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図書委員のおもちちゃん  作者: 鵲三笠


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50/50

第50話 桜の下のおもちちゃん

東京のとある公園では、桜まつりが開かれていた。

満開の桜が咲き誇るなか、たくさんのキッチンカーが並んでいる。


(桜……綺麗だなぁ……)


おもちが桜の木の下で誰かを待つ。その誰かとは……


「お待たせ!」


大翔が慌てたようにやって来た。


「大丈夫だよ。遅延してたんでしょ?」

「まさか信号トラブルが起きるとは……ごめんね」

「大翔君のせいじゃないよ。それより早く行こう?」


おもちが大翔の手を握って、歩き始める。


「おもちちゃん……今日の服装おしゃれだね」

「そう?」


白い長そでに青いロングスカート。お出かけファッションだった。


「似合ってるよ」

「……!ありがとう。大翔君に褒められるの嬉しい」

「何から食べる?」

「唐揚げ食べたい……」

「じゃあ行こうか」



一方、同じ公園にいた稲見は頬を膨らませていた。


「ごめんって稲見!僕が悪かったから」

「ふん!」


正樹が必死に謝るが、稲見の怒りが収まらない。

稲見が怒っている理由は、正樹が連絡なしで遅刻して30分も待たされたからだ。


「お昼奢るから。ね?」

「それは当たり前でしょ!でもそんなんで私の機嫌が……」


そう言いかけて、稲見の言葉が止まる。


「……?どうした?」

「あれ……大翔君とおもちちゃんじゃない?」


二人を見ると、仲良く唐揚げを食べていた。

それを稲見が羨ましそうに見つめる。


「……」

「行かないの?」

「二人の邪魔したらダメでしょ?」

「話したいんじゃないの?」

「それもあるけど……二人の関係性が羨ましいなぁって思って……」

「えっ?」


大翔とおもちが楽しそうに会話する。何を話しているかは分からない。


「いいなぁ~私も恋人欲しい~」

「稲見って好きな人いないの?」

「いないから言ってるのよ」

「そっか……」


正樹が稲見の後ろ姿を見つめる。


「じゃあ……僕が立候補するのはあり?」

「なし」

「即答⁉」

「あんたと恋人になれる未来なんて想像できないわ」


稲見が先を行く。


「……今のところはね」

「何か言った?」

「言ってない!早く行くよ!たくさん奢ってもらうんだから!」

「たくさんって……バイトしてないんですが……」

「遅刻した正樹が悪いでしょ?ほら!行くよ!」

「小遣い少ないのに……」


正樹はしょんぼりしながら、稲見についていった。



二人はキッチンカーで買ったさくらソフトクリームを食べる。


「美味しいね」

「うん。さくら味のソフトクリームってなかなか食べられないからね」


おもちが再びソフトクリームを口に入れると、寂しそうに呟く。


「もう春なんだね。早いなぁ……」

「そうだね。おもちちゃんと会ったのは確か……五月ぐらいだったかな?」

「中間試験前だったからそれぐらいだね」

「あの時はおもちちゃんと恋人になるって思わなかったな~」

「あの時は大翔君に興味があるって言われてびっくりしたんだよ?」

「アハハ……確かに戸惑うよね。でも……今まで会ったことがないような人だったからさ」

「そんなに不思議だった?」

「うん……凄く……何だったんだろうね」


あの時の出会いが今の楽しさを作り出していると考えると、あれは運命の出会いだったかもしれない。


「もうすぐ二年生だね。実感ないよね」

「そう?私はクラスが変わるから二年生になるんだな~って思ってるよ?」

「おもちちゃんは文系クラスだったよね?」

「うん」

「僕も河野も文系クラスだからさ。同じクラスになるかもしれないね」

「そうだね。一緒のクラスになったら修学旅行も楽しそうだね」

「修学旅行……どこに行くんだろう……」


去年の修学旅行は関西だったらしいが、今年も同じなのか……変わるのか……

どちらにせよ、一緒のクラスになれたらどこでも楽しめるだろう。


「桜……綺麗だね……」

「うん……」


おもちが桜を見つめる表情を、大翔が横でじっと見つめる。


「……?どうしたの?」

「おもちちゃんが可愛いなって思って……」

「えっ……?」


おもちの頬が赤くなる。


「こ、こんなところで言わないでよ……」

「ごめんごめん。桜を見る顔が可愛かったからさ」

「……」


おもちが恥ずかしそうに大翔の袖を掴む。


「ずるい……」

「えっ?」

「そういう雰囲気じゃないのに、突然言ってくるの……嬉しくなっちゃうじゃん……」

「フフッ。ごめんね」


すると、おもちが大翔をギュッと抱きしめる。


「……!」

「でも……大翔君のそういうところも……好き……」

「……ありがとう」


おもちが大翔を離すと、顔が赤面していた。どうやら恥ずかしかったようだ。


「やっぱりさらっと言える大翔君凄いよ……」

「だって本当に思ってることだもん」

「私じゃ恥ずかしくて言えないよ……」


大翔がクスクス笑う。


「恥ずかしがってるおもちちゃんも可愛くて好きだよ」

「またそんなこと言う……」

「だって可愛いんだもん。仕方ないよね?」

「もう……」


少し文句を言いつつ、おもちが大翔の手を握る。


「デザート食べたい……」

「さっき食べたじゃん」

「大翔君があんなこと言うから食べたくなっちゃった……」

「あんまり関係ないような気がするけど……」

「い、いいから!行こう?」


おもちが大翔の手を引っ張って、道を走る。

風が舞い、桜の花吹雪が二人を襲う。


「うわっ!」

「きゃっ!」


思わず立ち止まった二人だが、お互い目が合うと微笑む。


「風……凄かったね」

「うん。びっくりした」


再び手を繋いで、ゆっくり歩く。二人はもうすぐ二年生。

二年生になると、どんな出来事が二人を待っているのだろうか?



第一部:完




[あとがき]

第一部完結です!

丁度50話で完結になり、51話から新たな物語が始まります。

続編の第二部についてですが、作者都合により、8月26日(木)からの連載を予定しております。

(連載再開が延期の場合は、活動報告でお知らせします)

期間がかなり空いてしまいますが、楽しみにしていただければ嬉しいです。

第二部もご期待ください!


鵲三笠

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