第8話 力の制御
冒頭から謎の少女登場!
皆さんは少女の正体わかりますか?
因みにいつの間にか6歳になっていますが、そこん所は大目に見てやってください。
此処はとある電脳世界・・・・
データや信号が飛び交う中一人の少女の姿があった。
少女は目の前に展開されている画像を見て唸っていた。
<うぅー、何で黒の英雄が転生してるんですか!?>
彼女叫びに応じ、すぐ後ろに黒いキューブが現れた。
『主がドンナ手段を使ってもトイッタ。だから殺してテンセイさせた。』
<で、でも転生したら、【あいつら】を倒すのに時間が掛かっちゃうじゃないですか!>
『主、【あいつら】のウゴキ活発化シテキタどうする?』
<それを、言わないでください・・・本当ならあの人に全員倒して貰おうと思ったんですよ・・・>
彼女は頭をワシャ、ワシャと手で掻き乱しながら呟いた。
そんな主の姿を見て黒いキューブはもっともな意見を述べる。
『主、それなら他の人ヨブベキ。』
<無理です!あいつらを倒せる実力を持っているのはあの人だけなんです。
それに私の権限じゃ呼べるのは一人が限界です。>
それを全力否定する少女に対し、黒いキューブは根本たる原因の解明を要求した。
『主、そもそも【あいつら】何で此処にハイッテキタ?此処は”向こうの人間”が入ってこれるバショジャナイ』
<そんなの任期3年目の私が知るわけないじゃないですか~!>
謎の少女の叫びは電脳空間に響き渡るのだった。
未だこの少女の正体はわからない・・・・
◆◆◆◆◆◆◆
さて、自分の力を制御出来るように特訓を開始すると共に礼儀作法や算術の勉強までもが始まった。
おい、自分の息子だからってやり過ぎじゃね?
俺そろそろ泣いていい?
俺ってよく考えると6歳なわけじゃん。
それで、剣を教えられ、魔法を教えられ、礼儀作法、算術までも教えられるってどんな家庭だよ。
やばくね、この世界ってこれが常識なのか。
俺英才教育なんて受けた事無いけど、これほど厳しいのだろうか。
お金持ちって怖い。
そんな思いを込めた視線を目の前の両親に放つ。
しかし、俺の冷たい視線は奴らにとってはご褒美なのだ。
なんと恐ろしい。
だが、色々な知識を教えてくれるのは嫌いじゃない。
ただいっぺんにやるのがめんどくさいだけ。
もうあれから5ヶ月近くも力の制御の方法やら礼儀作法やらを習っている。
だが、礼儀作法は大体元あった知識を応用すれば出来るので問題はない。
それに算術も文字の書き取りも俺にとっては楽勝、楽勝。
やっぱり現代って教育が行き届いていたんだなーって実感させられる。
そんな感じで結局俺のためになりそうなのは自分の力の制御だけ。
ま、ボチボチ強くなっていきましょう。
そんなわけで、今日の稽古はステラとの肉弾戦闘。
何でも人相手に戦う時の戦法だとかなんとか。
魔法で山ぶっとばすより平和的な解決方法だな。
そんな戦闘をする事前提とした知識を6歳の子供に教える母親。
やっぱり内の家庭特殊なんじゃね?
「アーちゃん、戦闘中に考え事とは余裕ね!」
ステラが鋭い正拳突きをかまして来たが、今の俺にとっては他愛無い一撃にしか感じられない。
この肉弾戦において、武器の使用は禁止、
ハンデとして体に纏わせる魔法の使用はOKという事になっている。
だが、正直魔法を使わせてくれるなら4割しか力を使っていないステラに負ける道理はない。
俺は皮膚の表面に常時展開している通称『紫外線バリア』の上に電気を通す。
俺の体には直接触れていないため俺が感電する恐れはない。
簡単に考えれば雷を纏った人間だ。
威力はざっと熊さんが一瞬で黒焦げになるくらい。
そんな奴に正拳突きかましたらどうなるか容易に想像が付くだろう。
「くッ!」
ステラは右手を押さえたまま距離を取った。
どうやら被害にあったのは右手だけですんだらしい。
本当に内の両親は何者なんだ。
「今のは、雷系統の魔法・・・・何でアーちゃんがその魔法を!?」
「いや、別にお父様も使っておられたので普通なのでは?」
俺は首を傾げながら体勢を低く、構える。
だが、その構えからは一切の隙が窺えない程熟練されたものを感じる。
「アランは一体、どんな魔法まで教えたのよ、
雷系統の魔法が使えるのは普通は魔族だけなのよ・・・」
俺は躊躇する事なくまっすぐ愚直に突っ込んで行った。
ステラは俺の動きに驚いて、最初こそ隙だらけだったが
俺が近づく頃にはすでに万全の体制で向かえ打つ準備だった。
だが、その程度では俺はやれない。
と言うか俺を舐めすぎだ。
いくら近距離戦闘に得意な奴だって相手を肉眼で捉える事のできない状況で勝てる道理はない。
俺はステラとの距離が残り10メートルを切った所で『光化学迷彩』を発動させる。
俺の姿は消え、一瞬ステラの顔から余裕が消えた。
俺はその場で軽く地面を蹴り、ステラの真後ろに移動。
体を半分ほど捻り、ステラの腰目掛けて回し蹴りをお見舞いする。
しかし、ステラは今までとは比べ物にならない速さで姿を晦まし、
気づいた時には俺は地面に倒されていた。
「えっ!?」
俺は何が起こったのか理解できず、暫く呆然としていたが
視界の隅でステラが歩み寄ってくるのが見え起き上がった。
「お母様、今のは一体・・・」
俺が話し終わる前にステラは俺の肩を掴むと、真剣な表情で聞いてきた。
「アーちゃん、今貴方の姿が消えたように見えたんだけど・・・
まさか透明化の魔法なんじゃ・・・」
「ええ、光魔法を応用して太陽光線を遮断する魔法を作っている途中で出来たものです。
でもお母様やお父様相手だったら精々今見たいに一瞬しか気を引く事のできないものです。
僕は4割のお母様になら勝てると思ったのですが、どうやら自意識過剰だったみたいですね。」
自分の頭を掻きながらはにかむ俺にステラは真剣な表情を崩そうとしない。
今日のママンはハイテンションだな、何かよくないキノコでも食ったか?
・・・・あ、やっべ、失念してたけど、そういえば俺まだ6歳やん。
「いいアーちゃん。貴方が使った魔法は御伽話にしか出てこないような伝説の魔法なの。
それに光系統の魔法なんて現代じゃ誰も使う事は愚か、知る人すらほとんどいないのよ。
それを貴方は6歳にして、いとも容易く使いこなして見せた。これは、本当に凄い事なの。
でもなるべく使わないで頂戴、その力のために命を狙われる危険だってあるのよ。」
「そ、それは知りませんでした。次からは使わないよいうにします・・・」
俺が驚いた表情で顔を強張らせているとステラを俺の頭をゆっくりと撫でてきた。
「分かればいいのよ、さ、お屋敷に戻りましょ。」
「はい、お母様。」
屋敷に戻りかけてふと俺は疑問に思っていた事を聞いて見る事にした。
「そういえば、お母様。ここら辺って僕達しか住んでいないんですよね。」
「そうね、向こうに見える家々ももう誰も住んでいないわ。」
「じゃあ、僕もそろそろ同年代の友達と遊んでみたいですし、
どこかに連れて行ってもらえませんか?」
するとステラの動きが急に硬くなった。
まるでロボットだ。
これは何かあるな。
「どうして僕は外に出ては行けないんでしょうか?何か理由でも?」
俺が目を潤ませて懇願するように尋ねる。
さあ、折れろ、大人しく俺に情報を提供するんだ。
俺の破壊力満点らしきこの表情に打ち負けて全てを吐き出せ!
「で、でも、アーちゃん寂しくないでしょう。私達だっているし、
それに、ほら、時々遊びに来てくれるスーベルおじさんとかもいるじゃない。」
是が非でも俺を外に出したくないらしい。
珍しいな、此処まで頑固なステラ。
気になるな。
「でも、お母様達がお出かけになる時は寂しくてしょうがありません。
せめて何でだめなのか教えてくれませんか?」
「えッと・・・」
目を左右に動かし、何か考える素振りを見せるステラに俺は
さらに追い込みをかけるため此処で鎌をかける事にした。
「もしかして、外に出ては不味い理由でもあるんですか?
例えば・・・・僕の立場が関係しているとか?」
「何のことかな~(我が子ながら鋭い・・・・)」
どうやら当たりのようだ。
さて、子供を舐めるとどうなるか教えてやるか。
「はぁーッ、お母様。僕は別に構いませんが、
次に生まれてくるであろう弟や妹にはちゃんと真実を話してあげて下さいね。
きっと皆家出してしまうかもしれませんよ。」
「そうね・・・って!?アーちゃん何処でそんな、生まれてくるなんて話・・・」
「お母様が話していたではないですか、
それに最近はお盛んなようですしそろそろ僕の兄弟が誕生しても―――」
「ワー、ワー、ワーッ!忘れてその話は忘れて!お願い話すからね、ね?」
分かればよろしい。
俺は笑顔で頷きステラと一緒に屋敷へと戻っていった。
俺酷くないよね?
全部事実だもの。
最近書くペースが落ちてきています。
ストックが持つか心配です・・・・