、バカ呼ばわりされる覚えはないんだけどっ」
「ふっ。まぁ当日、楽しみにしておけっ」
そう言って笑って帰っていった。
いや、なにを⁉︎
何を楽しみにしてればいいっての?
やっぱりお菓子くれるってこと?
はぁ。なんかどっと疲れた。
ー殿下…、ファイトです。お嬢様は超ド級の鈍感ですと、ずっと部屋にいたメイは密かに殿下にエールを送ったのだった。ー




