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【新作】ルシア戦記  作者: 泉水遊馬
第1章 アリア

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9/9

第8話 夕食の席、白銀の記録

黒と銀の食堂。キャンドルの炎が揺れる中、食事が一巡した頃、ダークシアがグラスを静かに置いた。


「リリアーナ。せっかくの機会です。アリアとセリスに、あなたのことを少し話してあげては?」


リリアーナ・ヴァル・セラフィムは優雅にワインを傾け、紫灰色の瞳を細めた。


「いいわ。ダークシア、あなたが説明してちょうだい。優雅にね」


ダークシアは小さく頷き、テーブルの上に小さなホログラム・プロジェクターを置いた。


淡い青光が広がり、リリアーナの立体映像とデータが浮かび上がる。


「では、簡潔に。

 こちらが現在、戦乙女序列第1位。

白銀の頂乙女、リリアーナ・ヴァル・セラフィム大聖女将の実績よ」


アリアとセリスが同時に身を乗り出した。ダークシアの声は冷たく、しかし誇らしげに響いた。


「エイドロン殲滅数 487体。

 うち中級個体148体、上級個体3体を単独または指揮下で撃破。

 特に『絶望の王』討伐は戦乙女史上最速記録として残っているわ。

作戦時間はわずか47分、味方の損害ゼロ」


セリスが息を呑んだ。



挿絵(By みてみん)


「47分で……上級個体を?」


「ええ。しかも単独に近い形で」


ダークシアはデータを次々に切り替えた。


「能力面では極めて完成度が高い。


白銀聖裁シルバー・ジャッジメント

広域光属性フィールド。

半径300m以内のエイドロンの赤核を強制的に露出させ、弱体化させる。複数同時相手でも効果を発揮する最高位浄化魔法。



白影ホワイト・シャドウ

アリア、あなたの神速を凌駕する機動能力。

しかも残像を操り、多方向同時攻撃が可能。

持続性と精密制御で現時点では上位と評価されている。


絶対命運アブソリュート・フェイト

先読み能力の極致。

ルシアの神託を直接深く受信し、戦闘中に複数の『未来』を視て最善を選択できる。

神託同調率はS+……戦乙女史上でも極めて稀」


アリアは無意識に自分の手を見つめた。

自分の「先読み」と「神速」が、すでにこの女性の領域に近づいていると言われている事実に、複雑な感情が湧いた。


ダークシアは続けた。


「加えて、過去5年間で関与した凍結執行は39名。

 そのうち元戦乙女が12名。

彼女が指揮する作戦における戦乙女の戦死者は過去3年でわずか2名……『損耗ゼロの完勝』を徹底的に追求するスタイルよ」


リリアーナが静かに微笑んだ。


「褒めすぎよ、ダークシア。

 ただ、私はルシアの意志を最も正確に実行しているだけ。

 使命に疑問を抱き、迷い、力を出し切れない者は……結局、仲間を死なせるか、自分が凍結されるかのどちらかよ」


彼女の視線がアリアに真っ直ぐ向けられた。


「アリア・ルミナリス。

 あなたは神速と先読みを併せ持つ稀有な才能。

 もしその才能は上級戦乙女にも匹敵する才能。

アリアが私の側近で戦う日も近いかもしれませんね。」


食堂の空気が一瞬で凍りついた。

セリスがアリアの袖をそっと握った。

ダークシアは無言でワインを注ぎ足し、複雑な表情を浮かべている。アリアは赤い瞳を伏せずに、リリアーナの紫灰色の瞳を真正面から見つめ返した。


「……頂点に立つ人が、それだけの実績を残しているのは理解しました。

 でも、487体のエイドロンを倒し、39人を凍結させて……本当にそれで『救われた』と言える人は、どれだけいるのでしょうか?」


リリアーナの笑みがわずかに深くなった。


「面白い子。

 期待しているわ、アリア。

 来週の共同作戦で、あなたがどれだけ『使命』に近づけるか……楽しみね」


キャンドルの炎が揺れ、ホログラムに映る白銀の乙女は冷たく輝き続けていた。

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