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図書委員のおもちちゃん  作者: 鵲三笠


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第42話 御曹司の興味

冬休みになると、外を歩く学生が増えてきていた。

大翔も東京の街中を歩き、とある人物との集合場所へ向かう。


(意外と来るの初めてだな……お台場)


空を見上げると、巨大なスタジアムがある。


(これが……TOKYO BAY NEBURAか……)


江東区有明の埋め立て地に建設された世界初の完全海上浮体式スタジアム。

約45000人の収容が可能で、東京湾全体から見えるほどの巨大なホログラム演出もあるらしい。


「あっ!いたいた!お~い!」


声が聞こえた方を見ると、レプリカユニフォームを着た悟が手を振りながら立っていた。


「久しぶり。短期留学以来だね」

「そうだね。僕の住んでるところが東京から離れてるからなかなか行けなくてさ」

「確か……岡山だっけ?」

「そう!倉敷に住んでるんだ!」

「倉敷……確かに遠いね」

「それより!来てくれて嬉しいよ!東京でやるから大翔と見たいって思ったんだ!」

「こちらこそ誘ってくれて嬉しいよ」

「じゃあ入ろうか!」


二人は会場へと入って行った。



会場に入ると、二人はスタジアムフードを購入し、観客席に向かう。


「あんまり知らずに来たんだけどさ、今日はどういう試合なの?」

「今日は凄いよ!天皇杯の準決勝だからね!」


天皇杯……それは日本に存在する全チームの頂点を決める大会である。


「J1のスター軍団に、大学生や街のクラブチームが挑める唯一の大会でもあるんだよ。だからプロが大学生に負けることもある。

これを僕らは『大物食いジャイアント・キリング』って呼ぶんだけど、負けたプロ側は一生言われる屈辱、勝ったアマチュア側は一生の伝説。

このヒリヒリ感、Jリーグにはない独特の空気なんだよね」

「へぇ……面白そう……」

「関西側と同時進行だから、どっちを見るかも僕からしたら悩ましいね」

「じゃあなんで関東こっちに来たの?悟は関西の方が近いでしょ?」

「そうだけど僕はあのチーム(・・・・・)のファンなんだよ!」

「あのチーム?」


大翔が尋ねようとすると、選手たちの入場が始まる。


「あっ!来た来た!」

「悟はどっちを応援するの?」

「それはもちろん!アマチュア側の湾岸海洋大学だよ!」


湾岸海洋大学。

湾海と略される浦安の国立大学。千葉県予選でJ3のプロチームを撃破し、ニュースで話題になり、本選でもJ1の強豪をPK戦で勝利したことで、日本サッカー界隈で勢いのあるチームとされる。


「彼らの試合は凄く面白いんだ!既にJリーグの入団内定も決まっている選手もいるんだ!」

「へぇ……凄いなぁ……」

「でも相手チームもJリーグで勢いのあるチームだよ」


対戦相手のACネビュラ東京は、2年目でJ1の仲間入りを果たす、天皇杯優勝候補のプロチームだ。


「選手入場から手汗やべぇ~」

「なんか……ワクワクするね」


選手がピッチに入っていき、ウォーミングアップを始める。


「これ見るとさ、早く始まらないかなって思ったり、まだ始まってほしくないっていう複雑な気持ちになるんだ」

「悟は本当にサッカー好きなんだね」

「あぁ!大好き!」


悟のニコッとした笑顔が、大翔の心に響く。


(好きなことに夢中になれるっていいな……)


俺が好きなものは何だろう?やっぱり勉強かな?

いろんな知識が頭に入ると楽しいし、今日もサッカーについて新しいことを知ることができる。さっきの悟の説明も勉強になった。


(でも……何か勉強以外で趣味を作りたいな……)



試合が終わり、観客たちが一斉にスタジアムを出る。


「マジかぁ……負けちゃった~」


試合は3-2でACネビュラ東京が勝利。湾海も後半追い上げていたが、プロによって阻まれた。


「やっぱり強いな……」

「でもプロじゃないのにあそこまで戦えるのは凄いと思った」

「でしょ?だから天皇杯は面白いんだよ!」


応援チームが負けて悔しそうな表情をしていたが、試合が面白くて満足そうな顔をしていた。


「なんか試合終わったらさ、終わっちゃった~っていう感覚になるんだ」

「それはあっという間だから?」

「そうだね。それだけ楽しかったっていう証明になる。帰ったらサブスクでまた見ようっと」

「日帰り?決勝は見ないの?」

「……チケット取れなかったから家で大人しく見る」


悲しそうに呟く悟を見て、大翔は気まずい顔になった。


「なんかごめん……」


二人は東京駅の新幹線ホームまで向かい、大翔は乗車する悟を見送る。


「大翔!今日はありがとう!」

「こちらこそ。サッカー観戦があんなに楽しいなんて知らなかったよ」

「また一緒に見ようね!」

「うん」


ドアが閉まると、新幹線が発車して行く。

ホームから見えなくなるまで見届けると、エスカレーターで下りていく。


(会場凄い熱狂だったな……点が入ったら喜んで、取られたら悔しがって……)


負けたとはいえ、湾海の最後の追い上げも凄かった。

観客の応援も盛り上がっていたし……

あれは応援の力が彼らをそうさせたのだろうか?


(面白いな……俺も帰ったら試合を見ようかな?今度おもちちゃんと観戦しに行っても面白そうだし)


大翔に一つ、興味あるものが増えた気がした。


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