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100万年後に幽霊になったエルフ  作者: 霊廟ねこ
3章 小さき者の大きな力
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101 放課後の活動 1

 動かしやすい服装――ジャージに着替えると先生を待ちながらステラは女子生徒二人と話を始めた。


 一人は同学年で別クラスのボニーという名前の子だ。特に身体的に特徴は見当たらないのでおそらく人間だろう。男っぽい口調だけどとても優しい。


 もう一人は一学年下で2年生のセレナという子だ。見慣れた猫耳とふんわりとした長い尻尾、その特徴は猫人ねこびとだろう。自分からはあまり喋ろうとしないけど、不愛想という訳ではない。


 彼女達と話した内容は剣術とは関係のない話ばかりだ。あの番組は面白かっただの、あのお店のお菓子が美味しいだのと言った日常的で他愛もないものだ。


 ステラはいつもの日常が戻りつつあるのか今まで見たことが無いくらいポケーっとした緩み顔を見せている。


 一方、男子は女子の話には混ざらず練習用の剣を振り回し、とても剣術とは思えない不思議な構えから魔術の名称のような言葉を大きく発していた。


「ウルトラ・パワー・エクスプロージョン・スラッシュ!」


 しかし何か起こるでもない。どういう意味だろう?

 でも男子は大盛り上がりだ。ワケわからない。


 危ない気もするけどこれもまた日常的なことなのだろう。


 そんな状態のまま待っていると扉が開き、40代くらいのジャージ姿の人間の男が入って来た。

 

「あ、先生が来ちゃった」


 男子生徒の一人が残念そうに言った。

 先生はステラの姿を見るなり目に涙を一滴分ほど溜め、同情するような顔つきで励まして来た。


「おお、ステラ……元気そうでなによりだ。話は聞いたぞ、災難だったな。だがそうそうあんなことは起きないから不安になりすぎないようにな」


 そう告げ、背中を軽く叩いたあと先生は全員を整列させると挨拶を始める。


「よし、久々に全員そろったな。ステラが久々ではあるけど早速始めるとしようか。いつも通り最初は準備体操からだ」


 先生が前で手足を動かすと生徒も後に続いて同じ動きをしていく。

 難しい動きは無く、体全体をほぐしてるように感じた。


 その後は僅かな休憩を挟み、剣を使った稽古が始まる。

 生徒は剣立てに置かれてた練習用の安全な剣を手に取り始める。


 私はどんな剣なのか気になったのでステラと入れ替わり感触を確かめる。刃は粘土のように柔らかく中心に近づくほど硬い。何も斬れそうにないけど安全のためにそうなってるんだろう。

 

 押すことで少し形が変わった剣は指を離すとすぐに元の形に戻った。重さは子供が持つ分にはちょうどいいかもしれない。


「稽古を始めるぞ。まずは素振りからだ」


 先生が告げた。

 他の人に剣がぶつからないよう安全な距離を取り、両手で握った剣を上にあげて勢いよく振り下ろす、というのを何回も繰り返していく。


 剣筋がブレていたり姿勢が悪かったりと何かある生徒は先生からの指導が入った。ステラは久々と言う割には先生から指導が入ることも無く褒められた。


 素振りの後は足の運び方などの動きを反復していく。素振りの時とは違いステラは指導を受けまくった。


 まぁ、こんな動きを完璧に身に着けたところで身体強化に差があれば技術の差なんてなんの意味も無い。


 剣術の達人になるよりは魔法や、より強い武器を持った方が強いはずなので剣術はほどほどに習得すれば十分だと私は考える。


 同格なら技術の差が致命的な差にもなるけど、そんな状況はほぼないだろう。剣術よりは魔術を極める方が間違いなく有意義だろうね。


「よし、じゃあ試合を始めるぞ」


 いよいよ人同士での打ち合いが始まるようだ。

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