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宇宙艦隊オッパリオン外伝-Milky Storys-  作者: 桐生スケキヨとYOM
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【外伝】宇宙艦隊オッパリオン「母乳力が支える星」

挿絵(By みてみん)


【桐生スケキヨより】

スケキヨです。

ついにはじまった大長編作品のスピンオフ!

こちらでは短い作品で本編の魅力を伝えていこうと思います!

第一弾は本編であまり触れられなかった母乳要員に注目!

母乳要員に求められる資質と、勇気とは!?


母乳要員とは名誉ある職務。

しかし求められる資質や覚悟は高度なものだった――。

初のスピンオフ作品で明らかになる母乳要員の姿をご覧ください!


【YOMより】

母乳力のまだ見ぬ宇宙の騒乱の始まりの物語達。

本編には登場しなかった魅力的なヒロイン達の小さな活躍にご期待ください!!

【外伝〇〇一 母乳力が支える星】


「え、七番ドックの先のゲート、ですか?」


 オッパリオン衛星軌道にある拠点基地、通称オッパリオン北天基地にいたシルキーは突然の連絡を受けていた。


「七番ドックは基地の端っこで、その先は行き止まりになっているのではないですか?」


 シルキーの部屋に連絡を入れてきた担当兵士に、思わずそう聞き返していた。


『それが……情報ではそうなっているのですが……あまり大きい声では言えないのですけどね――』


 通信の兵士は声をひそめた。


『あの先は特務艦隊区画になっているんです』

「特務艦隊?」


 シルキーはその名前を聞いたことがなかった。オッパリオンに存在しているのはこの基地に駐留する北天艦隊、オッパリオン星を挟んで反対側の宙域を守る南天艦隊、そして首都と皇宮を防衛する首都防衛艦隊、オッパリオン人を拉致する海賊たちを取り締まる対海賊艦隊の四つだった。


『まだ正式公開される前の組織で、公にはされていないんです』

「そんな艦隊がどうしてわたしに?」

『わたしも詳しくは知らされていません。対海賊艦隊のアーリア提督があなたを特務艦ドックに来るようにと』


 アーリア提督――オッパリオン人では知らない人はいないと言えるほどの有名人だ。若くして南天艦隊配属の艦長のひとりから、対海賊艦隊の提督に抜擢され、あの大海賊アルテナを退けたことで特に有名な、オッパリオンの英雄だ。


「わかりました、すぐに向かいます」

『お願いします』


 そのアーリア提督がわたしに何の用事なのだろうか。自分はあまり優秀な軍人とは言えない。パイロット適正試験には落ちるし、母乳力だって強いという判定だって出なかった。

 マーラ帝国のオッパリオン侵攻は着々と進んでおり、北天方面宙域の衛星基地がまたひとつ陥落してしまっている。

 シルキーの家族も、この戦争の被害を受けている。シルキーは自分もなにかオッパリオンの役に立ちたくて軍に志願したが、活躍できる場は見当たっていなかった。

 まさかアーリア提督自ら、自分に軍を離れろと命じるのでは!? そんな不安が頭をよぎる。

 七番ドックを過ぎると、そこには今まで気にもしていなかった壁に、認証端末があった。ナノマシン認証であり、触れればいい。シルキーは少しためらったのち、端末に触れる。

 ピッという電子音と同時に、壁が開き、奥に続く通路が現れた。特務艦隊というのは本当にあるんだ、シルキーはそう思いながら通路を進む。

 通路右手側が開ける。ドックは開放中で、宇宙空間とそのまま繋がっている。気圧や空気が保たれているのはエアカーテンという技術によるもので、重力は人工重力によって制御されている。


「あれは……」


 シルキーはそこに一隻の巡行艦を見つけた。それはオッパリオン軍伝統の造りである、円筒形の丸みを帯びたシルエットの艦だった。しかし変わったものが付属している。


「輪っか?」


 その巡行艦の中腹にかかるように、大きなリング状の構造物がある。こんな形の艦は見たことがない。


「ようこそオッパリオン特務艦隊へ。シルキー」


 ふとした声に目線を前に向けると、そこにはマントを翻して立つ提督の姿があった。


「アーリア提督!」


 シルキーは慌てて敬礼をする。

 アーリア提督はまだ若く、その発言、行動は軍の内外で注目されている。しかし、その生い立ちなどは詳しく知るものはおらず、アーリア提督三大秘密なる話も出回っている。

 そのひとつが今も被っている海賊の意匠が施された帽子だ。正規軍人で、しかも提督という地位にある彼女がなぜ海賊の帽子を被っているのか、それを知るものはいない。


「待っていたわ」

「お待たせして申し訳ありません」

「楽にして」


 シルキーが敬礼から直るのを見て、アーリアは輪っか付きの艦艇を見る。


「はじめて見る艦でしょう?」

「はい。この輪っかはいったい……?」

「これは外殻機動推進装置。エンゲージと呼ばれる新型装備なの。この艦、スタティアは今のオッパリオンの持てる技術を結集して造られた最新鋭艦よ」


 そう言われもういちど艦を見ると、装甲や表面は綺麗で、真新しさがあった。


「こんな最新鋭艦を、どうして自分は見させられているのだろうか、そう考えてるわね?」

「っ!?」


 アーリアの言う通りだった。心を見透かされたシルキーは思わず背筋を伸ばす。


「この艦に搭載された母乳機関は従来の艦船のものとは少し違うの。より強く、確実な母乳力が必要になる。母乳の量も質も、求められる基準は高いものになっているわ」

「それがわたしとどういう関係があるのでしょうか」

「このスタティアを運用する上での課題のひとつに、基準をクリアした母乳要員の確保があったわ。選定は難航してね。でも、先日それはクリアされた。シルキー、あなたにはこの艦の母乳要員になってもらいます」

「えっ!?」


 聞き間違えたかと思った。


「ぼ、母乳要員と言えば、それは軍の中でも極めて重要で、高い地位の存在です。高い母乳力と、連続的な搾乳に耐えることも必要になるもので……わたしなんかの母乳力では到底――」

「それがね、前回の母乳力検査であなたの数値が大きく向上していたの。わたしは驚いていない。預言者シアは預言していたわ。スタティアに相応しい母乳要員は近くにいる、すぐに見つかる、って」


 預言者シア――。アーリア提督や、皇女アティルーンが信頼するオッパリオン屈指の預言者だ。名前は知っているが、会ったことはない。本当にいるのかと疑うこともあるほどだった。


「わたしの母乳力が……この新造艦の役に立つ……ということですか?」

「えぇ、その通りよ。あと三人いるのだけど、その三人は他の艦から融通してもらったわ。あとひとりをずっと探していたの」

「あの、わたし、軍ではずっと雑用をしていて、戦闘経験も、母乳要員の経験もありませんが――」


 気付いたら早口になっていた。アーリアはそんなシルキーを見て優しく微笑む。


「落ち着いてシルキー。母乳要員は誇り高い、名誉ある役職よ。でもね、それは安全なものとは言えないから。母乳要員は一番最初に艦に乗り込み、もし艦が損傷して沈むことになった時も、最後まで艦に残り母乳を供給し続けなければいけない。勇気が必要なの。だから尊敬される」

「それは……知っています」

「あなたの母乳は要件を満たした。あと必要なものがひとつ、わたしはそれを確認するために、こうしてあなたに会いにきた」


 アーリアの真剣な眼差しには迫力があった。なにか、うちに秘めた強い決意を感じ、シルキーは後退りそうになった。踏みとどまり、声を搾り出す。


「そ、それは、なんでしょうか?」

「あとひとつ必要なもの、それはあなたの勇気」

「わたしの――」

「この特務艦スタティアは単独で遥か遠くの宇宙、水平の銀河を目指します。そこにある、星を救う神秘の力Zリーヌンスを探しに」

「星を救う……それは、このオッパリオンをですか?」


 マーラ帝国の侵攻を受け、苦戦を強いられるオッパリオンの敗北は濃厚になっている。マーラ帝国は宇宙に領土を拡大するため、そのエネルギーとしてオッパリオン人の母乳を使っている。多くのオッパリオン人がマーラ帝国に拉致され、家畜のように扱われて母乳を搾られていると聞く。


「そうよ。オッパリオンを救うためには、そのZリーヌンスを手に入れ、持ち帰るしかない。厳しい任務になる。途中、帝国軍との戦闘もあるかもしれない。楽な任務ではない、むしろ厳しく、難しい任務よ。シルキー、あなたにこの任務に参加する勇気はあるのか、それを確認しておきたいの。もちろん強制ではないわ、この任務は極めて安全性の低いものになる。だからあなたには断る権利がある」

「わたしは――」


 一瞬だけ、迷った。その一瞬で鮮明に思い出す。オッパリオンの役に立ちたいと思って軍に志願したこと。マーラ帝国に拉致された姉のこと。悲しい思いをしている両親のこと。

 それを解決できる力になるのなら――答えはすぐに出た。


「お願いします。わたしの母乳力が役に立つのでしたら、どうか、使ってください!」


 アーリアは穏やかな笑みを浮かべ、目を閉じた。そして力強く、だがどこか優しく頷いた。


「ありがとうシルキー。あなたのようなオッパリオン人がいてくれることを、わたしは心強く思います」

「いえ、とんでもありません。今までしっかりと役に立てなかったので、これからはしっかりと貢献したいと思います!」

「それは違うわシルキー。あなたは軍に籍を置くものとして立派に職務をこなしていたわ。その点も、今回の選出に考慮されています。だから母乳要員になったからと言って無理に励むことはしないで、今まで通り、素直で実直に、明るく任務に当たって欲しい」

「わ、わかりましたっ」


 シルキーは思わず敬礼する。それを見て、アーリアも敬礼を返した。


「ではシルキーを本日ただいま付けで特務艦隊旗艦スタティアへの母乳要員として正式に配属を命じます」

「拝命いたします!」

「このあと、必要なものがあればそれをまとめてスタティアに来てください。スタティアはまもなく、搭載された母乳機関の試運転を兼ねた試験航海を行います」

「了解しました!」


 敬礼を直したアーリアはそっとシルキーの手を取った。


「ありがとうシルキー。あなたの母乳力と勇気がスタティアを動かします。それは必ず、オッパリオンの安寧と、拉致された同胞の帰還に繋がる。これからよろしく」


 アーリアに信頼の言葉をかけられ、シルキーは舞い上がりそうだった。


「こ、こちらこそよろしくお願いします! 精一杯がんばります!」

「うん。ではまた後ほど」


 アーリアはマントをひるがえし、颯爽とスタティアへと続くタラップへ向かって行った。

 その姿を目で追っていると、スタティアの奥にふたつの艦艇があるのが見えた。よく似た形をした、ふたつの艦艇は見てわかるくらいに建造中のようだった。


「あれも特務艦隊の艦なんだ……」


 なにかすごいことがはじまる。これは今まで劣勢を強いられていたオッパリオンが反攻へと転じる一手になる、シルキーはそんな思いに胸を熱くしながら、来た通路を戻った。


◇ ◇ ◇


 シルキーはわずかな私物をまとめて、スタティアへと戻ってきた。携帯端末に表示された案内に従うと、まずは更衣室へと通された。

 そこにはシルキーに宛てた荷物一式があった。


「これは……っ!?」


 それは白を基調とした、母乳要員専用に作られた白装束だった。これを着るものはオッパリオンで最も勇敢なものとして尊敬され、様々な特権を持つことができる。

 シルキーは服を持つ手が震えた。


「これをわたしが……」

「そうよ」

「っ!?」


 突然の声に振り返ると、そこには同じ白装束を着た女性がいた。


「スタティア母乳要員のエイテルです。あなたがシルキーね?」

「は、はいっ、シルキーです!」


 エイテルと名乗ったオッパリオン人は見るからに経験の豊富さを感じられた。おそらく、対海賊艦隊から転属となった人だろうとシルキーは思った。


「そう堅くならないで。これからは同じ仲間。さぁ、着替えて着替えて」

「は、はい」


 シルキーは着替える。白を基調とした意匠は清潔感があり、神聖さすら感じさせるものだった。

 着替えたシルキーは待っていたエイテルの前に立つ。


「ど、どうでしょうか……?」

「うん、よく似合ってる。母乳要員に相応しい品格もあるわ」

「あ、ありがとうございます……!」


 エイテルはシルキーの肩に手を置く。


「この艦に求められる母乳力は大きいらしい。過酷な任務になるわ。尊敬を集める母乳要員には、それだけの重責がある。そのことを、しっかり覚えていて」


 エイテルの言葉が胸の奥に響く。シルキーも背筋を正した。


「覚悟しています。でも、この艦の任務完遂のため、尽くそうと思います」


 シルキーの決意を聞き、エイテルはぽんぽんと肩を叩いた。


「大丈夫、この艦はあのアーリア提督の艦よ。無茶なことはするかもしれないけど、やばいことにはならないわ、ふふふ」


 エイテルの気の緩んだ微笑みに、シルキーは拍子抜けしてしまった。


「さぁシルキー、艦内を案内するわ。ようこそ、スタティアへ。これからはともに戦う同志よ。よろしくね」

「はいっ、よろしくお願いします!」


 自分の母乳がこの特務艦隊の役に立つことに、シルキーは誇りを感じた。

 そしてここから、長い旅と、戦いがはじまる――シルキーはそう思い、これから向かう宇宙の果てになにが待つのか。それはきっと、オッパリオンにとっての希望になる。自分の母乳力がその希望に繋がる――シルキーは胸が膨らむ思いがした。


【桐生スケキヨより】

すべてはここからはじまる。

オッパリオンの母乳は幾多の困難を打開し、時には癒し、宇宙の神秘をも解き明かす物語となる!


【本編はこちら】

◇小説家になろう

https://ncode.syosetu.com/n3118gr/

◇ノベルアップ+

https://novelup.plus/story/927878273

◇PIXIV

https://www.pixiv.net/novel/series/1446094

◇カクヨム

https://kakuyomu.jp/works/16817139555432038147

◇ノベルデイズ

https://novel.daysneo.com/works/562a5bf30064bde1e8eadd575d8e62e9.html

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