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147 もう戻れない場所 2


(お姉ちゃんのお父さんは冒険者をやっていたらしいんだ。お母さんも冒険者だったけどお姉ちゃんが生まれてからは仕事をせず家で面倒を見ていたの)


(そのお父さんはどこに?)


(突然行方不明になったらしいよ)


 もしや勇者に攫われたのか? いや、そうとは限らないか。


(その後でお母さんは私のお父さんと出会い、結婚したんだよ)


(生活のため?)


(まだ生まれてなかったから分からないけど多分そうかもしれないね。で、お姉ちゃんは新しいお父さんを受け入れられなくてお母さんのことが嫌いになったみたい)


(自分のお父さんを捨てたと思って嫌になったんじゃないかな?)


(私にはその気持ちはよく分からないけど、きっとそうなんだろうな……)


 ステラはミレラの方へ歩き出した。

 後ろからルイザが付いて来るけど、母はついてこない。


(昔は私も嫌われてたんだよ。しょっちゅう殴られて何度も泣いたなぁ)


 全然想像つかないな。今のミレラは過剰なまでにステラを守ろうとしていたし、ステラと再会できた時は泣いてたくらいだし。


(でも、私はお母さんと違ってお姉ちゃんに好かれるようになった)


(どうして?)


(どうして、と言われてもハッキリとしたことは分からないけど……。デシリアは私のお父さん、見たことないでしょ?)


(そういえばまだ見たことないね)


(私もお父さんのことはあんまり覚えてないんだ。行方不明じゃないんだけど、私が今よりも小さいころ冒険者の仕事で出たっきり帰って来てないんだ)


 行方不明ではないということは連絡は付いてると言う事か。


(お姉ちゃんはきっと私に自分の辛さを重ねたんじゃないかな? お父さんのいない寂しさをお互い知ってるし)


(それだけであそこまで過保護にはならない気もするし、ステラはきっとお姉ちゃんに好かれるようなことをしたんだと思うよ)


(まぁ、色々とあったなぁ……)


 脳内会話をしているとミレラのすぐ目の前に到着した。


「ステラ、卒業だな。おめでとう」


 ミレラは優しい笑顔を見せた。


「ありがとう、お姉ちゃん」


 ステラは明るく返した。

 ミレラは隣のルイザにも声を掛ける。


「ルイザもステラのためにわざわざありがとうな」


「友達として当然のことですわ」


 どういうわけかミレラは苦笑いをした。

 ルイザは困惑の表情を浮かべる。


「いや、なんでもない。それよりステラ、これからどうする? お母さんと一緒にどこか寄るか? それとも私達で祝ってやろうか?」


「ステラのお母さんも含めて4人で行かないのかしら?」


 ルイザが言うとミレラは一瞬だけ母に目を向け、そしてステラに視線を戻した。


「ステラはどうしたい?」


「お姉ちゃん、私、冒険者になったらお母さんと一緒にいられる時間が少なくなるから……だから今日はお母さんと一緒にいたい」


「そうか。あ、そうだ。お前が冒険者になったら一人前になるまで私がついていってやる」


「え、一緒にチームになってくれるの?!」


「一人前になるまでの間だがな。だから今日はお母さんと一緒に過ごして来い」


 ミレラは背中を向けて去っていった。


「ルイザちゃんはどうする?」


「私がいるとステラのママに気を使わせそうですし、今日はもう帰りますわ」


「じゃあ、ルイザちゃんには明日会いに行くね」


「ギルドにいるとは限らないのですわよ?」


「いなかったらいないでいいからさ、いたらよろしくね」


 ステラはルイザと別れると母の元に向かった。


「お母さん、帰ろう」


 そしてこの日は母と過ごし、卒業までの思い出を語り合った。


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